白雪姫と七人の小坊主達
早稲田大学仏教青年会 ウォッチング日記
DATE: 2006/09/24(日)   CATEGORY: 未分類
浦和にマンダラ展を見に行く
 昨日、埼玉県立近代美術館で行われているマンダラ展を見に行く(本日まで)。

 マンダラは主にネパールやモンゴルのものであるが、ネパールにはチベット難民のコミニュティがたくさんあるので、展示品の中にはチベット仏教スタイルの鋳造仏やマンダラや仏画もちょっとはある。

 展示のコンセプトはマンダラの構造やマンダラに登場する諸尊のグルーピングを紹介する、いわば啓蒙に重点がおかれている。

 そのため、展示品自体に骨董的価値のあるものは少なく、ほんどが20世紀に入ってから書かれ、あるいはつくられたもので、とある立体マンダラにいたって2002年つまり21世紀のものまであった。

 もっとはっきり言うと、「パルコル(ラサの目抜き通り巡礼路)に、こんな仏像や仏画あったな」というような「ごく最近創られました仏像や仏画」ばかりで、もし、ミュージアムショップでネパールの直輸入の手書きの仏画とか売っていたら、展示品と本質的には変わらないんじゃないかと心配になる。

 「ま、でも、啓蒙目的の展覧会なので展示品の新旧は関係ないか、私も教材としてダラムサラで400円で買った金剛杵や金剛鈴とか使っているしな」と気を取り直す。
 
 マンダラは密教の修行のはじめに行う生起次第の世界をヴィジュアル化したものである。
 
 生起次第とは、何もない空間から世界を順次創出していき、その世界を仏の現れであるとし、再びまた何もない空間に戻していくという観想トレーニングである。その時創出される世界の形を、絵や砂や金銀をつかって二次元、三次元に表現したものがマンダラである。

 西洋では世界は神が創造し、人間は神の創造物にすぎないのに、東洋思想ではボクもアナタも創造を追体験する。ボクもアナタも世界を(観想の上で)創造して、「世界の中心で解脱(世界からの脱出)を叫ぶ」のである。

 ええのう、東洋思想。

 午後はチベット医学の勉強会。『四部医典』を全文検索しながら病名の訳を確定していく単調な作業。

 伝統医学と現代医学は病気や治療に関する概念が根本的に異なるので、伝統的な医学であるチベット医学を翻訳する場合も現代医学の病名よりは伝統的な和漢とかで用いられてる病名の方がしっくりくることが多い。

しかるに、皮膚にできるデキモノ一つとっても、よう、ちょう、ねぶと、麻疹、など和名でもいろいろあり、どの概念がどのチベット語の病名に比較的合うのかなんて、よほど両医学に通じていないと確定のしようがない。

 かくして、私は杉田玄白が『解体新書』を翻訳した際の苦労をぎゃく追体験することになるのである。

 チベット語の表記をカタカナ書きして(できもの一種)と注記したい衝動にかられるが、それじゃ、翻訳する意味がない。

 異なる言語に橋渡しすることがそもそも難しい上に、さらに背景に越えがたい概念の差があるとなりゃー、もうこりゃ翻訳しない方が世のためかもしれん。
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