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白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2008/02/09(土)   CATEGORY: 未分類
死に際しての拠り所
労働基準局と大学から怒られたので、七年ぶりに健康診断にでかける。
 わたしは健康診断が、いや病院が大嫌い。
 
 酒もたまにしか飲まずたばこは一度もすったことナシ、適度に運動もする健康生活をしているが、健康にはまったく自信がない。

 両親ガン死の超短命家系に生まれたからね。

 自分にとって、病院は「死の館」。「あそこにいくと死ぬ」(笑)というシンプルな条件付けができていることから、健康診断を毎年ぶっちぎってきたのだ。

 でも、他の先生方に聞いても、「ボクも面倒だからここ数年受けてないよ」という人はいる。ただ、今年はメールや郵便で「はよ受けろ」攻勢があまりにも激しかったので仕方なくいやいや重い腰を上げたのである。

 大学が契約しているいくつかの診療機関のうち、家から比較的近いことから新宿駅前のビル内にあるホニャララ・クリニックにいく。

 金曜日、集合時間の八時半に十分ほど遅刻していくと、いろいろなところから集まってきた三十人くらいの人たちがロビーに無表情に座って受付をまっている。

 受付ではブルーのジャージの上下を渡されて、検査内容の説明をうける。あーだるい。
 検査をまつ場所はガラス張りのラウンジ形式の部屋で、豪華な雰囲気をだそうと、ホテルのロビーのようなふかふかの椅子やソファが置いてあり、備え付けの雑誌も『プレジデント』とか、『ソトコト』とか、『ドマーニ』とか、広告ばっか目立つおハイソ雑誌ばかり。

 間違っても 『女性セブン』『週刊文春』とかはない。
 
 しかし、いくら高級ぶってても、ここが収容所であることには変わりない。みな前の晩から食事も水も禁止されているので、げっそりしている上、検査の合間の待ち時間の長さにうんざりして無表情になってきている。

 この雰囲気、どっかで見たような。
 そう、外国線の飛行機の中でだ!

 フライト・アテンダントのお姉様方がいくら高級ぶったサービスをしてくれようと、いくら機内誌が高級感あふれるリゾートを宣伝していようと、せっまいスペースで何時間もじっとしていなければならない、という奴隷船状況は変わらない。結果、みなげっそり疲れ切り、無表情になってくる。

 ここはうろうろ歩けるだけ機内よりはましだが、ジャージをきせられているので、サロンからはでられない。新宿のサザンテラスをジャージの上下で歩ける人はおらんだろう(あ、でも意外とできるような気もしてきた)。

 格差社会のアメリカでは、お金次第によって受けられる医療サービスの差がはげしい。ちなみに、刑務所でもお金のある人はホテルの個室のような刑務所に入ることができる。日本でも山王病院のようなVIP患者様御用達の病院ができているので、遠からずアメリカのような格差ができてくるのかもしれない。

 しかし、一番いいのはやはり健康でいること。ホテルのような豪華な病室で、シェフのつくった料理をたべ、きれいな(あるいはイケメンな)看護師さんに介護されるとしても、病気になるよりゃ、健康な方がいい。そもそも、病気になったらどんなおいしいものだってお腹に入らなくなる。

 うちの父がなくなる前には各所から桐の箱に入ったメロンがお見舞いに届いていたそうである。しかし、末期ガンだとメロンすら口にすることはできない。そう、人間重病になると、食事の味の善し悪しとか、看護しさんの美醜とかある意味どうでもよくなるのだ。

 財産も、妻も子も、地位も名誉も、死病におかされている時には何の助けにもならないのだ。

 というわけで、チベット仏教では死に際してたよりになるものは、三宝しかないと説く。三宝とは仏とその教え(法)とその教えを奉じる集団(僧)である。
わかりやすく言えば、安らかな死とは「自分が良い行いをした。いい人生を送った」という満足感によってのみもたらされる、ということ。
 
 仏法は深いのう。
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