白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2013/12/05(木)   CATEGORY: 未分類
「恐怖を乗り越えて」(バーチャル千羽鶴)
2008年3月、ダライラマ14世のインド亡命以後三回目となるチベット人蜂起がおこり、中国政府の容赦ない弾圧が加えられた。
言うまでもなく、2008年は北京五輪の年である。チベット人蜂起も北京五輪と大きな関係がある。
五輪の開催にあたり、世界は中国政府に対して、報道の自由の約束・人権状況の改善・チベット問題を解決するためのダライラマ法王との対話を行う事などを条件付けたものの、中国政府はそれをまったく果たさなかった。

その前年の2007年にダライラマ法王はドイツのメルケル首相、カナダのスティーブン・ハーパー首相などと直接会見し、はてはアメリカの議会からゴールドメダルの奉呈をうけるなどしたのは、先進各国が暗に中国政府に対して「チベット問題の解決にあたりなさい」と発したメッセージであったことはよく知られている。

しかし、それらのメッセージを華麗に無視して、中国政府は五輪を国威発揚の場としようとしたため、北京五輪の開催を半年後に控えた2008年3月、チベット人はきれてしまった。最初は蜂起記念日を祝う小さなデモであったが、それが過剰に抑圧されたたため、抗議した人々が一部暴徒化した。中国軍は治安回復を格好の口実にしてチベット人を武力制圧し、この時、多くの人が逮捕・拘留された、今なお行方の知れない人がいる。

この時期に逮捕されたチベット人の一人がドキュメンタリー『恐怖を乗り越えて』の主人公、トンドゥプワンチェンである。彼は前年2007年にビデオを手にしてチベットに入り、108人のチベット人の嘘偽りのない声を集め、それを国外に送り出した。その直後、逮捕拘留されて現在も刑務の中にいる。

トンドゥプワンチェンの行ったインタビューにより、五輪開催時のチベット人の気持ちについて見てみよう。

まず五輪に対するチベット人たちの声。

「中国人は自由でもチベットには自由はありません。」
「世界中の人が五輪に集まると聞きました。ダライラマ法王はなぜ参加できないのでしょうか」
「とても不安な感じがします。暗闇の中をあてどもなくさまよっているような感じです。中国人は信じられません。全く」
「五輪のせいで物価が上がって、貧しい私は食事もろくにとれません」

次に、中国人がチベット人に与えているという「優遇策」について

「遊牧民は遊牧を禁じられて定住を強いられている。これらの家(中国政府が定住化政策でたてた家)は外側は外国人にはきれいにみえても、チベット人には自分の状態を伝える自由もない」

「中国人は高地に住むのは不便だろう、といい私たちから農地や牧地をとりあげて移住を強制する。しかし、彼らは我々の土地からでる天然資源が欲しいだけだ。」
 
次に、中国政府が「チベットの文化を保存している」ということについて

 字の読めない牧民たちに文字を教える19才の青年「〔文字を教えるのは〕全てのチベット人が家族のようになるためです。文字の読めないチベット人たちにチベット文字を教えて識字率をあげるのは大切なことです。」

「私たちの言語は危機に瀕している。チベット人の数が少ないから、中国語にかき消されていく。どこいっても中国語が聞こえてくる。」

トンドゥプワンチェン「中国人はチベット文化を保存するため多くの金を使い組織を作ったという。しかし、彼らは言うこととやることが正反対だ。もし本当にその気があるなら、〔大量の漢人移民がチベットの文化を消滅させているので〕チベット人の住む地から中国人をひきあげさせろ。」

チベット仏教に対する中国政府の態度について

「中国人はチベット人に宗教の自由を与えているといいますが、自由はないです。ダライラマ法王がチベットにいないことがその証です。ダライラマ法王が帰還するどころか、地方の役人たちは中国に連れて行かれ、「ダライラマの帰還を望まない」との念書を取られ、その見返りに多額の金を与えられている。」

「私たちはただの遊牧民ですが、私たちは全ての祈りをダライラマ法王に捧げます。全ての祈りの中に法王がいらっしゃいます。」

僧侶が泣きながら「ダライラマの帰還はすべての人の夢。でも実現の望みは少なそうです。ダライラマ法王の名前を口にするだけで、強い信仰と深い悲しみを感じます。状況は絶望的です。もう疲れ果てました。一人であてもなく終わりもなくさまよい続けているようです。」

60才女性 「死ぬまでに一目でもいいからダライラマ法王を拝みたいです。100頭の馬と1000頭の牛と引き替えにしてもかまいません。」

私はインタビューのこの台詞をみた時に、広州で会社の社長さんをしているという日本人がウイグル人が天安門につっこんだ際にツイッターでしたコメントを思い出した。

要約すると、彼は「ウイグル人は新疆から都心に自分から仕事を求めてでてきて、屋台とかひいていて、顔も言葉も違ってまったく外国人。まったく中国に溶け込んでいない。」そして彼はチベットに行った時、チベット人の巡礼者が五体投地しながらラサに向かうのをみて、「道中行き倒れたら、頭上をまっているハゲタカに食われる。この文化は残さなくていいと思った」

 この発言は日本人の口からでているものの、実は中国大陸にすむ漢人大半の意識を見事に表現している。漢人社会に長く住むとやはり考え方がマジョリティの影響を受けるのであろう。

 ある文化を残す意味があるか・ないか、彼らが幸せであるか・ないかを、当事者ではなく、その文化をまったく理解していない外来者やマジョリティが判断するいかがわしさ、相手のためといいつつ、それがどこか自分の利益につながっている醜さに対する無関心が実に怖い。

トンドゥプワンチェンのインタビューに答えた人はみな自分が危険なことをしていることを知ってた。トンドゥプ・ワンチェンは「顔を出さなくてもいい」と発言者に伝えたものの多くは

「このフィルムをダライラマに捧げることができたら死んでも良い、顔を見せなければ、意味が無い」と顔をだすことを承知してくれたという。

中国政府は逮捕や拷問による恐怖によってチベット人を沈黙させている。このドキュメンタリーの題名は、死と痛みに対する恐怖を乗り越えてでも、自分のメッセージを世界に届けようとした108人の草の根の決意を意味しているのである。

トンドゥプワンチェンは逮捕後、五年の刑期を宣告された。今年は丁度刑期の満了する年である。これまでも中国政府は理由無く政治犯の刑期を伸ばしてきたため、釈放に向かわせるため世界同時にバーチャル千羽鶴をつくるアクションが行われている。

これまでも「獄中にいる●×のことを世界は忘れていないですよ」と意思表明するこのようなアクションによって、多くの政治犯が、獄中での拷問死を免れ、釈放され海外に脱出してきた。

簡単なアクションで、オリガミで鶴を折って、日本的な背景でうつしてこのサイト中のアドレスに送るだけ。日本的な背景例としては、富士山とか、渋谷交差点とか、アキバとか(笑)。

okumakodo_orizuru.jpg
okuma_orizuru.jpg
 orizuru131.jpg

 日本では「言論の自由・報道の自由」が保証されているため、過激な性表現、ヘイトスピーチ、デマ、妄想でも自由に発信できる。日本ではブログやツイッターで政府を批判しても、デモをしても逮捕されることはない(今のところは)。

一方、トンドゥプ・ワンチェンもそのインタビューにこたえた108人の普通のチベットも、2008年にデモをしたチベット人も、命をかけて事実を証言し、デモをしに町に出た。本当の気持ち口にしただけで、なぜ彼らは刑務所にはいらねばならないのか。彼らこそがもっとも言論の自由と報道の自由を必要としている人たちである。

言論の自由と報道自由と集会の自由を誠に大事に思う方は、ぜひぜひこの千羽鶴アクションにご参加ください。

「背後にはもっと多くの無名の政治犯がいる。一人くらい救っても仕方ない」ではなく、「一人を救えば、次も救える」と前向きに考えてみると明るい気持ちになるよ。
[ TB*0 | CO*3 ] page top
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ