白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2007/03/11(日)   CATEGORY: 未分類
Mr.マリックにお手軽に感動する白雪姫
木曜日、テレビでMr.マリックが自らの生い立ちについて語っていた。その内容に

感動した(死語)!

 Mr.マリックは本名松尾さん。

 彼とマジックとの出会いは中学生の頃、東京からやつてきた転校生が手品の達人であったことから、松尾少年「すげー」とマジックのとりこに。

彼はそれから、マジックに必須の柔らかい手をつくるために日夜特訓を重ね、数々のマジック大会で優勝する。

学校を卒業したあとは、地元の名古屋のデパートで子供向け手品用品の実演販売をはじめる。もちろん、ハケンである。売り上げただけしかお金がもらえない完全歩合制である。

そのデパートには人が少ないのでまったく売れず、思いあまった彼は「東京にいけばなんとかなる」と東京に向かった。

これこれ、お金もってるの? もちろんもってません。

彼は東京のデパートで手品用品の実演販売をはじめる。お金がないので、極寒の一月に新宿の公園で寝泊まりし、お昼ご飯もたべずに売り続けた。

 マリック曰く「この前仕事で南極いったんですが(ペンギンを消しにいったらしい 笑)、あの時の新宿の公園は南極より寒かったです」

そう、寒さで眠れない晩もある。そんな毎日でも彼はマジックを考え続けていたので楽しかったという。

若いってすんばらしい。

そうこうするうちに、デパートの店員の女性が、がんばる彼をみそめて結婚。住む場所もでき(笑)、仕事の方も一日27万円をうりあげるトップセールスを行うように。

マリックはそこで、当時の実演販売をゲストの研ナオコとかを相手に再現してみせるのだが、本当にうまい。

 やすっぽい手品道具を話術と手さばきで魅了して「買いたい」と思わせるのである。さいのーである。

 順風満帆にみえた彼の人生には、しかしその後大きな危機が訪れる。

ユリゲラーの登場である。

 彼はテレビの前で超能力でスプーンをまげてみせ、日本には「超能力ブーム」がおきる。

 付和雷同の日本人は、手品=インチキ、超能力=ホンモノという洗脳状態になり、マジックは冬の時代に突入し、手品道具はまったく売れなくなりました。

 マリックのすごいとこは、その逆境にあってもマジックを投げ出さなかったこと。

 ユリゲラーがなぜうけ、マジックがなぜ否定されたかを考えた結果、「ユリゲラーはスプーンのようなどこにでもあるものをつかってほんものっぽい超能力をみせた。一方マジックは使う道具も、マジシャンの服装も、たとえば何か不思議なことをおこす場合にも、布をかける、箱にいれる、など人の目を遮蔽する動作を行う。これらがインチキくさいと判断されて嫌われたのだ」と結論するにいたる。

 そこで二年にわたる精進潔斎の結果、彼は劇的な変身をとげる。

 まず、マジシャンの制服であるタキシードをすて、あやしい黒づくめの服装となる。それから、マジシャンは観客の目をネタ場からそらすために、相手の目を誘導するので、大きな目は必須だが、彼はその目をあえてサングラスでかくした。さらに、名前も松尾をやめて、マジックとトリックをくっつけてマリックという芸名にし、国籍不明のミステリアスさを演出したのである。

 そして、マジック本体も、古典的なマジック道具(杖・布・箱・鳩)はほとんどつかわず、すじがきも、いかにも、あたかも超能力であるかのようにみせる、自然なながれで台本を書いたのである。 (彼はマジック百科のっている1000のネタをくみあわせて、2000のオリジナルの芸を作り続けて居るとな)


 以後のマリックが爆発的な人気を博し、彼のでる番組がすべてテレビ局のドル箱になったことはみなもご存じだろう。


 おおがかりな装置をつかい観客を幻惑するアメリカ人のマジシャン、カッパーフィールドに対しては、

 「おなじ装置をつかって一年同じ興業するなんてわたしは退屈ですね」と余裕で一蹴。

 かつて彼を生活苦に陥れたユリゲラーは彼の超魔術をみて、「そのネタうってくれ」と彼をエレベーターの中にまでおってきたそうである。

 マリックは今、自分のマジックに自信をもっているので、こういう話ができるのだ。

 わたしが感動したのは、マリックが、困難につきあたるたび、状況を分析してそれを越える能力をみにつけていったこと。
 そして、 誰もうらやまず、誰のマネもせず、誰のせいにもせず、ただひたすらマジック道をきわめつづけてきたこと。これは、イチローなどの一流のスポーツマンにも感じられる職人芸の粋だ。

 大半の人は、何かをなしとげられなかった時、あれこれ理由をつけて自らを正当化して逃げる。

 マリックだって、「名古屋のデパートには人がいないから生活がなりたなかった」「東京の公園生活がつらい」「ゆりげらーのせいで商売あがったりだ」とかいってどの段階だって、理屈をつけてマジックやめることができたはずだ(おそらく大部分の人はここでおわる)。

 しかし彼はやめなかった。
 
 なぜかは、なんとなくわかる。

 彼は自分に自信があったのである。だからぶれない。その自信はやはり初めてマジックにであった中学生の頃から、柔らかい手指をたもつための練習を怠らないこと、自分の独創性の高さ、自分の技術力の高さに培われたものなのである。

 だから、徐々に現実を彼の前に跪かせることができたのである。

 努力とそれによってもたらされる才能というものは、人の前に道をつくるものだとつくづく感心した。

 日本人の多くはかつてこの職人魂をもっていた。

 しかしいつのまにやら、人々は、地道な努力の積み重ねをきらい、ラクに流れるようになり、それどころか

「オレがこうなったのは、社会がわるい、親が悪い、教師がわるい」とのたまって、ニートやひきこもりの若ものが日本中(と先進国)にあふれているのだから困ったもんだ。

 ま、一つの文明が終わる時ってのはこんなもんかなとも思うが、やっぱりかっこわるくても、逆境にあっても自らの信じる道をきわめる方が、言い訳や文句いいながら自分を哀れみつつ、ひきこもっているよりゃー、はるかにかっこいいと思うのだ。
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COMMENT

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● 親戚が
モモ@大東 | URL | 2007/03/14(水) 02:26 [EDIT]
当時、ある親戚が出始めのマリック氏の番組を録画し、
私に「これは本物の超能力や、手品とは違う」と
と本気で考えていたことにほとほと愛想がつきました。
確かにマジックはすばらしい。
発想と技術、この二つを究極まで突き詰めたマリック氏は
「ハンドパワー」と銘打って
マジックをある種突き詰めたことには感動を覚えるが、
それを超能力だと鵜呑みにする人間が親戚だとは。
最近はわざとトリックを魅せるようになったマリック氏ですが、
この親戚とは最近コンタクトを取ってはいません。
一体どう思っているのやら。
マジックの楽しみ方は、観客も不思議空間を味わいに行くということ。
トリックの技術を暴こうとか、逆に超能力が存在するとか
思い込んでしまうとそれで駄目。
マリック氏は最高のエンタテイナーだと思います。
● 人は誰しも超常現象を信じたいもの
イシハマ | URL | 2007/03/14(水) 16:29 [EDIT]
まあ、そのご親戚の方の気持ちもわからんではないですよ。
しかし、生い立ちをちょっと調べたら、前身手品師なんですぐわかるだろう、とかいうのはやはりウェッブ2.0な発想なんですかね。
● いやあ
maa | URL | 2007/03/21(水) 12:10 [EDIT]
いい話ですね~!
私も

「感動した!」

職人魂大好きです。
● 私もそう思います
イシハマ | URL | 2007/03/21(水) 22:18 [EDIT]
maaさん、職人魂いいですよね。
アジアのいろいろな文化を見ていても日本人の職人芸はやっぱぴかいち。手先が器用でセンスがよくて頭がいい。
みなが職人魂をとりもどせば日本は安泰ですよね。

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