白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2007/05/02(水)   CATEGORY: 未分類
キリシタン退治の南無阿弥陀佛
○世尼とともに光源寺を再訪する。

 境内には一ヶ月前にはなかった鉄骨がくまれて何かを建設中である。

 ご挨拶をすませて伺ってみると、とある劇団(水族館劇場)のテント小屋の建設とのこと。

 この劇団を気に入ったご住職一家が、期限付きで無料で境内の一角を貸したのだそうな。

 水族館劇場という名前だけあって、何か、バスクリンの入った色つきの水槽が設置されて、そこに死体役の人が流れてくる・・・とかいうような芝居をするらしい。

 このシーンを聞く限りでは、シェークスピアのオフィーリアを彷彿とさせるが、おそらくまったく違うものだな。

 驚いたのは、このテント小屋の建設を行っているのが劇団員自身だということ。中小の劇団員自らチケットさばいたり、大道具小道具つくるのは知っていたが、鉄筋の建物たてるまでするとはしらなんだ。

 本日の訪問の目的は、○世尼様を光源寺のご住職にひきあわせること。○世尼は何度もインドのデプン寺にいってチベット語で仏教を学んできた方である。

 ご住職の奥様とお嬢様は○世尼と「仏教をとく心構え」のようなまじめな話でもりあがっていた。

 一方、白雪姫とご住職は二人は別の意味でもりあがっていた。

ご住職「じつは幡随意上人の手になるという、キリシタン掛け軸があるんですよ」

 幡随意上人とは、家康の命によって九州にいってキリシタンの改宗に携わったと言われる高僧である。

白雪姫「おお、この前の九条袈裟に続いてキリシタン絡みですか。是非、拝見させてください。」

 本堂の横の蔵からでてきたその掛け軸には「なむあみだぶつ」が記されており、寺に伝わる覚え書きには「切支丹退治名号」(笑)と記されている。
<span style=font-size:x-large>キリシタン退治の南無阿弥陀仏</span>

うーん、ありがたい。

ご住職「他にも幡随意上人真筆の巻物がいくつかあるんですよ。」

 ご住職がおもちになったそれらの巻物は、「幡随意上人真筆」とあり、内容は大きく言って布薩戒とかの戒律ものと、浄土宗の伝法の儀式「五重相伝」についてのものに分かれていた。
蟠随意上人の巻物

白雪姫「キリシタン退治名号の花押と巻物の花押を比べてみましょう。同じ人が書いたのなら、同じはずですよ。」

 (巻物の終わりにある花押と名号の花押を並べてみて)

住職・白雪姫「おおー、一緒だあ (感動)」

白雪姫「巻物の年号が幡随意上人の生没年内かを確認してみましょう」

住職・白雪姫「慶長二年(1597年)、まだ江戸幕府ができる前だ(感動)」

などと、マニアにもりあがる。

 江戸の初期キリシタン反抗と宣教師の行動に手を焼いた幕府は、キリスト教を禁制にし、すべての人民にいずれかの寺の所属となることを強制した。

 全国民仏教徒化計画である。

 寺で法事を行わないとキリシタン扱いされて首チョンパになるので、人々は自分が所属するダンナ寺でせっせと法事を行った。その結果、この制度がお寺に経済的安定をもたらし、江戸時代寺の数はぐーんと増えた。

 一方、信者の側は寺や住職が選べなくなり、信仰のモティべーションがさがりまくり、寺に求める物が心の救済ではなく、儀式というカタチにシフトしていった。

 葬式仏教のはじまりである。

 保護貿易は国内の産業から国際競争力を奪う。そのように、この寺檀制度は日本のお寺から、努力し発展する力も奪った。

 家康の命令でキリシタンの仏教改宗に向かったという幡随意上人の遺物をみると、「江戸時代は果たして日本仏教の最盛期だか衰退期なんだかわかんないなー」と、改めて思う白雪姫なのであったった。
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COMMENT

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● 幡随院長兵衛の話かと思った
Susumu | URL | 2007/05/03(木) 10:29 [EDIT]
面白いお話で勉強になりました。
いま江戸末期から明治にかけての西欧人の日本訪問記をかた端から読んでいます。ついでに「ザビエルの見た日本」ピーター・ミルワード著、松本たま訳も読んでみたら、仏教や僧についての記述があって、面白かったです。訳文の文体は一寸僕の好みじゃなかったですけど。

イシハマ | URL | 2007/05/04(金) 07:32 [EDIT]
>幡随院長兵衛
わたしもあまりにこの名前がヒットするので、何かと思ってました。時代劇のようですね。外国人の視点って、現代から江戸への視点と重なるところがあるので、共感できますよね。同じ民族のはずなのに、たった百五十年で遠いところまできてしまいました。

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