白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2007/07/25(水)   CATEGORY: 未分類
日光を見ずして結構というなかれ
 五時半にふとおきると、雨がやんでいる。

 外にでてみると、高原のように空気が澄み渡り、さわやか~。

 梅雨が明けたのだろうか。

 夕方には本当に久しぶりの夕焼けがでて、夜には月と星が見えた。

 久々に空を仰ぐと、荘厳な気持ちになり、これまでのこととか、これから先のこととか、普段はあまり考えない長いパースペクティブで人生の物思いにふける。

 学者のべんきょータイム、夏休みがはじまる。

 わーい。わーい。わーい。

 この夏、ゼミ生と日光にいく(宿まだ決まってないけど)。

 なぜ日光かといえば、私が今ハマっているからである。

 家康・秀忠・家光の三代の将軍に仕えた天海大僧正は、

江戸の鬼門に寛永寺を、
裏鬼門に増上寺(後に目黒の大円寺)を、
関八州の真北に日光輪王寺を建設して、

江戸と関東を守らせた。

 これらの寺はそれぞれ歴代将軍の遺骸が埋められ、将軍は死後も体をはって江戸の町を守り続けた。

 ご苦労なことである。

①日光に眠る将軍たち

  薬師仏=東照大権現(家康)初代
  大猷院(家光) 三代

② 増上寺に眠る将軍たち
台徳院(秀忠)二代
  文昭院(家宣)六代
  有章院(家継)七代
  惇信院(家重)九代
  慎徳院(家慶)十二代
  昭徳院(家茂) 十四代

③ 寛永寺に眠る将軍たち

  厳有院(家綱)四代
  常憲院(綱吉)五代
  有徳院(吉宗)八代
  浚明院(家治)十代
  文恭院(家斉)十一代
  温恭院(家定)十三代

 しかし、話は江戸と関東に留まらず、京都にもかかわってくる。それを説明する前に、山王一実神道とかを説明したい。

  山王一実神道とは、日本の神様は、みな釈迦・薬師・阿弥陀の三仏の化身であり、それは本質的には同じものであるという教えである(天海は天台座主なので、三つのものを一つにまとめるのがお好き)。

 この神道では、家康は東の仏である薬師仏の化身と考えられ、当然他の二つの仏とも本質は同じということになるので、日本の神様の総元締めともなる。
 
 そして、興味深いのは、江戸時代、京都をまもる比叡山の天台座主と日光をまもる輪王寺宮*と江戸をまもる寛永寺のトップをみな同じ人物(皇族)がつとめ、いずれの本尊も薬師仏であったことである。

 *日光の中心は薬師仏としての家康をまつる輪王寺という天台宗の古刹である。昔はこの輪王寺が東照宮を管理していた(今は廃仏毀釈で分離してるけど)。

 京都と江戸と日光の三つを一人の人、しかも、日本でもっとも古い家系の出がたばねることで、空間上三つにわかれた町は理念的に一つに統合されたのである。

 京都と江戸の関係を考える上で面白いくだりが天海の著作にある。

 そこでは、家康を天照大神にたとえ、三代将軍を天孫ニニギノミコトにたとえている。

 言うまでもなく、天照大神は日本のすべての神の総元締めを行う天の神であり、ニニギノミコトはアマテラスの命令により天から地に降りてきた神であり、初代神武天皇のおじいさん。

 このたとえをおおざっぱに考えると、高天原(天界)が京都で、芦原中津国(日本)が江戸にあたることになる。

 徳川が都と定めた当時の江戸はただのド田舎であった。

 しかし、徳川幕府の成立以後、江戸は日本の政治と経済の中心地となり、現在は世界的な大都市にまで発展したことを考えると、天海の慧眼には驚かされる。

 文字通り、京都は古都として、天のように理念的なものとして遠ざかり、江戸は豊原中津国のように"今"人々が生きる中心地となったのである。

 寛永寺は明治元年の上野戦争で炎上し、増上寺は戦災でやけたので、昔のままの姿で残るのは日光のみである。

 仏法と王法がともに世の中を治めていた時代、平和を祈る役割は現在のように民衆にではなく、僧院がになっていた。

 輪王寺はその平和祈願の三つのセンターの一つだったのである。輪王寺が管轄する東照宮に花鳥風月の彫刻がゴテゴテ施されたのも、泰平を言祝いでのことであった。

 「日光を見ずして結構というなかれ」
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COMMENT

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● 日光東照宮の謎
モモ@大東 | URL | 2007/07/28(土) 12:38 [EDIT]
どの部分に「あえて作られたであろう」傷が残っているのかが
とても興味あります。完璧な美には魔が宿るという
発想で、日光東照宮の完璧に近い彫り物の中にも
細工師が施した違和感のある部分があるはずです。
それを発見できたとしたらぜひこのブログでご発表ください。
● 了解しました
イシハマ | URL | 2007/07/29(日) 23:52 [EDIT]
>あえて造られた傷

何かそれ聞いたことあります。あまりに完ぺきだとかえって不祥だというので、わざと傷をつけるようなことをしたというアレですよね。みてみます。

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