白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2007/12/16(日)   CATEGORY: 未分類
生老病死を受け入れる
木曜日、大学からもどるとともに、すごい腹痛におそわれた。

くくくくくるしいいいい。

救急車は一回の出動費がウン十万円とかいうので、このくらいで呼ぶのは申し訳ないし、さりとてコンピューターを開いてネットで病院の夜間窓口を調べて、タクシーを呼ぶなどという複雑な手続きはこの激痛の中ではムリ。

とりあえずコンピューターにはってとりついて「腹痛」の二文字を打とうとするが、なかなか打てない。やっと検索すると、様々な状況からみて感冒勢胃腸炎であると思われた。急性期はとにかくころがっているしかない模様。

 ちなみにこの間、空気のよめない餓鬼道(雄猫)はずっと「ごはんをだしくれ~」と私のまわりにまとわりついていた。猫ってつかえねー。もうひとつついでにだが、ダンナに電話したが帰宅途中の新幹線の中だった。

 ダンナ、猫なみ。

三時間もたつと腹痛が徐々におさまってきた。

 翌日すでに腹痛はおさまっていたが、町医者にいく。いつもは高齢の女性ばかりの待合室に、珍しく今日は若い男性がいる。背広でノーネクタイ、疲れ切ってウツロな目をしている。

 その男性がわたしの前に診察室に入り、「お腹にくる風邪ですねー」という先生の声が聞こえてくる。彼は、会計では1100円はらってでていった。

 次にワタクシが診察室に入る。昨晩の苦しみについて縷々のべると、先生「感冒性胃腸炎ですね。はやっているんですよ。さっきの人もそうでしたよ。」そして、会計で

「1100円です」
 
 薬局にいくと、さっきの男性が薬を前に薬剤師さんの説明を受けている。どうでもいいけどこの薬剤師さんいつも元気だよな。弱っている時にみるからそう思うのかも知れないけど。

 件の若い男性は840円はらってでていった。次に私の番になったが、やはり同じ説明でお会計は

「840円です」

 この若い男性、服装や雰囲気からして両親や妻子がいるような感じはしないので単身者だろう。おそらく彼は昨晩たった一人でわたしと同じように苦しんだんだろうな。

 彼は我慢したからここにいるんだろうけど、たとえば高齢の単身者だったりしたら、不安になって救急車を呼んだりすることもあるだろう。一人で理由のわからない激痛にたえるというのは不安なものだ。
 
 そいえば、最近救急車の出動件数がウナギのぼりに増えつづけ、本当に救急措置の必要な心臓病の人とかがでた時に、救急車が間に合わない、なんてことが問題になっている。

 救急通報の激増は、おそらく単身者世帯の増加とは無縁でないな。
 
 お腹がいたくなったとしても、この時、誰かが周りにいるだけでもずいぶんとその不安や痛みはましになる。まして、大家族で、おばあちゃんとかがいて「あー、このくらいの季節にはこういう風邪がはやるのよね」とか一言いってくれるだけで、かなり不安はやわらぐ。少なくとも腹痛かかえてネットを検索する必要はなくなる。

 また、誰か手のあいた人が猫にえさをだしくれれば、少なくとも病人が猫にまで気を遣う必要もなくなる。

 大家族の素晴しいところは、いざという時に、精神的・肉体的に誰かが何かをしてくれる手がある、ということである。

 単身者や夫婦二人世帯とか核家族とかは、とくに、単身者世帯は緊急事態においても、たった一人ですべてに対応しなければならない。こういう時は普段簡単にできることも、できなくなっているというのに。

で、パニクってギブアップして、「救急車~」ということになるのだろう。

 小さな会社は社長がすべてをきりもりしないと会社が倒れるけど、大きな会社は誰かがなんとかしてくれるので、多少なりとも無能な社員がいても、会社はまわっていくのと同じ(もっともこの無能な社員の比率があがりすぎると、さしもの大会社も倒れるけど)。
 
 病気の時とかになると、大家族の価値に気づく。体力のおちてくる高齢者も子供に遠慮してなかなか言えないけどたぶんそう思っているんだろうな。

 でも、社会が効率優先に作り替えられていきつづけた結果、肉体的・精神的に他人に依存しなければいきていけない、病人・老人は社会のやっかいものとしてかたすみにおいやられている。
 
 その孤独感から人は救急車を呼ぶのだろう。彼らを抱きとめるのはもはや温かい人の腕ではなく、公共サービスしかないのだ。

 不安というものは一人で抱え込んでいると生長していく。実は最大の地獄とは、他者とコミニュケーションが断絶した中でおきる自分の中どどうどうめぐりする意識なのだ。

 仏教では悪い行いの結果いきつく先として地獄という領域をとくが、これは外世界では地下に構想されているが、内面世界では煩悩にみちあふれた自己意識をさす。
 
 みなが自己の欲望に忠実に生きる時代、その代価として孤独な自己意識の地獄にのたうつのはある意味仕方ない。

 で、老若男女この自意識地獄からぬけでる道がただ、一つだけある。

 煩悩を克服するのである。

 年をとったら「まあ年とったらこうなるわな。いずれ死ぬな」とあっさりと諦め
 病気になったら「まあ病気になるってのはこんなことだわな」とたんたんと病を受け入れる。ようは、わあわあ言わないことである。

 昔こんな話を聞いたことがある。中国の奥地で宣教師が布教がてら病院をやっていた。そこに三日三晩かけて病の妻をせおって山奥の村からでてきた男が訪れた。

 診察してみるとこの妻はもう手遅れで、宣教師は夫に「あなたの妻はあと数日で死ぬ」と伝える。するとこの夫は「そうですか、では故郷の村で死なせます」と妻をせおってまた帰って行ったという。

 たんたんとしたものである。

 三日三晩妻を背負って歩くのだから夫は妻を愛している。でも、わあわあ喚かないのである。運命を受け入れて静かに生きている。

 じつに品格がある。

 この手の話はアジアではよくきく。

 われわれ先進国の民は、自意識が膨張しすぎた結果、老いや病や死に対して異常に拒否反応を示し、かえって見苦しい醜態をさらしているのだ。

 ちなみに、わたしの腹痛はその後ぶりかえすこともなく、風邪としてもなんてことはないものだった。

 救急車呼ばなくてよかった~。
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COMMENT

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イシハマ | URL | 2007/12/16(日) 15:24 [EDIT]
旅行中の腹痛とは不安ですよね。途上国だったりすると、病院に行くことがはたしていいかどうかもわかりませんし。何事もなくて本当によかったです。
あ、何事かあって、胃潰瘍だったんですよね・・・・。

あるく | URL | 2007/12/16(日) 18:49 [EDIT]
私は、車で停車しているところへ追突されて一度、柿木から落ちて一度、チェンソーで親指の根元を切り落としそうになって一度、計三回救急車に乗りました。

チェンソーの怪我はその日のうちに帰りましたが、そのほかは、ひと月ずつ入院しました。

急激な腹痛は、胆石によるものが二度、急性胃腸炎によるものが一度。痛くて苦しいですよね。

こんなときは、誰がいてもうっとおしいだけですから、誰もいなくて良かったのかもしれません。
かえって、猫に顔でもなめてもらったほうが少しは気がまぎれます。

歳末でいろいろとあわただしい中大変でしたね。

鳴子屋 | URL | 2007/12/17(月) 00:44 [EDIT]
故郷で死なせますというのが、グッときました。
特別養護老人施設に行った時のこと。入所者さんたちの〈本当は家に帰りたいけど…それは無理だから〉といった透明な諦めというか覚悟みたいなものが話の端々にありました。終の住処が自宅というのは難しそうです。

あと、人間だけなんでしょうか。老いれば老いる程、物とか空間など所有するものが少なくなっていくんだなとその時感じました。

イシハマ | URL | 2007/12/17(月) 15:19 [EDIT]
>あるくさん
ありがとうございます。飼い主の顔をなめたりしてくれたりして、空気が読めるのは犬です。うちの餓鬼道は、要求にこたえてごはんをださないと、そこらにそそうをするのです。最悪です。

>鳴子屋さん
日本人だったら、癌であとわずかと宣告されても、何もしないよりはと治療をうけさせたい、と病院に入れる結果、病院で死ぬことが多いんですよね。生の質という意味でいうとはやくらくにしぬのと、ばたぐるって苦しみながらちょっとでもながく生きるのとどちらが幸せなのかはその人その人なのかもしれません。
● 今年に入って3回も救急車の世話に
モモ@大東 | URL | 2007/12/18(火) 02:34 [EDIT]
喘息とパニック障害<どちらも死ぬほど苦しいが死なない。
で3回も救急車で運ばれてしまいました。
パニック障害では駅で駅長室に倒れこんで、
喘息では道端に倒れていた私を見ず知らずのお人に
救急車呼んでもらったり、(これでタバコやめようと思ったんです)
医療現場の人たちに支えてもらいながら
恥かしくも生きてまいりました。
どちらのケースでもインコの世話だけはきちんとやり遂げているのが
すごいというか、バカ・・・
その後痛みはありませんか。急激な頭痛は
なにかの病気の一歩手前かもしれません。
姫のためにもごろうちゃん、旦那さんのためにも
一度MRIでもお入りになられたほうが良くはないかと・・・

イシハマ | URL | 2007/12/18(火) 09:27 [EDIT]
>モモさん
頭痛でなくて腹痛ですので。明らかに風邪なので大丈夫です。
モモさんも最近禁煙されたということなので、もう救急車のお世話になることはないですよ。アルコールとかたばことか習慣性がつきやすく明らかに体に悪いものは、遠ざけるがかち。

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