白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2008/06/01(日)   CATEGORY: 未分類
朝貢体制オリンピック
 チベットの暦について原稿を書かねばならない。「わかりません。別の人に頼んでください」といって一度断ったのに、ブーメランのように戻ってきてしまったこの仕事。

 仕方ないので、チベット本屋カワチェンに暦関係の本を買いにいく。しかし、そうやって手に入れた本を見ても、ワケわかんない図や表がみちあふれていて、人間の服を着た直立した蛇や牛が、干支にあたるくらいはわかるけど、それ以外はわからん。

 どうするんだ、イシハマ!  大丈夫なのかイシハマ!

 といってても仕方ないので、カワチェンの店主ケルサン夫妻と夕食をご一緒する。

 ケルサンの趣味で中国人の経営する居酒屋「悟空」にいく(笑)。店員がみな中国語をはなす店で、四川料理を食べながら、チベットネタを大声で話すチベット人と日本人。

 民主主義ってすばらしい。

 三月、チベット人が蜂起した時、ケルサン氏はアメリカにいた。その時、たまたま開かれていたアジア研究の会合に参加したら、時期が時期だけに、チベットが話題になった。すると一人の学者さんが「この会は研究をすることを目的しており、政治とは関係しない方がいい」といった。すると、それに対して一人のチベット人がすっくと立ち上がって「中国から来ているチベット人はみな政治的な意図をもって送り込まれてきている。すでに学問は政治に巻き込まれている」という意見をいい、結果としては「チベットをみんなでサポートしていきましょう、オー」ともりあがったのだそう。

 西洋人、健全だな

 たしかに、中国本土からきた学者さんは国策にそったご研究をされる方が多い。言論の自由のない国で学問の自由のあるわけもないからね。わたしたちは学問は事実や真理を追究するためにやつているが、かの国ではしばしば学問は政治利用される。

 これと同じ理屈で、多くの中国人は「オリンピックを政治利用するな」と言うが、そういってる当の中国人は国威発揚にオリンピックを政治利用しまくっている。

 国内で行われる聖火リレーが中国共産党の聖地や幹部の生地をめぐっているのは共産党を礼賛するためだし、チベットやウイグルをゴリゴリめぐるのは領土主張と、諸民族の共存をアピールするためだ。国際標準なんか何ひとつ考えちゃいねえ。

 オリンピックの開会式に各国の元首を呼ぶことにこだわっているのも、国際社会へデヴューをしたいなんて殊勝な動機からではない。昔ながらの伝統的な朝貢儀礼の再現が主要な目的である。

 朝貢、それは、世界の中心にある中華帝国に、異民族の諸王たちが中華皇帝の徳をしたって、集い、貢ぎ物を献じるという、メイドイン伝統中国の自己愛ファンタジーである。
 伝統的な中国の思想の中には、外交、国家などというコトバはない。国とは世界の真ん中にある中国ただ一つ。対等な他国なんて存在しないわけだから、国際社会なんて概念は端からありゃしない。

 各国の元首が今回のオリンピックで果たす役割は、中華王朝の偉大さを演出するためのその他大勢エキストラである。

 北京オリンピックは、中国の中国による中国のためのオリンピックとして徹頭徹尾企図されたものだ。

 もし中国がこのまま独裁政治を続けるのであれば、何百年後かの中国の史書に、「2008年、世界運動大会に各国元首が貢ぎ物をもって訪れ、中華帝国の書記に叩頭した」とか書かれるだろう。

 中国の歴史はいつでも「あるがまま」よりも「あるべき姿」を書いてきたからね。国際関係に関する漢文史料は対する国の史料でウラをとらないと歴史資料として使えないというのは学界の常識。

 だから、彼らがいう「~を政治利用するな」みたいなダブルスタンダードな主張に、国際社会はつきあってあげる必要はない。あくまでも普遍的かつ一貫した論理のもとに、国際社会は動けばいいのである。

 ケルサン氏は、「三月のチベット人蜂起以後、中国の代弁ばかりしていた日本の報道がずいぶんマトモになった、その結果、普通の日本人が(それ以前からチベット興味あった自分はフツーでないんかい)チベットに興味をもってくれるようになった」と喜んでいた。

 私は、欧米の厳しい対中政策を考えると、日本はずいぶん中国に甘いなあ、と思っていたが、このケルサン氏の意見や、一昨日韓国人の友人と話していたら、「それでも日本はまだ中国に対等にものいってますよ。韓国なんてやられっぱなしですから。韓国のネットでは"かつては日本に支配され、次はアメリカに支配され、今は中国に支配され"と嘆いてますよ」と言われこと、また、「チベット問題で文句をいった国はアジアでは日本だけだ」とか中国が言ってたことを思い出し、国際標準になかなかなれないアジアの中で、日本はがんばっている方だ、と少し自国を見直す。

 昔エコノミックアニマルといわれ、「カネしか眼中にないんかい」と言われていた日本人も、いまや、環境とか、人道とか、カネよりも大切なことが見えてきた今日この頃。

 このまま、国際標準に邁進するためにも、洞爺湖で「地球温暖化防止の音頭をとったついでに、チベット問題の解決にも音頭とってくれ」。というわけで、

 署名お願いしまーす(→ここクリック)。

 ユマ・サーマンのパパも応援してまーす。
[ TB*1 | CO*10 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

宰相 | URL | 2008/06/01(日) 21:51 [EDIT]
>あくまでも普遍的かつ一貫した論理のもとに、国際社会は動けばいいのである。

普遍的かつ一貫した論理・・・ここに、日本の弱さがありますよね。日本が主張している「反核・反戦」はアメリカさんとの同盟の前に、もろくもダブルスタンダードに陥っていますし。

かといって、チベットのような「人道」「人権」「宗教の自由」といった問題も、「ほんじゃあ『人道的介入』はどこまで許されるんだ」といった問題にぶちあたるし。悩ましいところです。

domino | URL | 2008/06/02(月) 00:47 [EDIT]
こんばんは

6/2のシンポジウムの申し込みをしたら、
定員に達しましたので受付を終了しましたとのことでした...orz
残念。でもご盛会をお祈りしてまっす。

>署名お願いしまーす(→ここクリック)。

リンク先を見ました~すごい!
mixiで始まった運動がここまで広がるとは!!
本当にうれしいです。実現してほしいです。

月曜日はシンポジウムにいったつもりでこの前買った
「チベットを知る50章」の続きを読もうと思います。

ゆず | URL | 2008/06/02(月) 02:38 [EDIT]
これまで、独裁国家でオリンピックが開催されると不思議とその体制が崩壊しています。ベルリンオリンピックを開催したナチスは第2次大戦で、モスクワオリンピックが終わり1991年にはソ連が崩壊しています。すると今回の北京五輪の後には、何が待っているのでしょうか。それにしても、長野の聖火リレーで、誰一人走者が辞退しなかった事には呆れます。星野さんは笑顔で手を振りながら走っていましたが、周りを中国人サポートに埋めつくされ、激しい抗議の嵐なのに理解出来ません。自分達のしている事が、共産党に利用される事が分からないのでしょうか。今回の聖火リレーを見ると、スポーツが政治利用されてるのは、一目瞭然です。日本の選手達には、せめて開会式には出席しないと言ってもらいたいものです。

ゴルゴ | URL | 2008/06/02(月) 04:56 [EDIT]
ドイツでは、チベットの平和的解決を求めて、スポーツ選手達の署名運動が開始されたようです。集められた署名は、Hu Jintaoへ送られるとのこと。スポーツ選手の意識レベルが、日本とは違いますね。
ところで、ダライラマ法王が11月に訪日される予定とか。スケジュールが合えば、早稲田大学で講演して頂いたらいかがでしょうか?実現すれば、間違いなく早稲田の名誉回復になると思います。


● じゆうっていいなぁ。
カルマ | URL | 2008/06/02(月) 12:29 [EDIT]
日本には、日本のよさがあっていいと思う。
うちの主人は、中国に、時々、出張に行くので、
チベット問題の記事自体が、胡散臭いと思っているのか、
元々、信じてくれません。(しくしく。)
ひとそれぞれなのだから、考えが同じな分けないのだから、
やはり日本は、言論について、自由でいいなぁとおもう。
(時々、右翼と左翼が、自衛隊小牧基地前でもめているらしいですが。逮捕者牙出た情報は今のところありませんよ。)

mukke | URL | 2008/06/02(月) 22:18 [EDIT]
エントリ書いて下さって有り難うございます。

学問の自由がない国では、学者の方々はまっとうな学問ができないで精神的に辛いものがあるのでしょうね……

あと中国の史書の予想に吹きました。
● なごやでも、環境問題の国際会議
カルマ | URL | 2008/06/03(火) 19:09 [EDIT]
いつからだろう。
なごやでも、ドイツの話から、環境問題の国際大会やるらしいです。
チベットの砂漠化や、氷河の問題あつかってくれないかなぁ。
(人権問題は無理でも、あつかってほしいです。)
● 福田さん結局出席?
ちーぱく | URL | 2008/06/04(水) 12:44 [EDIT]
最近こちらのブログを時々拝見しています。
中国とのつきあいは長いですが(<<そのため?かなり嫌気がさしている)、チベットは初心者です。よろしくお願いします。

「朝貢体制」の分析、そのとおり! と膝を打ちました。
でも福田さん、結局オリンピックの開会式に行くようですね。チベット自治区の動きが活発だったころ(中共は「暴乱」と言っているが、この単語は不適当だと思う)、さすがの福田さんもちょっと躊躇していたようですが、四川省の地震への援助で感謝されてまた気を許してしまったのか?
中国は「日本よ、やはりなついてきたか」と思うことでしょう。

ところで福田さん出席の記事を改めて探そうとYahoo!のニュースをチェックしてみたら
<四川大地震>「感謝しても歴史忘れるな」異例の「日本ブーム」に“待った”―新華社報道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000019-rcdc-cn
という記事が・・・。
喉元過ぎれば・・・ですかね。
日中が、以前このブログにも書いてあったような「大人の関係」になるにはほど遠いですね。

シラユキ | URL | 2008/06/04(水) 14:27 [EDIT]
>宰相くん
まあ、アメリカがダブるスタンダードの本家だからね。あれとつきあうとこっちもおかしくなるよね。

>dominoさん
チベットを知るための50章をお求めくださり、ありがとうございます。みなさんの支援が続く限り、チベット問題は忘れられることはないでしょう。

>ゆずさん
中国はね、実はわかっていてああせざるをえないんですよ。体制を維持するために。もう外の視線よりも、国内をどうまとめるか、それしか考えるゆとりがないんですよ。自分のことでいっぱいいっぱい。ユーゴスラビア末期のセルビア状態。


>ゴルゴさん
そうですね。それが実現できれば本当にいいんですが、中国の批判をものともしない根性と見識が今の総長にあるとはねえ。

>カルマさん
 そうですね、話し合われるといいですね。

>mukkeさん
 チベットの農奴制とか、封建社会がいかにひどかったとか、チベットは中国の一部だとか、国じゃないとか、まあそれはもうすごいテーマが一杯。

>ちーぱくさん
あまり自分の国の政府を悪くいいたくはないんですが、ホント情けない首相ですよね。北京にいる在北京日本の大使だけでいいと思うんですがね。大使はその国の元首の代理なんだから。
>
● 脱字だらけですみません。
カルマ | URL | 2008/06/04(水) 14:50 [EDIT]
>>ちーぱくさんへ
お認めになりたくないのでしょう?
毛は、ギャワ・リンポチェに、こう日本について語ってましたから。
「あそこは、我々の領土だ。日本は、我々との戦いに敗れたのだから当然だ。アメリカは、それを、横から、掠め取っていったんだ。だから、侵略者を、許す訳には、いかない。」
って。
(アメリカ軍の、日本への、上陸が、少しでも遅かったらと思うと、こわい。)

なごやで、環境問題会議が決まった。
きのうは、ぐちゃぐちゃな、コメントですみません。
「COP10」が正式めいだそうです。
ごめんなさい。

TRACK BACK
TB*URL
● 【アジア研究】についてブログや通販での検索結果から見ると…
気になるワードを詳しく検索! 2008/06/09(月) 08:57
アジア研究 をサーチエンジンで検索しマッシュアップした情報を集めてみると…  [続きを読む]
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ