白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2009/02/07(土)   CATEGORY: 未分類
新宿で仏舎利展
 後期試験の採点がやっと終わり、それを提出した足で、新宿文化センターで開催されている仏舎利展のオープニングをのぞきに行く。しかし、地下鉄駅(東新宿)から会場までの僅かな距離を道に迷う。遅刻であるが開場も遅れていたのでちょうど間に合う。

 主宰者は大乗仏教保護財団(FPMT)。この組織は故トゥプテン・イェーシェー師のもとに集まった青い目のお弟子さんたちのネットワークである。このネットワークができるまでの話は、西洋におけるチベット仏教の伝播史を象徴する出来事で、詳しくはヴィッキー・マッケンジー著『奇跡の転生』を参照あれ。これを読んでから仏舎利みると感動もひとしおになります。

 現在FPMTの看板ラマは、ソパ・リンポチェである。リンポチェのお手元に献上された聖者の遺骨を一堂に会してその功徳を戴こうというのが展覧会の趣旨である。

 私はチベット仏教における舎利崇拝というのにとくに詳しいわけでないが、おおざっぱにいえばこんなとこ。

 仏教国家チベットでは高僧はいわばスター

 名のある高僧が法話や法要を行うとなれば、各方面(かつてはチベット各地、今は全世界)から僧俗が集まり、その話に感銘を受け、祝福を受けようとする。日本ではお坊さんは在家の人とまったく同じ生活をしているから分からないだろうけど、ビルマやチベットのお坊さんはみな出家したら生涯を学問と修業に捧げるので、自ずと学識とか人格とかがまわりにもれでている。私のような傍若無人で頭の高い人間ですら、チベットやビルマやタイのお坊さんの前にでると、自然とひざまずいて合掌しようという気分になるから不思議。
舎利

 で、高い境地に達した高僧がなくなって荼毘に付されると、その灰の中から舎利といわれる美しいつぶつぶが現れる(この他にも空中からわいてでたりとか出現の仕方は様々)。見た目は骨というよりはきれいな石という感じであり、形状はコメツブくらい、あるいはそれより小さく、でも時には真珠珠のような大きなものもでる。高僧をしたっていた人はその死後、この舎利を高僧の形見として拝むことになる。

 チベット仏教は極めて理知的なので、夢や瞑想を通じて得られる神秘体験は個人の問題とされ、口外しないことがエチケットとされている。しかし、聖者の聖遺物に関してはその奇跡はかなりおおっぴらに喧伝されている。当の本人はもうなくなっていて受益できないから修行にさわることもないし、あとは純粋に信者の信仰の問題ということであろう。

 といわけで、チベット仏教世界における舎利をめぐる言説は、わりと現世利益的で、舎利をさわったら(あるいは見ただけで)病気がなおったとかの話には事欠かない。 また、お舎利を浄い心でみんなで拝むと「増えたり」、浄い心に出会うと「光ったり」するとも云われている。この手のことは、たぶん河口慧海師などの旅行記にも結構書かれているのではと思う(チェックしてないけど)。

 さて、舎利展のオープニングをレポートすると、ビルマ僧によるパーリ語の読経、続いてチベット人によるチベット語、アメリカ人による英語、日本人による漢語の般若心経が唱えられる。そのあと、主宰者挨拶があり、梅野泉さんによる詩の朗読、茶谷祐三子さんのインド舞踊の奉納があり、そのあと順に一般に公開。

 FPMTの随行員カルメンさんが仏舎利の入ったをケースから取り出して捧げ持ったので何をするのかと目で追っていくと、三人のビルマのお坊様に一人ずつ献上した。そしたらお坊さんがお経を唱えだした。ありがたいので右膝をついて合掌して聞いていると、お経が終わり、どうも祝福してくれるらしい。そいでひざずりしながらお坊さんに近寄ると舎利で健康を祝福してくださった。気がつくと最初の祝福者になっている(遅刻してきたクセに 笑)。
祝福

 で、次に37の舎利の内訳をみると、インドとチベットの古今南北の聖者がずらり。古くは過去仏と釈尊、中世になるとチベット仏教の開祖や有名な行者や学僧たち、最近の舎利になると、みな、人種も地域も越えて多くのお弟子さんに仏の教えを伝え、愛されてなくなった高僧たちで、彼らはみな現代チベット仏教史の紳士録(Who's who)中の人である。彼らの名前を英語綴りで検索すれば、激動の人生を知ることができます。

 会場に英文のカタログがあり、和訳もコピーでそえられてありますので、この展覧会のコンセプトならびに舎利の来歴を知ることができます。

  一言でいうとこの展覧会は、チベット仏教の歴史を、その歴史をにつくりあげてきた高僧の舎利によって追体験できる貴重な場と言える。

 以下にそのリスト(ここで写真も見られます)


  1. 迦葉仏(お釈迦様の前の時代に覚りを開いて仏教をおこした仏)

  2. 釈尊

  3. シャーリプトラ、モッガラーナ、アーナンダ、コーダンニャ、ラーフラ、ツェパク菩薩、五百羅漢、(シャーリプトラ以下ここまで仏弟子)

  4. ナーガールジュナ(大乗仏教の中観の理論を確立した人。チベットでは密教のナーガールジュナと顕教のナーガールジュナは同一人物として崇拝されている)

  5. ヴァジュラパーニ(チベット名チャクドルワ、聖ツォンカパの密教の師)

  6. イェーシェーツォゲルの手紙(9世紀にチベットに密教を伝えたパドマサンバヴァの妃)

  7. アティシャ(11世紀にチベット仏教再興の契機をつくったインドの大学僧。アティシャの弟子ドムトンがおこしたカダム派はチベット仏教の全ての宗派の基礎となる)

  8. ロンチェンパ(ニンマ派の教義の基礎をうちたてた14世紀の大学僧)

  9. マルパ(カギュ派の祖師の一人)

  10. ミラレパ(マルパの弟子でその数奇な人生は本にもマンガにもなっている笑)

  11. 聖ツォンカパ(ダライラマの属する宗派ゲルク派の開祖)

  12. チェカワ(13世紀のカダム派の大学僧)

  13. エンサパ(16世紀のエンサ=カギュ派の大行者)

  14. チューゲル・リンパ(19世紀の埋蔵教説発掘者)

  15. リクジン・ティンレー(1641-1718、ダライラマ五世の弟子にしてニンマ派の大僧院ドルジェタクの貫首)

  16. パオンカ・リンポチェ(1878-1941、現ダライラマ法王の先生)

  17. カルマパ一世、カルマパ15世(1871-1922)、カルマパ16世(1924-1981)、1999年インドに亡命して一躍有名になったカルマパの前世

  18. ポカル・リンポチェ(1940-2004、カル・リンポチェの弟子でインドのミリクにカーラチャクラの修行センターをつくる)

  19. ジャムヤン・チューキ・ロドゥー(1893-1959、様々な宗派の伝統を学び宗派をこえた仏教を提唱したリメー運動の人)

  20. カル・リンポチェ(1905-1989 ニンマ派の大瞑想師)

  21. ドゥジョム・リンポチェ(1904-1987、亡命社会のニンマ派の統率者)

  22. ジクメ・プンツォク・リンポチェ(1933-2006、中国侵略後もチベットに留まり何千人もの出家戒を授けた)

  23. トゥプテン・イェーシェー(1935-1984、FPMTは彼によって創始された。)

  24. ゲシェ・イェーシェー・トゥプテン(1926-1999、イタリアのFPMTの座主)

  25. ゲシェ・ラマ・コンチョク(1927-2004、大行者。晩年は、ネパールのコパン寺で西洋人を指導)

  26. キルティ・ツェンシャプ・リンポチェ(1926-2006。キルティ僧院長にしてカーラチャクラの相承者。亡命後はダラムサラで隠遁修行)

  27. リブール・リンポチェ(1923-2006、リブール僧院長の転生。カリフォルニアで瞑想指導)

[ TB*0 | CO*9 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2009/02/08(日) 09:41 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

しらゆき | URL | 2009/02/08(日) 11:05 [EDIT]
>はじめてさん
「O先生」には非礼をわびるメールをしておきました(笑)。お伝えしてくれてありがとうございます

カルマ♪♪ | URL | 2009/02/09(月) 08:55 [EDIT]
いいなぁ。いいなぁ。
素敵です。賞賛の言葉が思い浮かばない。
ちなみに、カル・リンポチェさまに一言、林久義氏がね、孫弟子らしいですよ。

ミラレパの漫画の御本なら、瀬戸市立図書館にありました。
「目覚めよ仏教」のご本もげいかさまの関連本と一緒の棚においてあった。
(「雪の下の炎」は、誰かが、借りていったのか、見当たりませんでした。)
たまには、図書館に行くのもいいですね。

TT | URL | 2009/02/10(火) 02:48 [EDIT]
13ばんめのエンサパって、例のがるだんと関係ある方でしょうか?

しらゆき | URL | 2009/02/10(火) 08:13 [EDIT]
>カルマさん
気功をやってらっしゃる方が、「すごい気だ」とおっしゃってましたよ(笑)


>TTさん
そう、ガルダン=ハーンの前世として知られる人です。

manuel | URL | 2009/02/11(水) 23:40 [EDIT]
私も今日行ってきました。独特な雰囲気と癒しの余韻がまだ残っています。
英語での写経コーナーに思わずのめり込んでかなり居座ってしまいました(笑)

シラユキ | URL | 2009/02/13(金) 18:58 [EDIT]
>manuel さん
あの写経はいいですねー。カルメンさんが英語の般若心経を読んでいたのですが、早口で漢語のような旋律はありませんでした。和訳の般若心経とかもあるといいですよね。

Hiromi | URL | 2009/02/13(金) 21:26 [EDIT]
たまたま日本にいたので、家人と二人で行ってきました。
会場では真言宗のお坊さんの加持をいただきました。
うちは曹洞宗なのですが、最近高野山で結縁をうける機会があったり、何かと縁があります。
様々な宗派が一緒にいられるのも、仏教のいいところだと改めて思いました。
先生のブログを読んでいなかったら、貴重な機会があることも知りませんでした。
ありがとうございました。

シラユキ | URL | 2009/02/14(土) 10:43 [EDIT]
>hiromiさん
わたしは最終日にもう一度いったのですが、初日とまったく違うフンイキになっていてびっくりしました。瞑想している人はいるわ、チベット僧に加持されてトランスに入る中国の人がいるわ、釈尊の舎利の前で滂沱の涙を流す中国人(臺灣系?)がいるわ、って中国人ばっかじゃん。て、彼らある意味日本人より信仰深いかも。

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ