白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2009/02/15(日)   CATEGORY: 未分類
『なぜダライ・ラマは重要なのか』
12日大学帰りに仏舎利展に顔をだす。最終日である。

 初日にはまだ届いてなかったパンフレットが届いているかなー、と思ったら、ない。なんとFPMTの随行員が最初からもってきていなかったという。で、がっかりしていたら、FPMTの主催者のOさんがご自分がお持ちのパンフレットをわけてくださるとのこと。

ありがとうございます。

 で、会場みてみてびっくり。初日とずいぶんフンイキが変わっている。瞑想するスペースができていて、会場にまったりしている人がたくさんいる。華僑の人の間で流通するフリーペーパーに記事がでたことで、中国系の人の来場者が増えている(彼ら同士の会話や、あとはファッションとか髪型とかフンイキで分かる)。

 私は見ていなかったのだが、この中国系の人たち、会場にスタンバってるチベットのお坊さん(トゥプテン・チャンチュプ師)の加持をうけてトランスに入ったり、釈尊の舎利の前で無言で滂沱の涙を流していたそう。

 チベットのお寺にはもともと台湾人のお布施が多いと聞いていたけど、たしかにこの中国系の仏教徒、一般的な日本人よりはるかに信心深いわい。

 最近は経済発展にともなって中国本土のお金持ちとかもやっと仏教を理解するゆとりができてきて、チベットのお寺に寄付する人がいるらしいが、こういうのを見てると、ダライラマ法王の「漢人とチベット人の共存は可能だし、望ましい」とおっしゃている意味もわかるような気がする。
 
 さて、ダライラマとハタチの頃以来のおつきあいをしているロバート・サーマン教授が去年だした本、『なぜ ダライ・ラマは重要なのか』(講談社)を読んだ。

 原文を見直さずに「おおそうだ」と思った点をザッパにまとめると(記憶で書いてます 笑)

 ・猊下の話はマンネリ化しない、変わらない真理をつねに新しい知見とともに語っている。
 ・ダライラマ法王にあった世界の指導者たちはみな彼を好きになった。変わらなかったのは毛沢東と周恩来だけ、

 ・ダライ・ラマ法王には、(1) 人として、(2) 宗教者として、(3) チベット難民のスポークスマンという相互に関連する三つの立場を使い分けて活動している。最初の二つは何度も生まれ変わっても続けるが、三番目の役割だけはチベットが自由になった瞬間に終わる。

 ・仏教は宗教であり、心理学であり、科学である。

 ・チベットは本来独立していて、今もなお独立している。漢人に同化させるのはムリ。それをしようと思ったら、漢人はチベットという刑務所の看守にならなきゃいけない。刑務所が隣にあってしかも看守をやるのなんていやでしょ。漢人さん。

 ・そもそもあの極端に標高の高い高地に漢人が住むのはムリ。補助金だしたりしてムリに漢人を入植させるのはあきらめて、生物学的に高地に順応しているチベット人に統治をまかせなさい。

 で、この本の後半部分には、ダライ・ラマ法王が加害者の利益も考えることにならい、チベットが自由になることで、いかに中国の利益になるか、という点で、中国が中華連邦になるまでのステップを語っている。

 アジア地域にEUのような共同体を、とかいう世迷い言をいいだす後半はともかく、前半は非常に参考になった。

 本書は西洋人を読者として想定しているので仏教的な概念をできるだうすめて、ダライラマ法王の多面性を語っている。しかし、日本人に法王を伝える場合は、やはり菩薩としての法王を切り口にする方が伝わりやすいし、また、ダライ・ラマ法王の自己認識にも近づくような気がした。
 
 サーマン教授はそれこそ出会ったハタチの頃から法王の側におり、アメリカにおける猊下の活動を数十年にわたってサポートしてきた。普通そのくらい近くにいると、アラが見えたり幻滅したりすることもありそうだが、サーマンはダライラマに対してまったくそのようなこともなく、

 猊下が年齢とともにおどろくべき成長をとげることを目撃し、今のダライラマを、人類の文明をよい方に導く救世主、予言者として賞賛をおしまない。

 ガワン先生と平岡先生の関係もそうだけど、長くおそばにいる人たちが、みじんも不信の心をもったり、幻滅したりせず、日々尊敬の念を強くしていくというのは、やはり、チベットの高僧はタダモノではない。
 
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COMMENT

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ぱにーにょ | URL | 2009/02/16(月) 03:49 [EDIT]
おはようございます。春から先生のゼミでお世話になる者です。休みを利用してこのサイトや先生の著書で勉強しています。
私は1年間先生の授業に出たり出なかったりしていましたが、私も授業を重ねるごとに先生への尊敬の念を強くしていったクチです。先生の切れ味鋭い語り口と核心をつく名言の数々の虜です。
浅学のにぶちんですが4月からよろしくお願いします(__)

ゆず | URL | 2009/02/16(月) 13:25 [EDIT]
漢人の人達がチベット仏教に傾倒してるとは初めて聞きました。ソ連崩壊後にロシア正教の信者が増えたように、心の拠り所を人々が求めているのでしょうか。チベットの高僧たちのオーラを放ち続けているのも、長く中国に占領され迫害を受けてきたからなのでしょう。釈尊が苦行の末に悟りを開いたように。

Hiromi | URL | 2009/02/16(月) 13:43 [EDIT]
2006年にカムの草原の人里離れた僧院の法要に偶然参加できた時、香港人の支援者の方々が来ていました。ランクルをチャーターして、地域の遊牧民の教育や医療、僧院のリンポチェの支援活動をされていました。
また、2008年に騒がしくなる前は、杭州の精進料理屋さんにチベット仏教式の壇が設けてあり、いつ行ってもきれいに調えられていて、店長と縁のあるリンポチェのお写真等も飾ってありました。騒がしくなった後は、入り口の大きいマニ車を残して、無くなってしまいました。

中国仏教の禅宗などのお寺も、お参りしてみて予想以上に厳しい状況であることに驚きました。もちろん、あの事務所もしっかりそれぞれのお寺にあります。それでも杭州は大きなお寺があり、一般人にお経をおぼえて、お寺参りを習慣にする人々が多いので、まだましな方かもしれないです。うちの大学は、水墨が盛んと言うこともあり、学生や先生のなかにも、"信佛"な人は少なくないです。彼らはどんな宴席でもかたくなに禁酒とベジタリアンを守るので、私よりブッディスト度が高いかもしれません。
大陸には、一度信じると決めたら、カッチリ守って、突っ走る人が多いように思います。
心の救いを求めている人は多いので、きっと理解しあえる日が来ると思います。
● 私が一番びっくりしたことって
モモ@大東 | URL | 2009/02/17(火) 11:36 [EDIT]
ガワン先生も仰られていたと思いますが、
「他の宗教を信じている人たちに対して寛容であること」
なんですね。これって他の宗教じゃ考えられない発想ですね。
つまり政治色に染まっていないと。
凄いこと、素晴らしいことだと思います。
政治的・宗教的・民族的に優れたものだと思います。
オススメになっておられる本早速発注しました。
じっくり読みたいと思います。

シラユキ | URL | 2009/02/18(水) 20:57 [EDIT]
>ぱにーにょさん
お会いできるのを楽しみにしています。自分でいうのも何ですが、ホントにたいした人間でないので、あまり期待をされると何かこう、居心地が・・・

>ゆずさん
つい数日前チベット・中国友好協会も東京でほっそくして、中国系の方がチベット僧に五体投地してたらしいです。じつは臺灣とか香港の人ってすごく信心深いんですよ。

>Hiromiさん
貴重な情報ありがとうございました。自由に法話とかで人をあつめられればもっとおおくの中国人がチベット人の高僧の人徳に気づくとおもうのですが、なにぶん人が集まることはまかりならん、とまつたく法要とか灌頂とか法話を自由にやらせてくれないので、これでは相互理解も深まりませんよね。

>モモさん
あらゆる宗教はそれを信じる人に安らぎと幸せを与えているのだから尊重されるべき、とはダライラマがずつとおっしゃつていることです。どんな宗教でもいい人間をつくることを目指しているのだから、そのもくてきは同じということです。宗教間でおきる紛争とか、は、宗教の本義からはずれた行いというふうに位置づけるのです。たしかに、911が起きたとき、主立ったイスラーム学者はみなイスラームの教えに自爆テロなどない、と否定しています。

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