白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2006/03/26(日)   CATEGORY: 未分類
卒業式に「送る言葉」
大学の卒業式は涙と無縁である。

やっと自立してくれるのが嬉しいのか親御さんの表情はじつに晴れ晴れとしているし、コスプレのように大正時代の袴姿をきる女子学生、就活をへてスーツ姿も様になった男子生徒も、みなみな笑顔である。

よきかな、よきかな。

わたしは学生の写真係をつとめつつ、その笑顔をまぶしく見守る。

彼らに大学生活でつらかったこと、楽しかったことを聞いてみたら、単位が取れず卒業が確定していなかった六年生をのぞいて(笑)、みなが「その時つらかったと思っても、後で考えるとそれも楽しい思い出だった」と口をそろえていう。

そう、大学生活はパラダイスなのである。

中学や高校ではあわない先生、あわない同級生がいたとしても、クラスを変えることはできないばかりか、ほぼ毎日顔を合わせなければならない。

しかし、大学では友人や師弟関係が自分の好きなように選択できるために、人間関係に苦しむことがほとんどない。人間関係にこまったらそのサークルやバイト先やゼミを変えればいいのである。

というわけで、彼らは夢の中のように楽しい四年間を過ごし、いま社会人となる。

これからかれらは上司も同僚も選べない世界に入る。

人間関係に苦しむこともあるであろう。

親にも教師にしかられたことのない人が、上司や先輩に怒鳴られることもあるだろう。

一生懸命やった仕事が諸般の状況から評価されないこともあるだろう。

派閥間の悪口合戦に違和感を覚えることもあるだろう。

利益をだす、ということを至上命題に回る社会のしくみに疑問を感じることもあるだろう。

そういう時には、こうしてみよう。

まず、自分の側にまったく問題がないのかを点検する。それでもし自分の側にも問題があると思った場合にはそれを直してみて、もう一度トライしてみる。

かりに、また失敗したとしても、良識的な価値観にそって動いている限り、友達は離れることはないし、今評価されなくとも、いずれは何らかの形で自分にかえってくる。

一方、自分の側に問題がなく、回りが悪いと思った場合にはどうするか。この場合、客観的にいって環境に問題がある場合と、自分に問題があるにもかかわらず、それを正しく認識していないため他人のせいにしている場合がある。

この二つのいずれかであることを見分けるには、事情をよく知る人格者の第三者(地位や金に関係なく、何もしなくても回りに人が集まってくるような人格者ね)に相談してみるといい。

その人が、環境に原因があると指摘したならば、あなたの認識は客観的にいって正しいので、環境を変える努力を行った方がいい。

一方、その相談相手が、あなたの思う通りの答えをいってくれなかったら、おそらくかなりの確率で、原因はあなた自身にある。その相談相手は本人を目の前にしているので直接はいいづらいだろうが、遠回しにあなたの思い違いを指摘していないか。

この時、自分の弱さや欠点を自覚して自分をフィックスすることに踏み出す人と、問題を常に外にみいだし、自分は正しい」と思いこむ硬直化した思考パターンに逃げ戻る人とで、人生の進路は変わってくる。

様々な経験の中で他者とうまく交流し、自分を変えていくことのできる人には、無限の成長の可能性があるが、自己の思考パターンにはまりこんで、自己の行動・思考形式を改めることのできない人間は、孤独に生きねばならない。

失敗や挫折を自分にフィードバックし、それをどう乗り越えるかによって、幸不幸は決まるのである。

もう一つ。

社会にはいろいろな人がいる。
自然界に毒蛇やサソリといった他者をきずつける生き物がいるように、人間界にもそんなのがわちゃわちゃいる。
会社とかエラソーなこといっても、色と慾のうずまくただのサル山だったりする。

しかし、それを批判して「~あるべきだ」などと声高にさけぶのは、毒蛇やそさりを批判するのと同じくらい、意味ないことなのです。

それよりも、心揺らすことなく目の前の仕事にもくもくと誠実にうちこむのが、結局は幸せへの早道なのです。







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COMMENT

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● 旅立ちの日に
卒業生青木 | URL | 2006/03/28(火) 00:21 [EDIT]
先生のお言葉、心に留めてこれからまともな大人になれるようにがんばっていきたいと思います。卒業式の日もありがとうございました。今まで親や先生や友人や多くの人に甘えて生きてきたことを感謝し、自分に厳しく他人に優しく、人を幸せにできる人間に少しでもなれたらと思います!
先生のゼミで、チベットとも出会えたし、有意義な大学生活でした。しかし学位記の「学士(歴史学)」という響きがこそばゆくなんかなじまないのはまじめに勉強しなかったせいでしょうか・・・。でもこれから歴史とは関係ない道に進みますが、歴史学の先生から教わったこと、きっと役に立たせたい!そう思います!
いい卒業式を迎えられました。ありがとうございました!
● おめでとう、青木さん
石濱裕美子 | URL | 2006/03/28(火) 09:41 [EDIT]
チベットに興味をもってくれてありがとう。
四月に入ったら環境が激変して最初は大変でしょうが、
若いんだし、適宜有給とか活用して温泉旅行とかいって気分転換もいいかも。
新しい環境でたくさんのすてきな人たちとめぐりあえるといいですね。

通りすがりの猫八 | URL | 2006/03/29(水) 23:08 [EDIT]
石濱先生は、本当に良い先生ですね。
私は、早稲田も何も関係ない通りすがりの社会人ですが、
本当に先生の仰るとおり。
● 嬉しいです
石濱裕美子 | URL | 2006/03/30(木) 10:02 [EDIT]
わたしはここに書いていることを、必ずしも自分で実践できているわけではなく、つまりはぜんぜんいい教師なんかじゃないため、過分なおほめの言葉ということになるわけですが、人間が単純なので嬉しいです。

ありがとうございます。

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