白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/02/03(水)   CATEGORY: 未分類
馮さん故郷に帰る
 ハイチ地震救援のため、あの名曲We are the worldが再びリメイクされる。思えばアフリカ飢餓救済のために24年前、あの曲がマイケル・ジャクソンによって作られて四半世紀。21世紀のWe are the worldは古い参加者プラス新たな参加者を加えて歌われる。

 バンクーバー五輪の初日にテレビで流れるそうで、今から楽しみ。オリンピックはやはり、ナショナリズムよりもヒューマニズムがよく似合う。

 さて、中国の人権活動家、馮さんがめでたく上海に帰国することと相成りました。知らない人はいないだろうが、念のために解説すると、彼は去年何度も中国への入国を上海の当局に阻まれており、それに抗議するために日本にも入国せず成田の入管に九十日もの間、籠城していたものだ。

 つまり、九十日間もの間フロにも入らず、夜はベンチで寝て、昼は窓のない入管スペースで抗議の立てこもりをしていたわけ。これを聞いた時、オッサンにしかできない抗議法だと思った。女性だと90日フロに入らない時点で、「90日フロに入らない女」というイメージが先行し、取材者もそちらに気を取られて、主張内容への関心が相対的に下がるだろう。  

 で、馮さんのことを中国領事館は無視し、日本も早く立ち去ってください、みたいな公文書を毎日手渡すへたれな対応をしていたのだが、彼の意志は固く、さらにツィッターで自分の状況を発信しつづけたため、全世界から日用品、食料、義援金が集まり、BBCにワシントンポスト、香港フェニックスなどが取材に殺到した。
 馮さんのツイッター見ていたら、客室乗務員のおねえちゃんが、いろいろ温かい食事をもってきてくれたり、多くの旅行者が支援者から渡された品々を彼に届けつづけていた。かくしてこの90日の籠城は可能となったのである。

 入管はあの世とこの世の境であり、どこの国にも属さない領域。ネットの世界もマスコミも同じようにボーダレス。そして、ヒューマニティーも国や人種や階層を超える。この馮さんの身を捨てた抗議はこのボーダレスな空間を通じて多くの良識のある人々の心を動かしたのである。

 ここに至って、さすがに日本も動かないわけにいかなくなる。で、先月二十二日に民主党の牧野聖修議員が馮さんを訪問、そのあと話がついたようで、本日二時彼は日本に入国して、中国への帰りのチケットを買いなおし、春節前には老母のいる上海に帰ることになるそうな。重畳。

 牧野さんは古くからのチベット支援議員でチベット問題を考える議員連盟の長をつとめていた方である(落選期間をのぞく)。おそらくは牧野さんの訪問がどこかを動かした結果であろう。政治家の名前はその行動の一つ一つで作られていく。今回の件は牧野さんの名を非常に挙げたと思う。

 チベットを支援することはそれが彼のような議員さんであっても、俳優さんやアーティストであっても、じつは実利的なメリットはほとんどない。議員さんだったら票につながるわけでなし、俳優さんだったらそれで人気があがるわけでなし(それどころか日中共同製作とかいう番組では外される 笑)。
 それに相手はあの中国だから不愉快な思いをすることは決定。

 だから、それでもチベットを支援しよう、中国の人権活動家を支援しようという人は、奇特なのである。

 また、馮さんもえらい。90日もの籠城は生半可な意志でできるものではない。彼のツイッターに書かれていたことだけど、去年の大晦日、彼の九十になる母親はお兄さんの家に一時帰宅していて、彼のケータイに母親が出た。母親は馮さんが成田の入管で籠城していることを知らない。年が年だけに心配はかけられないからだろう。そのあと、入管の電気がすべて消えて一人になったという書き込みを見て、このオッサンは本当にタフだと思った。

 自分のことだけを考え、我を通すためだけに生きている人からは、人もモノも遠ざかっていく。しかし、人のためになることで自己を犠牲にする人のまわりには、自然と人が集まり、モノがあつまり、意識の高い人々の善意の輪ができる。馮さんの場合は中国公民の権利とか、中国の民主化とかのために戦う意識が、この過酷な籠城を耐えさせたのであろう。

  あ、人権とかチベットのために動くことは何のメリットもない、と言ったけど、あったわメリット。福島香織さんもおっしゃっていたけど(あ、年賀状ありがとうございました)、知名度が上がると当局に一服盛られる危険性が下がる (笑)。あと逮捕された時にもゴーモンされることもたぶんない。人の目のあるところに犯罪はないのである。でも、言っててむなしい・・・

写真は馮さんのツィッターから「最終日の記念撮影」

ふうさん

 
[ TB*0 | CO*7 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

Penba Yakdu | URL | 2010/02/03(水) 20:08 [EDIT]
馮さん若返りましたね。フロ入ったような爽やかなお顔!

うむ、オッサンは「90日、フロに入らなくても良い!」という考えもありますね。
心底入りたいと思った時のフロは気持ちよいこと。
毎日女房子供から「入れ!さあ入れ!」と急かされると、そのありがたみが欠如して、フロのないチベットの山に脱出したくなります。

でも今日は馮さんのご苦労を労いつつありがたく入る所存であります。
● これが本当の華麗臭
宰相 | URL | 2010/02/03(水) 23:36 [EDIT]
>「90日フロに入らない女」

最近久しぶりに「マオ」を再読しているのですが、‘20年間風呂に入らなかった独裁者’の作ったトンデモ国家と闘うには、それくらいの気構えが必要なのかもしれませんね。

カルマ・フォーチュン(♪♪) | URL | 2010/02/04(木) 11:15 [EDIT]
彼の人権が、保障されただけで、何も根本的な態様は代わって無いと思う。
天安門の事件関係者の釈放とか、その他云々。
入国した途端、逮捕は無いと思うが、、何かしらの行動を起こした途端、当局者から、逮捕される状況に変化は無いと思う。
小正月くらい、田舎でゆっくりできるといいな。

モモ@八尾 | URL | 2010/02/05(金) 01:37 [EDIT]
そうですか~気になってはいましたが、
無事だったんですね。良かった。
有名人になってしまえば、当局も手が出せないなんて
なんて情けない政府だろうとおもいますねぇ。
(手をだされても困るんですが)
本格的に改善する為にはいったいどれくらい
時間と労力がかかることでしょう。
途方も無く遠いような気がします・・・

ぽぽんた | URL | 2010/02/05(金) 12:43 [EDIT]
オッサンでも、オッサンだからこそ、ツライ部分もあったように思います。男性のほうが不潔というイメージが強いでしょうし、「クセェよ」って言葉を投げかけられやすい立場でしょうから。人々に広く知られる前、はじめの数歩はホントに辛かったと思います。

ホワイトハウスの発表によると、オバマ大統領とダライラマ法王の面会を行うみたいですね。日本政府にも、やはり筋を通すと云うか、良心に従って為すべきことをして欲しいです。
多くの無名の人々が一服盛られないためにも。
● まずはよございました。
宇宙犬 | URL | 2010/02/07(日) 21:50 [EDIT]
前出Penba Yakduさまのコメントにも書かれていますが、本当に若返ったような爽やかなお顔でしたね(笑)。
かなり周囲を巻き込みはしたものの、馮さんの気概と志にはやはり脱帽です。

最近では、劉暁波氏、高智晟氏、陳光誠氏も、特に高氏・陳氏の2名は安否が懸念される状況ではありますが、ノーベル平和賞にノミネートされたとのことで、望みを繋ぎたいところであります。

馮さんのニュースとあわせ、チベットコミュの「08憲章関連トピ」「東トルキスタン、南モンゴル等関連情報トピ」辺りにちまちまと、ニュースを貼らせて頂いておりますので、もし宜しければお立ち寄り下さいませ。

白雪姫 | URL | 2010/02/08(月) 10:41 [EDIT]
>Penbaさん
たしかに、チベット人と山男がお風呂に入らなくてもあんまりキタナイとかいうカンジがしません。今は冬だし入管は乾燥しているから意外と汚くなかったかもしれません。

>宰相さん
マオって学術的にいうとかなり怪しい部分が多々あるらしいけど、あのフロに入らなかったという部分については真贋どちらなのだろうか。なんか革命家がフロ好きとかありえないから本当くさいね。

>カルマさん
おっしゃる通り、ウラで話がついたところで、中国の何が変わるわけでもありませんね。

>モモさん
いや私も遠くない遠くないと思いつつ、もう20年たつんですよ。世界一丈夫な独裁国家ですわ隣の国わ。

>ぽぽんたさん
中国はオバマさんにツーショット写真を公開するな、会談をやめろとかわめいているそうですが、オバマさんへんにブレずに軽くスルーしてさらっと中国を批判してくれるといいな。

>宇宙犬さん
ニュース貼ってくれてありがとうございます。08憲章トピはいつも拝見しております。

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ