白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/03/17(水)   CATEGORY: 未分類
ターラー仏の生起法
三月十五日は確定申告だった。源泉徴収でとられた上にさらに、確定申告でもン十万円とられた。これが茨城空港とかわけわかんない高速道路とか、独立行政法人とかに流れるのかと思うと、納税のモチベーションが著しく下がる。

 ちゃんと仕事している人が大事にされる社会になれば、もう少し納税する側も気持ちよくできるんだけどね。

 病院では患者様が治らない病気を神様ではなく医者にあたりちらし、学校では勉強しない学生がセンセをないがしろにし、マスコミはエゴイストの無差別殺人鬼を「彼らを生み出した社会が悪い」などと社会全体の責任にしたり、なんかこの社会、自己管理のできないダメ人間ばかりがのして、まともに生きている人が被害者になってません?

 というわけで、納税をきっかけに一挙に不機嫌になる私なのでした(え? いつも不機嫌だって? 大きなお世話)。

平岡さんが仕事で上京してきた。

平岡さん「嫁はんから預かってきたお菓子とこっちは京都の昔ながらの製法で作った金平糖です。グフヤサマージャ尊の生起法を行った際にお供物にしたのでお加持がありまっせ」

密教の修行ではまず自らを仏の姿に観相しそこに仏の力を入れる。
修法の中で用いる法具も一つ一つ空から生起して仏の力を入れるが、おみやげにまで入っているとは、さすがにオタク、もとい行者である。

平岡さん「センセはもっとオタクなおみやげがいいでしょう(いえいえもう十分オタクです)。」と言うや、おもむろに50フォリオものテクストを取り出す。

「これはチッタマニターラー仏の生起法のテクストです。センセはこの仏様の灌頂(修行許可)授かってますから、生起法をやる資格あるんですよ。現世利益はいけませんが、この成就法は功徳が早く現れると言われています。」。

そして食事の終わったあと、スターバックスに入り、テクストの構造についてレクチャーをうける。
まず恒例のこの法が生まれる際の物語。

平岡さん「この生起法はガルワン四世が瞑想の中でターラーを見て感得したものです。ガルワンは前世インドの人であった時、イェーシェーダワという名のお母さんがいました。そのお母さんはとても慈悲深く多くの人を救ったため、まず男子になって、それから仏になることができたんですが、お母さんはあえて女の身のままで仏になることを選びました。だからチッタマニターラーは女性だけど菩薩でなくてちゃんと仏なんですよ。で、そのお母さんがなくなる前に、ガルワンの前世である息子に向かって、自分たちは来世また出会うだろうと言い残してなくなりました」

私「そんで息子はガルワンに生まれ変わり、お母さんはガルワンが感得したチッタマニ・ターラーになったのね。時を超えて二人は再会したわけだ。」

平岡さん「女性の仏だからセンセにぴったりでしょ」

私「前からお聞きしたかったんですけど、ラマを本尊として観相するグルヨーガを行う際に、ラマが男性で、本尊がこの場合のように十六才のきれいな女性だった場合、顔だけラマで体は女性に観相するんですか」

平岡さん「いや、ラマを若い男にしてターラーの姿に観相するんです」

私「ふうん」

テクストには常用のマントラは省略して記されるため、その省略された部分を口伝で一つ一つ確認していく。とにかく長い。


私「あのー、ターラーの生起法って長いんですね。この前の金剛ヨーガ女の生起法も長かったですけど」

平岡さん「何いってんですか、ヨーガ女が短くてこれが普通の長さなんです。これをマスターしたらあとはヤマーンタカもグヒヤサマージャ尊も同じ構造です」

私「これ毎朝やると、ものすごい早起きしないといけないでしょ」

平岡さん「法王様は毎朝四時間を生起法の瞑想にあててます。」

私「そういえば乾隆帝も毎朝早起きして読経してたな。それであんな派手な人生を送れたのかな。パコル印相変わらずできないんですが」

平岡さん「私も毎朝やってスムーズにできるまで二年かかりました」

ラマたちが修法の際につくりだす様々な印は日々の修行のたまものなのだ。

ちなみに、チベットの宗教儀礼には一般人も参加できる灌頂や随許といった儀式がある。これらはその儀式の中の本尊の生起法の修行をはじめる許可を頂戴するためのもので、たとえていえば、大学の入学許可のようなもの。大学の入学資格を得てもそのまま勉強しなければ中退になるように、灌頂をうけても勉強しなければ修行(生起法)もしない人は修行中退者になるだけ。

 生起法もチベット語のテクスト読めなければできないので、まああれですな、チベット語もできない人がチベット仏教界のいかなる位や称号も公的に授かることはありえない。つか、チベット語をよめたって修行と学問やったってそう簡単に仏にはなれないから。

 灌頂の途中に、ラマから仏の力を授る際に、ラマが弟子を仏として供養するコーナーーがどの灌頂にも必ずある。これは未来にこの弟子が仏になることを祝福する部分だが、通訳がしょうもなかったりすると、ここでカンチガイなことを言う可能性(あなたたちは仏様とか 笑)はある。あと、法要の施主は伝統的に上座を準備されるが、これは単に施主を弟子代表にしているだけ。

 チベットの僧院社会はみな哲学学習と実践修行の達成度で位階が決まっているので、外人、ましてや俗人が高い位を認定されることなどありえない。とくに自分は女性なので、ターラー尊やヨーガ女の生起法とか地味ぃ~にこなしながら、僧院という男性社会をタカラヅカのファンのように外野から応援するのみ。

 自分勤勉でないためこのポジションは結構気に入っている。
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COMMENT

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Penba Yakdu | URL | 2010/03/18(木) 01:19 [EDIT]
ドクター・中松の「金剛大阿闍梨」妄想(笑)

あの~恐る恐る言いますが、
チベット仏教の生起法(修業)、というかチベット仏教哲学そのものも、なんですが
迫近の真理なのか、大いなる無為なのかっていうようなこと未だに考え込んで、そこから抜け出せないままなんです。四半世紀も(笑)

偉大なるダライラマ法王の存在を見れば自明の理なんでしょうけど。
まあ、自分がろくに勉強しない理由の弁明なんですけどね。

たぶんこればチベットに魅かれて通い続ける宿命なんです。
自分、流転輪廻の見本ですね。たぶん。

シラユキ | URL | 2010/03/18(木) 09:38 [EDIT]
>Penbaさん
真理でも無為でもどちらでもありません。
毎朝生起法をやるということは、毎朝、心と言葉と体をコントロールする訓練をやるということ。適度なトレーニングを毎日続けると体が健康になっていくように、毎朝精神と肉体を一定期間トレーニングすればその積み重ねの分だけ心は御しやすくなる、ということです。つまり、毎日続けて死ぬまでやれば真理だけど、途中でやめたら無為。非暴力と同じですな。
Penbaさんのおっしゃるように、法王様の性格をみれば、それに意味があることかないか分かります。
● ワタシも灌頂うけましたから
モモ@八尾 | URL | 2010/03/18(木) 14:44 [EDIT]
日々精進ですね。
先生の書かれた本をどんどん読むようにします。
もちろん購入して!(笑)
● 最近不思議な事が…
Hisano | URL | 2010/03/18(木) 23:09 [EDIT]
Dr.苫米地の「傳法大阿闍梨」にDr.中松の「金剛大阿闍梨」と不思議な事が…

先日、先生の「聖ツォンカパ伝」を購読させて頂きました。面白くてどんどん引き込まれて行きました。

私も地味ぃ~に続けて参ります。

宇宙犬 | URL | 2010/03/19(金) 12:05 [EDIT]
コメントも拝読して、このたびもとても勉強になりました。有難うございます。

確定申告…、、国のトップがあわよくば税金を誤魔化そうとしてたことも含め、色々考えさせられてしまいますよね…。

源泉徴収って、戦時中にナチにならって始めた制度だと聞いたことがあります。

Penba Yakdu | URL | 2010/03/19(金) 23:54 [EDIT]
先生、明快な解説ありがとうございます。
目から鱗が落ちました。

平岡先生のおっしゃる功徳とは、自分の心の中のありようとして現れるということですね。心の外の外的要因に囚われていました。

シラユキ | URL | 2010/03/20(土) 17:33 [EDIT]
>モモさん
図書館で読んでもいいですよ(笑)。

>Hisanoさん
地味ぃ~にやる以前に自分まだ印がくめてないので、始めたことになっていないと思われ。

>宇宙犬さん
源泉徴収がナチにならって????なんかもし本当だったら腑に落ちすぎ。


>Penbaさん
いやいや自分素人なのでもっと正確な説明があると思いますよ。
● 源泉徴収
宇宙犬 | URL | 2010/03/20(土) 23:30 [EDIT]
私はとある申告関係の参考書で知ったのですが、戦時の亡霊的制度のようです。
ネット上では、「源泉徴収+ナチ」で信頼に足るソースが見付けられず、取り敢えずWikipediaで申し訳ありませんが、記述がございました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B3%89%E5%BE%B4%E5%8F%8E

エントリの本題から外れてしまい申し訳ありません。
● 還税
ねこ | URL | 2010/03/22(月) 11:51 [EDIT]
大変申し訳ございません。
自己管理のできないダメ人間でして、まともに生きられておりませんでしたのに、この春から、傷害年金をいただけることになりました。

まことにささやかながら、ご芳税をあるべき国の支援にも廻していきたいと存じおります。

合掌

シラユキ | URL | 2010/03/22(月) 13:53 [EDIT]
>ねこさん
病気は仕方ないですよ。ムリはしないで養生につとめてください。

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