白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/05/22(土)   CATEGORY: 未分類
チベットの絵画の講演会
風薫る五月晴れの土曜日、若手研究者二人と院生のMとともに、来日中のディヴィッド・ジャクソン博士(Dr. David Jackson)とクリストファー・キュパース(Dr. Christopher Cuepper)博士を訊ねる。

 彼らのいる国際仏教学大学院大学は宗教団体の霊友会が基金をだして建てたもので、定員20名の大学院のみの小さな大学である。現在巷には、仏教に関してそれはもう不正確かつ無責任な言説があふれかえっているが、ここは文献学に基づいて仏教学を研究し学ぶ、今時珍しい普通に骨太でまじめな機関である。

 この大学は徳川最後の将軍徳川慶喜のお屋敷跡にたっており、この時期が好きなYさんは「小日向」って先生、これ慶喜の孫の手記にでてくる地名ですよ」と妙なところで興奮している。確かに、この大学のたつ地は護国寺、伝通院、小石川が近い、江戸の武家屋敷ゾーンなのである。

以下Yさんよりのメール転載
昨日はどうもありがとうございました。
家に帰って榊原喜佐子『徳川慶喜家の子供部屋』角川文庫、2000年
(著者は徳川慶喜の孫、故高松宮妃喜久子妃殿下の妹さんです)
を読み返したところ、やはりまさにあの場所が慶喜邸でした!
慶喜が晩年住んでた家で、戦後売却されて、つい先日まで財務省の職員住宅があったそうです。
http://clam-chowder.blog.so-net.ne.jp/2009-11-21

「徳川慶喜家は、小石川小日向第六天町の、南に江戸川(現・神田川)、西に茗荷谷を望む高台にあった。
家の横の急な坂をさらに登ると軒の低い焦点が並ぶ広い通りに出たが、その通りを少し東に行くと伝通院があった。
第六天町という地名は、その昔このあたりに第六天神社があったためだと聞いている。
現代の文京区春日二丁目にあたる」(榊原喜佐子『徳川慶喜家の子供部屋』p.10)

私たちも、まさに「横の急な坂」を登って(北門から出たのでちょっとでしたが…)、「広い通り」にでましたよね。
同書の見取り図を見ると、ジャクソン先生たちがお泊りの宿舎がある場所には、家臣たちの家があり、
裏手は当時も崖っぷち(直立)でした。正直ビミョウな土地です。

巣鴨に住んでた慶喜は、山の手線が開通してうるさいのがイヤで小日向に引っ越したらしいです。
まさかこの家の裏手にも電車が通るとは、思いもしなかったでしょう…。
でも慶喜の時代にはまだ開通してなかったので、慶喜は静かな晩年を送れてよかったですね。


 師弟そろって笑える英語力であったが、両博士は忍耐強く我々のいわんと欲することをくみとって下さった。

jackson.jpg

 ジャクソン氏はいろいろ研究されているが、最近はチベットの絵画芸術についての学識で世界的に名高い。現在はあのニューヨークのルービン美術館(Rubin Museum)の所属で、最近もカギュ派をとりあげた企画展「Patron and Painter: Situ Panchen and the Revival of the Encampment Style」(パトロンと画家、シトゥ・パンチェンと幕営スタイルのリバイバル)をプロデュースしたりしている。院生のMはカギュの歴史を研究しようとしているので、いい刺激になったみたい。

 一方のキュパース氏はお釈迦様の生まれた地、ルンピニーに霊友会がたてた研究所の所長さんをしていて、今回は短期の来日。17世紀のチベット史ばかりか、現在お住まいのネパールの歴史についてもとても詳しい。グルカ戦争のネパール文コピーを探すYさんはキュパース氏から熱心にネパールにおける文書資料閲覧の可否について聞いている。

 しかしてその内容は・・・・。一杯資料はあるけど、その中身をみるためには、大学や国を動かしてプロジェクトでもおこさないとむりだろう。とにかくしつこく通って、催促して、一緒に食事して、などを積み重ねたら「いつかはその資料の束を見ることができるだろう」みたいな、トホホな話である。
 
  で、キュパース氏はポタラ宮の三階に描かれた、ダライ・ラマ五世の摂政サンゲギャムツォの伝記壁画について行っている研究についてチラ見させてくださる。この壁画を全面スキャンニングする話が進んでいたそうだが、2008年のオリンピック年のチベット蜂起で全てが頓挫しているそうな。二人とも、「トゥーサウザンド・エイト、イヤー(2008年のあの件だよ、あーあ)」みたいな感じであの蜂起を語っていた。あの年の蜂起を境に中国政府が硬化し、研究者の世界にも影響が出ているのだ。

 まあ全体主義と実証的研究くらい相性の悪いものはないので仕方ない。対抗策としては、現場にいかなければできない研究を減らし、文書研究に重点おくしかないですな。

 さて、両博士が来日中に、この大学内の講堂において講演会があります。「通訳がつくかどうか分からない」とのことですが、かりにつかなくとも、お二人はかなりゆっくり分かりやすい英語をしゃべるし、また、パワーポイントも使用するので、少々英語聞き取り能力が怪しくとも、楽しめることと思います。是非どうぞ。


「キュパース博士を囲む会」御案内
講師: Dr. Christoph Cuppers
演題: 「摂政サンゲギャムツォの生涯と著作」(Autobiographical remarks by the Regent Sangs-rgyas
rgya-mtsho (1653-1705) on his Life and Work)
日時: 平成22年5月28日(金) 午後4時30分~6時
場所: 本学春日講堂

「ジャクソン博士を囲む会」御案内
講師: Prof. Dr. David P. Jackson
演題: 「覚りの境地の表現: チベット仏教の開祖たちの絵画表現」(Reflections of Enlightenment:Painted Images of Founding Masters in Tibetan Buddhism
日時: 平成22年6月18日(金) 午後4時30分~6時
場所: 本学春日講堂

※聴講御希望の方は、電話、ファックス、葉書または電子メールで5月27日(木)までにお申し込みください。電子メール・ファックスなどによるお申し込みに返信はいたしませんが、当日のお越しをお待ち申し上げます。
電話:03-5981-5271 FAX:03-5981-5283 E-mail: iibs@icabs.ac.jp

大学所在地地図(http://www.icabs.ac.jp/icabs/2-2-5.html)
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