白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/08/27(金)   CATEGORY: 未分類
ダメ行にも意味あり
 平岡さんが今年も夏のギュメ詣でをして帰ってこられた。お土産に頼んでいた『ギュメ学堂史』が今日届く。南インドのお寺の出版部で刷られる手書きのチベット本は、アマゾンなんかで買えるしろものではないので、とても助かる。備忘に章立てを写すと

第一章 『グヒヤサマージャ・タントラ』解説
第二章 このタントラを説いた持金剛仏からツォンカパに至るまでの系譜
第三章 ツォンカパ伝
第四章 このツォンカパから『グヒヤサマージャ』の相承をうけ、ギュメのもととなる僧伽をたてたシェーラプ・センゲ伝
第五章 ギュメの歴代座主系譜
第六章 セギュの歴代座主
第七章 年間の講義カリキュラム
第八章 法座の際の着席次第
第九章 ギュメの年間行事
第十章 ギュメの地域寮

 序文からして1991年に記されたもので、ゴマンの歴史などに比べるとかなり小さな著作である。

 平岡さんによると今回のギュメ滞在では、元ギュメの管長の生まれ変わりの十歳少年とはあえなかったそうな。しかし、いつものように管長・副館長の講話を聞いて、平岡さんの奥様いわく「ゼイタクな時間を過ごさせて頂いた」とのこと(彼らの言うゼイタクとは高級ホテルでタラソテラピーとかではなく、南インドの小さな村のはずれにあるジャングルの中にあるギュメでゲストハウスにとまりながら法要の施主になったり、高僧のお話を聞くこと。)。

 今のギュメの管長さんは勉強がものすごくできる人だけど対機説法、すなわち、聴衆のレベルにあわせたお話が苦手な方らしい。日本人の学校の先生方を前にいきなり、論理学の話をはじめて、通訳が困り果ていたそうな。

 一方、ギュメの副館長さんはオーストラリアで外国人相手に二十年間、説法していたので、一般人が必要としている教えをお話になるのがとてもうまかったそう。たとえば、「誇りを持つということと慢心は違う」というお話など、一般人が日常生活ですぐに「ああ」と思えるようなお話ができる。

 だから、同行者の中には、あまりチベット仏教に対して、というか宗教全般に対していいイメージをもっていなかった人もいたが、僧院を辞去する際には「私は宗教というものにあまりいいイメージをもっていませんでしたが、ここにきて、人間が日常を生きて行く上で必要なことを教えてくれるものだということが分かりました」と言っていたそうな。

 この講話のうまい副館長は今年74才で、副館長の在任期間は3年、そのあと管長の在任期間は3年なので、任期が終わる頃には八十才という高齢になる。そのため、オーストラリアにいる弟子たちは、「もうお年なんですからオーストラリアに居て下さい」と頼んだのだが、副館長「ダライラマ法王は私よりも年上なのに、仏教の存続のために命をはって世界中を飛び回っている。年下の私が体がつらいからと役職を辞退するわけにはいかない」とおっしゃり、あっつい南インドのギュメ寺の経営につく決意をなさられたそう。

 今年からギュメは伝統的なディベートに加え、西洋風のディベートも取り入れはじめたようで、こうなると外国人も参加可能となるので、平岡さんも供養のやり方とかについて質問をしたようだ。いろいろ新しいことを始めようとするのはいいことだ。で、モンゴルからの留学生もギュメにいたそうだ。そう、昔からギュメにはモンゴル僧の留学先として有名。

 法王はラダックで講演される際にも、いつまでこのような状態で伝統的な僧院文化を続けられるか分からない。私たちがだめになった時のことも考えて、あなたたちががんばるように、とおっしゃっていた。モンゴル人を受け入れるのも、彼らはまがりなりにも国をもっているので、チベットがダメになった時でも彼らの国で仏の教え(僧伽)が存続できれば、との気持ちがある。副館長の決意といい、亡命後50年ともなるとかなり追い詰められています。

 最後に、平岡さんが今回ギュメのお坊さんから聞いた話の中でもっとも私の印象に残ったはなし。

 「仏様の生起法をやる時に、言われたような観想がビビッドにできない人は、果たして行をやって意味があるのか。」と聞くと(これは絶対私の行を念頭においた質問だ。本人は否定していたが 笑)、

 ギュメの僧曰く「人というものは一日暮らしていたら、何かを言葉にすることになる。その時、口を開いて他人を傷つけるような言葉を言っているくらいだったら、仏様の言葉を口にしていた方がまし。瞑想できなくても、行のマントラとなえるだけでも、供養するだけでも、悪口言っているより、余程善行である」

 そうだよな。人間は一日二十四時間、ほんとうにくだらないことをして、見て、話して、過ごしている。でも、お勤めの間は小言幸兵衞でもない限り、毒づきながらお経唱える人はいないわけだから、その間は少なくとも悪いことをしないですんでいる。文字もよめない難民のおばあさんモゥモチェンガも毎日息を吸うように、マントラを唱えていた。

 モゥモ・チェンガはわれわれがツイッターやミクシやブログやテレビやうわさ話やその他もろもろで頽落して、悪業をつみまくっている間、仏の言葉を口にしながら善行積んでいるのである。

 なっとく。
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COMMENT

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● いいですね。
セン | URL | 2010/08/27(金) 19:02 [EDIT]
私はイシハマ先生が好きです。

シラユキ | URL | 2010/08/27(金) 23:51 [EDIT]
ありがとう。あなたは人の悪口聞くの苦手だったものね。

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