白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/09/04(土)   CATEGORY: 未分類
愛機に捧げる鎮魂歌
マニマニにいい方が来て下さったそうです。ご心配いただいたみなさま方、ありがとうございました。

 思うところがあって、開闢以来の使用済みのワープロ、パソコンを業者に引き取ってもらうことにした。

 ただ、やはりどの機体にも思い出があり、手放しがたい。

 この手の機械で最初に手にしたのは、リコーのワープロだった。たしか、三十数万くらいしたんじゃなかったっけ。

 これを使って『西蔵仏教宗義研究モンゴルの章』と仏教理学の古典『プラマーナヴァールティカ』の注釈書の節の対照表をだした。

 はじめて買ったパソコンで、かつもっとも長く使うことになったのがエプソンである。当時NECが日本のパソコン市場を独占していたのだが、エプソンが互換機をだしたので、それを買った。

 このエプソンは実に多くの著作を生み出した。まず、『梵・蔵・漢対照仏教語彙集マハービュットパティ』は、9565項目の仏教の熟語を、チベット語についてはデルゲ・チョーネー・ナルタン・ペキン大蔵経四版とモンゴル語については、レニングラード写本とモンゴルテンギュル版二版と校訂したため、9564×6回の校訂作業中は発狂するかと思った。

 サンスクリットの長音記号やモンゴル文字のガンマなどはテクノメイトというソフトでうちだした。

 それから、次に思い出深いのは、このエプソンとLP7000のレーザープリンターでだした、『ダライラマの仏教入門』と『ダライラマの密教入門』の二つの原稿。そしてこのエプソンの最後の仕事は博士論文である。

 追い込みのかかったあの年の七月、来る日も来る日もこのパソコンの前に座り、寝、座り、寝を繰り返して博士論文を書いた。まだヒナヒナだった愛鳥ごろう様がいつもブラウン管の上にとまっていたので、そこにはごろう様のフ●チあとがついている。そういえば、ごろう様はヒナの頃は体が弱くて、フ●チがゆるかった。今は立派な成鳥になって、それはもう健康的なフンチをしてる。

 博士論文を出版する際には、私が原稿をテキスト文書でつくって、それをダンナ様が自分のパソコンでTeXという版下作成ソフトを使って、縦書きの専門書にしあげてくれた。つまり、表紙のデザイン以外はまったく編集者の手を煩わすことなく、版下まで家庭内の工房つくったのである。

 ちなみに助成金も減らされたので、足りない分は自腹を切っているので、私の博論『チベット仏教世界の歴史的研究』をお手元にもっている方、ゆめゆめおろそかに扱うなかれ。

 こうして私が一機を長く使い続けている間、ダンナは壊れた、壊れたといってはMacを次々とかえていった。しかし、熱狂的なマカーであるため、壊れた機種も初期のアップルの名作SE30にはじまり、次のパワーマッキントッシュも全部捨てずにとってある (でもごろう様の秘密基地の土台になっている)。

 自分は、機械音痴だしメカフェチではないので、その時その時のコストパーフォーマンスでテキトーな買い物をしていた。機械に対する思い入れもそれが名器であるからではなく、その機械でつくりだした著作との思い出があるからである。

 結局、エプソンはまだ動いたものの、処理能力が遅いため、別のパソコンにシフトしていくことになった。デスクトップについてはダンナ様手作りしたパソコン、ノートパソコンはLet'snoteなでである。しかし、これらはみなやわで、頻繁に壊れてマザーボードをとりかえたり、ブラウン管を取り替えたりしたため、なんか愛着がわかなかった。ノートパソコンも液晶がダダモレたり、自分で落としたりとこれも愛着がわくほどの期間使えたものはいまだない。

 そう考えると、最後まで壊れなかったエプソンは本当にあっぱれであった。

 エプソンも、長持ちしなかったそれ以後のパソも、みんな本当にありがとう。

 とりあえずリサイクル処理法にのっとってだしたので、どこかで何らかの形で一部は利用されるだろう。これって、臓器だけでもどこかで生きていれば、みたいな改正臓器移植法下の遺族の気持ちである。

 君たちのことを忘れないためにこの文章を書きました。

 本当にありがとう。
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COMMENT

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● パソ供養
あくび母 | URL | 2010/09/04(土) 16:28 [EDIT]
姫様と共に一所懸命働いて、最後に感謝されて機械として良い生涯ですね。 新しくお迎えされるパソと姫様の一層のご健闘を祈念します 
● まるで
モモ@八尾 | URL | 2010/09/07(火) 11:10 [EDIT]
戦友という感じですね。
エプソンもあっぱれです。

カルマ・フォーチュン(♪♪) | URL | 2010/09/07(火) 15:27 [EDIT]
僕にとっては、日本語で読めるようにしてくださるだけでもありがたいです。
そういえば、ダライラマの仏教入門のほうは、ブックオフに出してないから、まだ手元にあります。
今夜、久しぶりに引っ張り出してきて読み直そう。

シラユキ | URL | 2010/09/08(水) 09:39 [EDIT]
>あくび母さま
本当はエプソンはとっておこうと思ったのですが、もうダンナがエコランドひきとる機種の内容まで伝えた後だったんです。今も寂しいです。

>モモさん
まさに「戦友」です。DOsでネットにつながらないため、使えなくなったのですが、もしそうでなかったら今も使っていたかったです。

>カルマさん
ありがとうございます。私もあの二つの翻訳でずいぶん英語の仏教用語を日本語にするのになれていい経験になりました。

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