白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/10/19(火)   CATEGORY: 未分類
考え方を変えてみる
 コメントしていただいた方の指摘によって初めて気づいたが、この直前のエントリー、ダライ・ラマ法王の講演紹介が拙ブログの500回目であった。

 ドイツに禅を普及させたヘリゲル博士は、禅の精神を弓術にたとえてこういった。「矢を的に当てようとしても当たらない。〔禅によって己がはからいを捨てる時〕矢はかってに飛んで的に当たる」と。

 つまり、500回目がダライラマの紹介というような偶然が起きるのも、日々己をむなしうしてチベット世界へとシンクロしているからなのである。と冗談はさておき、

 法王も来日することだし、最近でたダライ・ラマ14世の一日を描くDVD『サンライズ・サンセット』を一部紹介。
 このDVDの監督はロシア人で、前半部はダラムサラにいる時の法王の一日を、朝起きてから、夜寝るまでをおって、後半はスタッフが、中国を経由してシベリア鉄道でロシアに帰国するまでの間、法王の話を反芻する過程が述べられる。

 法王の一日は、自室の仏壇の前で五体投地をすることからはじまる。
 昼は行列を連ねてダライラマ付きの寺院にお出ましになり、一般人を相手に法話をする。その法話は英語、ロシア語、韓国語、など各国語に翻訳され、短波ラジオでそれぞれの聴衆に届く。
 夕ご飯は食べない。朝ご飯と昼ご飯のみ。テレビはBBCが好きで、たまたまテレビをつけると、そこに自分がうつっていて、笑う。
 スタッフはこのダライラマの日常生活の中で、法王の話をきく。
 ダライラマはこういう。

 世界の貧富の格差が深刻であること、富める者は貧しい者を救わないと、暴力がはじまる、人口抑制に取り組まないと、いずれ資源はくいつくされる

 たしかに、もう地球はキャパ一杯。あふれた人は境界を超え、異なった文化が適当な距離感をもって存在することは不可能になってしまった。今現在おきている世界の大半の問題はつまるところ、すべてこの膨大な人口が原因である。
 アメリカと日本の経済が上向かないのも、中国が横暴なのも、郵便ポストが赤いのも、つまるところは、人間が増えすぎたからなのである。

 法王は、出家者を増やすことによって人口増がのりきれるという。出家は子供を産まないからである(日本は例外的に僧侶が妻帯するが、上座部やチベットのゲルク派は妻帯しない)。

 そして、ナレーションが入る。
 1965年には45億だった人口は、1972年には50億、そして今は60億になっている。こうしている間にも一日25万人が増え続けている。
 スタッフは北京経由で帰ることにし、北京の人の多さにおどろく。彼らは列車でロシアに入るが、国境を越えたとたんにいきなり無人の大地がひろがる。実は今ロシアも少子化が問題になっていて、政府は子供を産むように奨励しているが、その効果はでていない。

 ダライラマはスタッフにこういったという。
中国は土地がなく、シベリアには広大な空き地がある。だから、人口の少ない国でムリにまた人口を増やすのではなく、国境の向こう側から中国人を受け入れてはどうですか。まず、中国・ロシアの合同軍を作るんです。できたら、モンゴル・韓国・インドもはいればいい。そして地域軍をつくって同じ問題に対処すれば、共感が生まれます。
でも、これは次の世代になってもたぶん実現しないでしょうね。


 この社会が禁欲の修行者を尊ぶ社会にかわること、ロシアが中国人の移民を受け入れることも、簡単に実現する問題ではないことを知っているのである。
 これをロシアではなく日本に置き換えても、簡単にいく問題ではないことは明らかであろう。

 しかし、法王の言葉は、なすべきことを語っていると考えれば、理解できる。

 我々は日々どうにもならない現実にじたばたしているが、この今、とか日々とかいう、短いスパンではなく、より長いスパンで見れば法王の言うことは真理である。

 法王は私邸のバルコニーでこのようにいう。
現在というのは相対的です。現在は一瞬といっても半分は過去で半分は未来と考えれば、現在はなくなります。一方、仏教には劫(カルパ)という天文学的に長い時間の単位がありますが、現在をもし今日ととらえたら、今日は24時間、今月ととらえたら、三十日、今劫ととらえたら、今わたしたちの百年の人生なんて一瞬です。物事は何と比べるかで変わってきます。

 そして、明日スタッフがロシアに帰るという夜、法王はこういった。
 「宇宙はいずれ崩壊します。世界は終わるときは終わります。」。この感覚は生物学者や宇宙物理学者とかの時間感覚に近いかもしれない。

 秒単位で為替の上下動に一喜一憂するのも、地球環境を巻き添えにして人類が滅ぶのも、劫という単位からみたら同じ一瞬のことである。ただ、自分たちの行い(カルマ)の結果を得るということだけは変わらないから、法王はあるべき人の姿を説き続けるのである。

 ダライラマ法王曰く
 「私は死を恐れていません。あえていえば、いつ死ぬかだけです。夢で過去生をみたことがあります。何百年も前のチベットだったり、もっと昔のインドでの生です。ブッダの時代にもブッダの近くにいました。服が擦り切れたら新しいのに取り替えるように、死ねば次の体に転生します。私の人生に終わりはありません。

 こうして、チベット人は「来世においてもラマと出会い、その教えと出会うことができるよう」に毎日、祈るのである。
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COMMENT

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Hisano | URL | 2010/10/19(火) 11:00 [EDIT]
先生、私も「サンライズ・サンセット」拝見しました。
どのお話も印象深いものばかりでしたが、中でも一番印象深かったのが「地球が滅びてしまう劫年数」と弥勒菩薩が仏陀になられると言われている劫年数がほぼ同じ事。
1回で終わる人生と、転生の人生、この違いは大きいですよね。







あくび母 | URL | 2010/10/19(火) 15:52 [EDIT]
宇宙あこがれ少女だったころ、思いをはせていたら、目に映る事柄が夢うつつの世界に感じてました。ただの現実逃避だったんですけど(笑)、でも私が大人になるころには、平穏な地球で父母兄弟が体験したことは、はるか昔の不幸な出来事たったんだなぁ・・・って思っているのだろうなと確信していた
・・・もう自分の棺おけの心配しなきゃいけない年になってる、無力感に圧倒されてます

jiro.siwaku | URL | 2010/10/20(水) 22:52 [EDIT]
<MANTRA-OM MANI PADME HUM-VYANAH-Download@ Vyanah.com>
http://www.youtube.com/watch?v=IvA-LFGYYqc
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2010/10/21(木) 15:11 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

シラユキ | URL | 2010/10/23(土) 16:01 [EDIT]
>hisanoさん
法王が絶望にも無力感にもおそわれずにこの無限を前にして嬉々として笑っておられるのを見ると、何か目の前のことをうじうじ悩むことがばからしくなってきます。

>あくび母
棺桶の先にはゆりかごがありますよ。短いスパンでは絶望にみえても、法王がおっしゃるようにどこに視点をすえるかでものの見方は変わってきます。

>jiro siwaku
オンマニペメフン

>モモさん
広島までいかなくとも、大阪での講演は一般に開かれていないのかしら。



Hisano | URL | 2010/10/23(土) 23:09 [EDIT]
>大阪での講演は一般に開かれていないのかしら

大阪での講演は、先着5,000名で無料で参加出来ますよ。
ご参考まで。

あくび母 | URL | 2010/10/24(日) 00:12 [EDIT]
大阪青年会議所のホームページからエントリーできましたよ

ハマーン | URL | 2010/10/24(日) 17:28 [EDIT]
おひさしぶりですe-466
>コメントしていただいた方の指摘によって初めて気づいたが、この直前のエントリー、ダライ・ラマ法王の講演紹介が拙ブログの500回目であった。

これからもますます楽しみにしています。
継続は力なり、ですね(笑)

寒くなってきましたので先生&旦那様&ごろうちゃん共々お体ご自愛ください。

シラユキ | URL | 2010/10/25(月) 09:35 [EDIT]
>ハマーンさん
ありがとうございます。完治のために手術されたとミクシにありましたが、予後順調なことと存じます。くれぐれもご自愛くださいませ。

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