白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/11/29(月)   CATEGORY: 未分類
長野のフリチベ奥深し
 日曜日は長野の善光寺の寺子屋講座でお話させていただく。わたしは駅からお寺まで循環バスでいきますと、いったのに、わざわざお迎えのお坊さんがきてくださっていた。ありがたすぎる。
 
 行きのタクシーの中で、私が「開帳年が終わって、今年は参拝客の数はへりましたか」と伺うと、「昨今のパワースポット・ブームで近くの戸隠が人気になって、そのため善光寺への訪問客も例年よりはあります」とのこと。

 善光寺様につき、事務方のトップのWさんがご挨拶にきてくださる。今年六月ダライ・ラマ法王が善光寺様にいらした時、今私のいる応接室でお会いしたそうで、法王はその時Wさんに旧知の仲のようににこにこしながら話しかけてこられて、Wさんは「今までいろいろな方とお会いしてきたけど、ダライ・ラマは他とは違う圧倒的にひきつけられるものがありました」ときさくにお話してくださる。

 ダライラマ・マジック健在。

 私の前に講演をされている柳沢正志先生もしばらくして講演をおえて顔をみせてくださる。しかし、かつてワセダで自分の授業をとっていた学生であると知り、愕然とする。そりりゃそのくらいの年月はたっているよな。ははは。

 気を取り直して、現場、もとい、会場にいく。スタッフの方がたくさんいてスムーズな会場運営である。普段、ボランティアが走り回って構成される、時間も段取りもゆるゆるなチベット的な会合になれている自分にはまぶしすぎる(笑)。

 いつもなら、紹介の途中で「ここにいらっしゃる方はみなさんご存じですよねー」とかいうところであるが、今日はちゃんと紹介が終わるまでおとなしくしていた (当たり前だ 笑)。

 聴衆は年配の方が多い。私の前の柳沢先生は念仏のお話で、漢字がいっぱいのテキストを用意しているのに、自分のテクストはひらがなばかり。砂マンダラの解説をテーマに頂戴していたのだが、チベットでは密教のお話は顕教を行ってからでないと許されないので、帰依からはじまり、六波羅蜜の智慧の説明まで簡単にしてそれから密教の話しをした。

 途中黒板を使おうとしたら、お坊様たちが、わたしのために黒板を移動させようと数人がざざっときてくれそうになったので、「大丈夫です。今の内閣みたいに浮き足立たないでください。」といってとどめる。お坊さんには常に堂々としていてほしい。

 そして、終了後、善光寺事務局さまの好意でサイン会をやらしていただくこととなる。開口一番「あらかじめ言っておきますが、わたしの字は汚いです」。すると、先頭にいた女性が「わかってます」(笑)。

 この方はランツェンワンモさんで (笑)、善光寺大門町の八幡屋さんのマカロンをおみやにくださった。ありがとうございます。先頭の三~四人はおそらくはフリチベさんと思われる。なんでわかるかというと、若いということと、わたしごとき一般人に握手をもとめたり、「妻もきたがっていたのに子育てがあってむりでした」とかいうコメントからそれかなにげに伝わってくるのである。

 長野のフリチベさんたちに幸いあれ。

 善光寺のお坊さんたちは私の話をちゃんと聞いてくれて、最後にお寺用に、と拙著をお買い上げくださった。ので、「善光寺のお坊様たちへ」ときったない字でサインした(はは)。
それにお土産に昨年のご開帳のうちあげの際に用いられた成滿記念の散華を頂戴する。匣からしてありがたい、中身は一流の日本画家中島千波の描くサクラ絵である。暖かいおもてなしに本当に痛み入った。
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 そのあと、あの若麻績さんのご案内で、善光寺の門前にある浄土宗の大寺、西方寺さまにチベット大仏を拝観する。住職の金子栄一先生はチベット学者で、今年六月法王が長野にいらした折にこの西方寺にもお出ましになられ、このチベット大仏の落慶供養を行った。

 ご住職はお通夜で不在であったが、内弟子の方が説明してくださる。彼によると、チベット大仏をまつるこのお堂は、浄土三部経の一つである観無量寿経に説かれる極楽をうつしたものである。だから、この仏は阿弥陀仏であり、まわりには善光寺様のご本尊同様、観音・勢至の二菩薩の絵をかけている。しかし、この二菩薩以外にも複数の菩薩がいるのでそれを聞いてみると、いずれチベットの八大菩薩が揃うという。
 
 この中尊を最初お写真で拝見した時、お釈迦様の像かと思っていたのだが、説明では釈迦・阿弥陀同体であるという。そういえば、この仏様説法印を結んでいるが、この仏様のモデルとなった觀無量寿に基づく当麻マンダラの阿弥陀様も説法印を結んでいる。

 内弟子の方のお話によると、もう一つ日蔵折衷の部分があるそうで、観音様の絵を指さされた。観音様の頭には日本でもチベットでも必ず小さな阿弥陀仏をのせ、観音は阿弥陀様の化身であることを示す。この場合、阿弥陀様は、チベットでは生首状でのるが、ジャパンの観無量寿経では立像である。なので、この西方寺の観音様の画像は、チベット風とジャパン風両者を尊重して、生首と立像の両方がついている(笑)。
 
 法王が開眼供養の際に導師としてお座りになられた座、法王が呪物(スンシュク)をいれた仏様の背中の穴などを拝見する。ありがたや。そしてこの仏像の製作過程と、法王をお招きしての落慶式をおさめたDVDを頂戴した。
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 それから、善光寺のお坊さんお三方ならびデザインをお仕事とされているAさんとともにお食事。知っている方は知っていると思うが、今年六月、法王事務所は亡命生活50周年のチベット社会の歴史を知ってもらうべく『希望』という本をだした。

 なかみはチベットの写真を多用して歴史、文化、それから、難民社会の生活、本土における弾圧の歴史などをまとめたものである。この小冊子を手にした時、そのセンスのいいスタイリッシュな編集に、「法王事務所もやるじゃん」と思ったたものだが、この編集はAさんが手がけていた。
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 今年六月に法王長野講演のパンフレットもAさんのデザインである。パンフレットの表紙には善光寺様のシンボルマーク、タチアオイ紋の上に、チベットの吉祥紋があしらわれており、チベットと善光寺の出会いが象徴されている。そしてパンフの中にはチベットスタイルで描かれたうつくしい観音菩薩の散華が入っていた。

 いつも感心するのは、チベットのまわりには損得ぬきで、才能と誠実さを捧げる優れた女性・男性がじつにたくさんいる。お金にもならず、地位も名誉も何も期待できないのに、でもみな心を込めて一期一会の集まりのために美しいパンフやウェッブや本をつくってくれている。世の中には半端な仕事しかせずとも、対価や評価を求める人があふれているのに、チベット・コミニュティの周囲には、ちょっと普段はお目にかかれないような奇特な立派な方ばかり。

 お坊様たちからは善光寺の伝統にまつわる様々なお話、聖火リレー辞退の時のお話などを伺う。面白かった。

長野駅に帰り際、事務所にたちよったAさんから、最新号の『コンパッション No.3 特集ダライ・ラマ法王』(智山派青年僧侶有志の会発行)を頂戴する。法王来日記念号なので、そうそうたるメンバーがダライ・ラマ法王について書いている。

 また、チベット人歌手シェルテンのCDを「応援しているんです」と私にくださった。『コンパッション』をめくっていると、この中にもシェルテンの歌が掲載されていた。

 外大の浅井さんが和訳されているシェルテンの詩は寓意的。「善なる父」はダライ・ラマ法王のことを指しているようにもとれるし、「母」はチベットの大地を指しているようにも聞こえる。もう一つの曲は父母をおいて家をでる若者の歌で、これはインドへの亡命とも、仕事や進学で中国の内地にいかざるをえない人々の声を代表しているともいえる。

 人のたくさん集まる大都市ならまだしも、この静かで美しい長野の地のどこから、老・若、僧・俗、学者・非学者の別をこえて、様々な形でチベットの文化や今を発信する力が生まれてくるのか、本当に不思議であった。

 長野のフリチベ奥深し。

 
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COMMENT

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● お疲れさまでした
wakui | URL | 2010/12/07(火) 10:44 [EDIT]
長野遠征お疲れさまでした!
デザイナーAさん、私が渡した台湾土産の干しマンゴーを食べながら先生のお褒めの言葉に照れまくりでした。
先生はノセるば、ノセるほど面白くなると的を得た石濱評もしていましたtが…
そんな面白「寺子屋」に行きたかったですよ~

シラユキ | URL | 2010/12/13(月) 16:22 [EDIT]
>wakuiさん
ありがとうございます。Aさんのパンフ、本当にいいお仕事でした。みなさんもこれから寒くなりますが、ご無理をなさらないでください。

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