白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2010/12/22(水)   CATEGORY: 未分類
チベットオタクのみた今年の十大事件
 今年もあと十日ほどで終わり。毎年恒例(だったっけ?)、「チベット・オタクのみた2010年」ちなみに、このうち五つは極私的五大事件です。

 ちなみに、歴史学者なのでランキングは事の軽重ではなく時系列で並べています。

(1) 21世紀の万里の長城に引きこもる中国

1/13にグーグル、中国当局が中国民主活動家に対するサイバー攻撃を行っていたことを理由に中国から事業の撤退を表明。この時、グーグルはイタチの最後っ屁のように中国が検索不能にしていた(ネット内に万里の長城を築いて自分にとって都合の悪い情報をブロックしていた 笑)、ダライ・ラマ、天安門事件などの検索ができるようにした。グーグルの創業者はこの時「汚い金は稼がない」といって本当にかっこよかったです。

 後にウィキリークスによって、この時の攻撃はグーグルが言う通りに中国政府主導なことが明らかにされた。国を挙げてハッカー攻撃とはかの国の闇は深い。
 結局グーグルは経営陣の意見が通り中国市場に残った。

(2) チベットをおそう大災害(ギグド大地震 ラダック大水害)

 4/14 ギグド(ジェクンド)を大地震がおそい町は瓦礫とかわった。ギグドはカム(東チベット)の町であり、歴史的にはチベット人、あるいは中央ユーラシアからながれこんだ諸民族が、交易によって暮らしていた町であり、人口希薄なチベットの基準から言えば大都市だった。ご当地のギグド寺(サキャ派)の僧侶たちが大量の犠牲者の遺体を火葬にする悲惨な写真がネットで出回った。今、中国は急ピッチでこの町の「再建」を行っており、いずれ中国風アパートのたち並ぶどこにでもある中国の地方都市に生まれ変わる予定。

 ラダック大水害は、下流ではパキスタン大洪水となった。地球温暖化の一環の異常気象と言われ、ウィキリークスによると、ダライ・ラマ法王も気候変動の影響を受けやすいチベット本土のことをとても心配されている模様。

(3) 泰平の眠りをさます特攻漁船

 9/7午前、尖閣諸島近くの日本領海内で中国漁船が海上保安庁に特攻。海上保安庁が船長と船員を逮捕したら、中国政府は駐中丹羽大使を深夜に呼びつけるわ、フジタの社員は明らかにいやがらせで拘束されるわ、日本への中国人観光客を禁足するわ、レアアースは禁輸されるわ、それでびびった日本政府は9/24日に船長を解放した。

 しかし、これがいかに外交術として下の下かはその後ロシアの大統領が北方四島(ロシアが実効支配しているが日本が返還をせまっている地)におりたち、暗に返す気がないよ、といったことからも明らか。

 この件で唯一良かったことといえば、中国がこういう国(ヤ×ザ)だということが、日本人にも広く知れ渡ったこと。チベット人は六十年前から知っていましたが。

「泰平の眠りをさます特攻漁船、たった一隻に夜も眠れず」

(4) 空の椅子の置かれたノーベル平和賞授賞式

 10/8 劉暁波ノーベル平和賞受賞が決まった。中国がまちこがれていたノーベル賞が、中国政府を批判する活動家に授けられたことにより、ただでもオトナとは言い難い中国政府は幼児化が急速に進行した。

 まず、外国の衛星放送をまっくろにして情報を遮断。劉さんの家族を軟禁し、支援者を監視し、授賞式の会場には代理人すら出席できない状態にした。さらに、各国大使に圧力をかけて式典に参加しないように運動。こんなことやる方がメンツがつぶれるだろうが。

 受賞者なしのノーベル平和賞は、ナチスの批判をして獄中にあったオシエツキー以来であるため、「中国はナチスなみ」という空気が世に漂い、会場に置かれた空の椅子が中国の横暴を雄弁に物語った。

 しかし、ここで終わらないのが中国のすごいところ。いい年をした中国のオッサン学者たちが、孔子平和賞なる賞を勝手につくり、臺灣の蓮戦元副総統に授与した。蓮戦は「シラン」といったため、関係のない少女が迷惑そうに賞をうけとった。これはお笑いニュースとして世界をかけめぐり、劉さんの不在にしゅんとなっていた世界を笑いの渦に包んだ。

(5) チベット語をまもるため子供がデモ

 10/19 アムド(東北チベット)のレコンで漢語教育の強制に反対してチベット人の学生たちがデモを行った。このデモは青海全体に広がり、中国政府の同化政策が行くところまでいったことを印象づけた。

 文化大革命の時代、チベットの言葉はもちろん、チベット文化はすべて禁止された。しかし、文革が否定されると同時にチベット語の使用も再開されていたが、89年のチベット人蜂起以後、ふたたび同化政策が復活。

 中国政府「中国語がしゃべれたら、就職もできて、チベットの若者も不満をもたなくなるだろう」って、それ、中国が批判してきた帝国主義の論理ですから。チベット語でも就職できる場をつくり、チベット文化を尊重してこそ、中国がこの六十年間チベットに対して行ってきた罪を償い、世界に貢献できる唯一の道なのですが。
 チベット文化を理解し護っているのが海外の人間である時点で、中国政府にチベットを支配する能力も正当性もないことが証明されている。

 以上が、チベット五大事件。以下に備忘として極私的五大事件をあげます。

(1) 『世界を魅了するチベット』を発刊

 3月、三和書籍より『世界を魅了するチベット』を発刊。元ゼミ生のO君との約束も果たせ、かつ、チベット文化のために多少のお役にもたて、コバンザメサイン会(笑)も実現し、なかなかステキなお仕事となった。

(2) はじめての「教育」

 4月に某大学院にはいった院生Mがチベット史をやりたい、というので、はじめて院生の指導らしきことをはじめた。「自分の研究のノウハウを誰かに伝授し、あわよくばその一部でも受け継いでもらう」という作業は新鮮だった。まだ、院生Mがものになるかどうかは未知数だが、今生でだめでも、来世に大成するかもしれないし、何もムダになることはあるまい。

(3) チッタマニ行者になる

 6月、出雲の峯寺でチッタマニの行を授かり、それから毎朝チッタマニの行をやることに。毎日人格者になるシュミレートを行っているうちに、なんかもう一人善人の自分がつくられていくような気がする。このままこれを続けたら、ひょっとしたら遠い未来に善人になれるかも?

(4) 朝日新聞をやめる

 11月、祖父母の代よりとっていた朝日新聞を毎日新聞にかえる。わたしは保守的なので新聞のチェンジにはなかなか勇気がいったが、変えてみたらこれが結果オーライ。毎日新聞はルポが良質で、普通にジャーナリスティックだ。今思うと朝日新聞て、文学青年崩れが作っているし、読んでる新聞なんだよね。私は歴史を学んでいるので、「物語」「ブンガク」とかよりも、「事実の力」の方が性にあっている。変えて良かった。

(5) チベットの高僧来日ラッシュ

 今年はダライ・ラマ法王が六月と十一月の二回来日され、さらにゴマン学堂の大学僧、早大生をびびらせたゲン・ロサン先生が初来日。また、ガワン先生の後をつがれたミスター『入中論』が初来日された。12月17日に清風学園で行われた、ミスターを導師とするチッタマニ灌頂儀礼において、なんと私のカパーラを使っていただき、さらには、清風学園の理事長が高野山の法要にお出かけされて留守だったので棚ぼたで、マンダラ奉献を初めてやらせていただいた。

 チベットの高僧たちが島国日本にまででむくのは、仏法を広めるという大義に加え、仏法を学び実践する数千人のチベット僧の生活を支える運営費を集めるためである。インドにいるチベットの僧侶の大半は妻帯せず、生涯を僧院の中で修行と勉強をして過ごす。上座部仏教なんかと僧院生活は近いかな。チベットが中国に奪われた後、大量の僧侶たちはインドに難民となって逃れたが、荘園も政府も施主もいなくなったため、にっちもさっちもいかなくなった。

 しかし、ダライ・ラマを初めとするスターな御坊さまたちはあきらめなかった。世界中をまわって仏教を説き、その結果、多くの人々がチベット文化の価値を知り、チベット仏教を支えようと決心した。その結果、今やチベットの本山級の僧院はぼぼ全部南インドに再建された。

 しかし、その経営は有力な施主に恵まれた一部の僧院以外は火の車である。

 今、日本の社会では鬱とか自殺とかが社会問題となっているが、チベット仏教の高僧は日本人の悩みを笑い飛ばしてくれる。彼ら高僧たちは現代社会には希少となってしまった「人格者」。自己啓発本とか読んでいて「頭ではわかっていても、実際にやるとなると」という人は、それを達成した人を直に目で拝むといい。百聞は一見にしかず。

 日本人がもっとチベットの高僧のことをしれば、日本人は幸せになり、人が幸せになる技術「仏教」は存続しよう。

 というわけで、来年もチベットをよろしくお願いします。
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COMMENT

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● おつかれさまです
uralungta | URL | 2010/12/22(水) 01:56 [EDIT]
今年も本当に残りわずかなのですね。
お世話になりありがとうございました。

先生、ジェクンド(ケグド)はカムです。アムド・ゴロクと接していて言葉の共通性はあるし、50年以上青海省に入れられ、結果としてアムド語を解する人も多くなっているとは思いますが、カムです。ザチュカのセルシュゴンパのお坊さんたちが省境を越えて被災地に駆けつけて大歓迎されたのも、同じ言葉を話すカムパだという連帯感だと思います。
カムなのに青海テレビ・ラジオの「民族の言葉」はアムド語、進学先も青海省内が中心となるためアムド語ばかりでちょっと気の毒なエリアです。(同様に四川省のンガワも、アムドなのにカム語ばかりの環境にされてて気の毒です。)チベット古来の地域区分と、現状の中国当局の自治体区分にずれがあって、南部藩が岩手と青森(八戸)に分けられちゃった、みたいな状況を感じます。
四川への帰属をめぐり馬一族が戦争に勝っちゃった、という歴史的経緯があるので、「中国共産党が故意にカム・アムドを分断した」とまではいえないかもしれませんが。
あと、台湾の元副総統はペマ戦じゃなく連戦です。

| URL | 2010/12/22(水) 02:36 [EDIT]
>uralungtaさん
ありがとうさん。直しときました。

ジーマ | URL | 2010/12/22(水) 22:51 [EDIT]
自己啓発本ばかり読んでいるこの頃です(笑)
と言っても、最近は儒教、仏教ごちゃ混ぜの東洋思想と古典にはまり中。「致知」なる雑誌購読中。
や~古典は素晴らしいです。
チベット仏教の奥深い話を、もっと簡単に読める本があればチベット仏教思想が広まるのでは。

嶺のシラユキ | URL | 2010/12/25(土) 11:56 [EDIT]
>ジーマくん
奥深いものは、やはり段階を踏んでいってはじめて理解できるもの。奥深い門の入り口だったら『ダライ・ラマ 幸福論』とかでもわかりますよーん。

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