白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/02/02(水)   CATEGORY: 未分類
中東ドミノの行方
 チュニジアからはじまったツイッター民主化のうねりは、ヨルダンの政権交代を促し、エジプトで長期独裁をしてきたムバラクちゃんをゆさぶっている。

 カイロの中央部に集まる数十万人の人の群衆を見て、1989年の東欧の民主化ドミノを思い出した人も多いだろう。

 1989年の民主化革命は、事実上、ポーランド出身のローマ法王ヨハネ・パウロ二世が1978年に教皇位についたことから始まった。
 ポーランド人は敬虔なカソリック教徒であったため、ポーランド人教皇の出現に大慶び。しかもこの教皇、就任式で「畏れることはない」なんて言ったもんだから、ポーランド国民これを「教皇様が共産党政権をおそれるな、とおっしゃっている」と受け取り、それが共産党政権を崩壊に導いた。

 時のソ連の支配者はかの開明的なゴルバチョフどんであったため、ポーランド人の民主化を阻害しなかった。その結果1989年にポーランドで初の自由選挙が実現して、共産党が政権を追われ、その後、共産党と長年にわたって戦ってきたワレサさんが大統領になったわけ。ポーランドの成功は燎原の火のように東欧中に飛び火しあちこちでぼーぼー燃えさかった。

 1989年に東ドイツにおいて30年も独裁していたホーネッカー政権が崩壊し、ベルリンの壁がくずれ、チェコではビロード革命がおき、ルーマニアではチャウシェスク大統領が失脚・銃殺された。ドミノである。

 ポーランド、東ドイツ、チェコの三国の体制転換はほぼ無血であった。独裁体制の側は軍隊を動員してデモ隊を鎮圧しようとしたが、民衆の数が圧倒的だったこと、また、民衆の行動が非暴力で粛々としたものであったため、独裁者側も引かざるを得なかったのである。

 ちなみに、民主ポーランドの大統領となったワレサさんと、民主チェコの大統領となったハベルさんはダライラマと大の仲良しであり、ダライラマはワルシャワの市民権もたしかプラハの市民権ももっていたはずである(ちなみにこのブログに誤変換が多く時にあやふやなのは、書いたものを見直さないからです)。

 東欧の体制変革の際にもっとも感動的だった場面は、軍隊が民衆を撃たないと決意した、あるいは、それがわかった瞬間であった。それは同時に、体制の敗北が決定した瞬間でもあった。
 
 ちなみにこの1989年、もっとも感動的でなかったのは、ビルマと中国の対応であった。
 1988年にはビルマで、翌1989年には、中国においても天安門前で民主化をもとめる学生がピケをはったが、この両国は丸腰の学生を機関銃でうち、戦車でひきころして、今もなお独裁体制を続けている。中国とビルマでは、軍が国民に銃を向けることに疑問を持たなかった。

 今回、チュニジアからヨルダン、そしてエジプトに民衆蜂起がひろがった時に、国際社会がまず心配したのは、民衆が非暴力を貫けるか(テロとかに走らないか)、軍が国民を天安門の時のように武力で弾圧しないか、ということであった。前者については微妙で、一部は暴徒化して博物館の展示品を壊したりショッピングモールの略奪とかしているようである。しかし、後者については二月一日、エジプトの国軍がデモ隊の容認を公式に表明したので、今のところは大丈夫なよう。つまり、中東は、民度については東欧よりは低く、国軍のモラルについては1988年のビルマと1989年の中国よりは高いということか。
 
 国際社会が次に心配しているのは、かりに中東で民主化が進んだとしても、民主主義が衆愚化して、その結果、国際社会にメイワクをかけるような政権が生まれないかということ。

 たとえば、「イスラームの教えに従うと偶像崇拝はいかんからファラオの像を壊せ」とか、「イスラエルにジハードを」とかいう宗教過激派の政権をつくっちゃったりとか、また、混乱を鎮めるためには力が必要、とかいって、ムキムキの軍事独裁政権をまた作っちゃったりすることである。ようは自国をまとめるために他国を攻撃するような、しょうもない政権ができないかと心配しているのである。

 思えば、神様は共産党よりも強いが、世俗的な政権(王制・民主制)よりも強い。世俗的な政権は人間の肉体しか支配しえないが、宗教家は心を含めて全人的に人を導くことができるから。世俗の政治家がダメダメで、宗教者が人格者なら、世論が後者をおすこともあろう。

 その宗教者の教えが、普遍的かつ道徳的であり、他者を排斥しない博愛的なものであれば、その国の民は幸せだろうし国際社会もその政権の存在を喜ぶだろう(チベット難民社会のように)。このような人がトップにたつ政権が出現した場合は、イスラーム政権だからと毛嫌いせず、みんなで生暖かくみまもりましょう。

 一方、戦闘的で自己本位で、自分の煩悩を炸裂させるためだけに神の名を妄りにかたるようなエセ宗教者がリーダーになったなら、どうしたものか。国民は苦しむだろうし、国際社会もその扱いに困るだろう。

 そうなったら、エジプトの基幹産業は観光なので、とりあえずみなでエジプト旅行をボイコットして(笑)、日本人なら北陸に雪かきのボランティアに、アメリカ人ならカリブ海沿岸の重油被害の洗浄ボランティアにいきましょう。

 
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COMMENT

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● イスラムと民主化
宰相 | URL | 2011/02/05(土) 12:11 [EDIT]
エジプトに関して言えば、中東和平をなし遂げたサダト大統領を暗殺した連中を抱えるムスリム同胞団と、ナセル以来大統領を輩出し続けた軍、このどちらが主導権を握るかが焦点になるのではないかと思います。IAEAのエルパラダイ事務総長なんてのは、話になりません。

前者主導ならば、エジプトはイ○ンとか、アフ○ンのような国家になる可能性が強く、国内は大荒れ、スエズ運河の危険が増し、ヨーロッパは物流が大混乱。もちろんイスラエルは黙っていないでしょう。

後者主導ならば、まだトルコ、あるいはインドネシア、韓国型の民主化が達成される可能性はありますが、元空軍の将軍だったムバラクを輩出したという前科があるため、表立っては動きにくいでしょう。

個人的にすれば、軍出身で反米のチャンピオンで宗教的に過激派だったけど、保身のために親欧米・アフリカ主義になってマネー道を突っ走るカダフィみたいなリーダーが出てくればいいなと密かに思います。

いずれにせよ、しばらくの石油・原料価格の高騰と、便乗値上げ、ユーロ下落の反動円高は避けられないでしょう。こんなんでええんだっか?

シラユキ | URL | 2011/02/07(月) 17:50 [EDIT]
>宰相くん
君がでてくると思いましたよ。修論ポーランドだったもんね。ムスリム同胞団ってでもそんな過激でない感じじゃない?今のところは。

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