白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/02/16(水)   CATEGORY: 未分類
エジプト革命
 エジプトの民衆蜂起は、とうとう30年もの間エジプトで長期独裁をしいてきたムバラク政権を倒した。11日深夜、例によって最初はツイッターに「ムバラクカイロを離れる」という一報が流れたので、すぐにNHKをつけたが、NHKは平常心でいつもの番組編成。ニュースになったのはずっと後のことだった。
 
 そして、翌日の世界のニュースにかぶりつく。BBC、CNNと歓喜にわくタハリール広場の熱気がつたわってくる。みな、恍惚とした表情で「自由だ!!!!!」「今までは意味がなかったけど、これからは選挙にいく」「オレは三十歳だが、ムバラク以外の為政者をみたことない。これからは誰でも大統領になれる」というような、象徴的な言動とともに人々の熱狂を伝えていた。
 
タハリール広場にいるABCのレポーターは明らかに感動を押さえきれない高揚した表情をしていた。
 
 で、対照的につまんなかったのが日本の報道。NHKは一応特番をくんでいたけど例によって「識者」が数人よばれて、明らかに中東の情勢に通じていない女性アナウンサーが司会をして、今後エジプトがどうなるのか、というような話しをえんえんとしていた。そもそも全員が「こんなに早くエジプトの体制が崩れるなんて思っても見なかった」と認めている方々が、「今後」のエジプトの未来について正確な予知ができるのかちょと疑問。

 もうNHK、BBCとCNNを流すだけでえーよ。

 今回のエジプト革命の最大の見所(失礼)は、グーグルの幹部ゴネム氏の涙によって引き起こされた11日の金曜礼拝後のデモであった。あの日のデモは明らかに〔どの神かは知らんが〕神が降りていた。

 チュニジアでの政変が1/25日にエジプトに飛び火した時、指導者なきデモは日に日に参加者は増えていくものの、人々は不安な顔をしていた。
 日本のような平和な国に住んでいたら理解不能であろうが、独裁国家というものは、体制をゆるがす、と判断したら、則令状なしで逮捕拘束。言論の自由もへったくれもあったもんじゃない。教育がなくて給料安くて賄賂とか要求する警察が強権ふるう社会なのだ。

 そんなところで、体制批判どころかデモをやるのは命を捨てる覚悟がないとできない。 
 やがて、エジプト軍が国民を撃たないことを表明したので、民衆はもりあがった(第一次ピーク期 笑)。しかし、ムバラクはなかなか辞任しないため、民衆は広場にとどまり続けた。

 そして、二月にはいってすぐの二日と三日、突然エジプトの国営テレビ(もちろん背後にいるのはムバ)は「デモ隊は外国から金をもらって騒ぎを起こしている無頼漢」「外国のマスコミはそれをあおっている」と言い始め、地上波しか見られない貧困層を洗脳しはじめた。そこでカイロにいた外国のジャーナリストがいっせいに街角のエジプト人から憎悪を向けられ、報道陣は安全のためホテルから出るなと禁足がだされた。

 さらに反体制派が集まるタハリール広場にはラクダや馬にのったオッサンたち(一説には与党議員に頼まれてやったとな 笑)がつっこみ、デモ隊を傷つけ始めたため、それまで非暴力を貫いていた民衆の中に憎悪が生まれはじめた。エジプト人同士が憎み合う姿を見て、これ以上デモを続ける意味があるのか、と思い始める人がでてきてデモはぐだぐだになっていく・・・。

 カメラを持っているだけでおそわれた外国マスコミたちもエジプト人の阿Q(by魯迅)ぶりに、「あーあ」とため息。

 しかし、そのようなぐだぐだな民衆が一夜にして変わった。一人の青年の涙で。

 その青年ゴニム氏はグーグルの幹部であって、ドバイに駐在中にフェースブックで反政府デモをよびかけ、帰国と同時に逮捕され12日間にわたってエジプト政府に拘束されていた。そして、7日に釈放された足でテレビにでて、自分の呼びかけたデモで命を落とした若者たちの写真を見て絶句。「僕は安全なところからキーボードをたたいただけだ。英雄は街頭にいるあなたたちだ。権力にしがみつくやつらが悪いんだ」と泣きながら語った。

 この映像はYoutubeにのってまたたくまに広まった。
 翌日タハリール広場のデモに加わったゴニム氏は、CNNのカメラに向かって
「自分はいつ死んでもいい。死ぬ用意がある」と言い切った。

 まるで十字架を背負ったキリストである。

 彼はまだ30歳。正義を信じて民衆を蜂起させるところまではよかったが、自分の呼びかけで動いた人が死ぬ、という結果までは想像していなかったのだろう。

 ガンジーも自分が動員したデモ隊が暴徒になったり、また、警官隊と衝突して死者がでた時は(アムリッツァーの悲劇)、ただちに不服従運動を停止して断食した。インドとパキスタンが分離した時の暴動の時には、死線をさまようほどの断食をした。
そして、自分はインド人を融和させることはできなかった、として、ノーベル平和賞を何度も辞退している。彼は命をかけて真理=愛のために生き、それを実現できない民衆の前で苦しんでいた。宗旨は違うけどキリストである。

 余談だが、その昔アップリンクでお話させてもらった時に、客席にいたとある大学教授(その週の朝日で顔写真入りで文章書いていたので、すぐわかった)が立ち上がり「ガンジーは平和を壊してばかりだ」みたいなことをいって、非暴力思想を平和と安定の敵みたいに決めつけた。しかし、彼の見識はムバラクと同じ。

 ガンジーも反政府デモの民衆も、平和と安定を乱すためにあんなことをやっているのではない。自由と信頼と愛のある社会を求めて立ち上がっただけなのだ。独裁政権は体制を批判しただけで人々を公開処刑して、恐怖によって人々を黙らせている。そうして得られた治安は平和と言えるのだろうか。

 2007年にダライラマがアメリカの下院から授与されたゴールド・メダルには有名なダライラマの言葉「暴力がなくなったたけでは平和とはいえない。真の平和は他者を思いやることからはじまる」が刻まれている。

 「治安」「平和」を理由に掲げて居座っているあらゆる独裁者に対してこの言葉を捧げたい。
 で、このグーグル幹部の青年の涙によって、デモはゾンビのように息を吹き返した。
 今度は人々には憎悪も恐怖もなかった、まるでお祭りの時のように、広場に子供をつれてピクニックのようにやってきた。

 そして、11日の金曜礼拝後のデモは1/25日に反政府デモが始まって以来最大規模となり、ムバラクを退陣に追い込んだ。
 
 人の心に響く言葉というものがある。
ムバラクの言葉は民衆に響かなかったけど、命を捨てた青年の言葉にみなは動かされた。

 独裁者は自分をまもるために、力尽くで人を動かそうとするけど
 非暴力の聖人は自分の命を捨てて、人を自分から動くようにする。
 そして動いた人間は前とは同じではなくなっている。成長しているのだ。

 11日のタハリール広場ではもはや欧米のジャーナリストが襲われることはなく、みなが我先にカメラに向かって〔無血で体制を覆した〕「自分たちを誇りに思う。エジプト人であることを誇りに思う」と叫び続けていた。

 ここは感動する場面だろう。

 革命の熱狂はいずれ冷める。すぐに現実がはじまるからこそ、この人間の尊厳とか可能性を示す一瞬の輝きに酔わなければ。

 久しぶりにええもん見させてもらいました。

 おまけ
 再び余談だけど、Oくんがツイッターでつぶやいていたが、劉暁波氏のノーベル平和賞授賞式を欠席した国は、以下の19カ国。

中国、ロシア、カザフスタン、キューバ、モロッコ、イラク、コロンビア、チュニジア、サウジアラビア、パキスタン、セルビア、イラン、ベトナム、アフガニスタン、ベネズエラ、フィリピン、エジプト、スーダン、ウクライナ。

 見事に独裁政権が並んでいる(爆笑)。
 チュニジアとエジプトはいってますな。中国様とロシア様の息のかかった見事な独裁連帯。
 フェースブックでもやるか(笑)。
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COMMENT

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あくび母 | URL | 2011/02/17(木) 13:19 [EDIT]
 ほんまに、久しぶりにええもん見させてもらいました

歴史が、刻まれた瞬間なんですね。 一歩先がどう進むか、
願わくば祖国を誇りに思った人々が報われるお国になったらいい
ですね
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2011/02/18(金) 00:08 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

じゆーじん | URL | 2011/02/18(金) 00:20 [EDIT]
H.Hの活動に対して’彼のエゴに思えてナラナイ。。’といいはなった年輩の男性が大学の先生???
寂しい人だなと思った覚えがあるけれど。。
学生になにを教えるんだ~????大丈夫かぁ・・・立ち眩みしました。ホント
エジプトの未来より日本のほうがやばいですよ。
(と書いたもののあまりこの件で熱くならないで下さい。)

嶺のシラユキ | URL | 2011/02/21(月) 00:23 [EDIT]
>あくび母さん
そうですね。未来は不確定だからこそ、いいものになるように努力してほしいですね。

>tsubakiさん
いろいろアドバイスありがとうございました。

>じゆーじんさん
私も人のこと言えるようなもんじゃありませんが、大学の先生って相撲部屋くらい閉鎖的なので、天才も護られますが、明らかにおかしい人も護られてしまうのです。だからあれは実は氷山の一角です。学生も哀れです・・・

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