白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/07/23(土)   CATEGORY: 未分類
期末のドシュラバを乗り切った(のか)
 震災で新学期のはじまりが一ヶ月遅れ、あらゆる会合、会議、締め切りが七月にずれこみ、ヒャッハーな一週間だった。暑かったり寒かったり極端なので、肩がこりまくり、頭痛はしまくり、口内炎はできまくりで、そうでなくともないやる気がますま失せていく。しかし、そんなこといっていてはハタチそこそこのうちの学生と同じになってしまうので、何とか踏みとどまって予定をこなした。
 一つ一つの仕事はアレレになっても、流れをとめてイタタになるよりは、これでいいのだ。バカボンのパパか。

 疲れてくるため、授業も地がでまくる。卒論の書き方、指導がこんなことに。

私「先行研究は資料aと史料Bをもとに白傘盖仏の寺を「佛香閣」であると結論しているのだが、この二つの史料aとbの内容には明らかに矛盾がある。とくに史料Dをみれば、先行研究のだす「佛香閣」という結論にムリがあることは明白だ。この問題意識をもちながら史料をさがすと、以下の三つの史料が見つかる。この三つに基づけば別の結論「白傘盖仏の寺は闡福寺である」に導かれるはずである。」

私「さてここで質問。これだけでも闡福寺説は確定的だが、さらに確実に自分の説をより強固にするためにはあとどのような証明が必要か」

学生たち「・・・・・」

私「簡単だ。乾隆年間に佛香閣の本尊が白傘盖仏でなかったことを宮廷の財産目録で裏をとればいい。こうすれば、相手の息の根を完全に止めることができる」

学生たち「卒論の目的って相手の息の根を止めることなんですか」

 さて、本題。いろいろな方からご寄贈いただいていた書籍を今回は一括してご紹介。出てから久しいものもあるので、すでにもっている人は要注意。

◎まず、アジアで草の根支援を行っているお坊さん集団、四方僧伽の『Little Tibet』(集広舎)。インド、ネパールのチベット難民キャンプの写真集で、収益の一部は難民コミニュティ支援に使われるとのこと。四方僧伽の活動その他はこのサイトに詳しいよ!

◎そして、これは本ではなく雑誌の『火鍋子』現代中国の作家の書いた文章を和訳して紹介する雑誌のようであるが、毎号32才で夭折したチベット人作家トンドゥプゲ(1953年生まれ)の小説が翻訳されている。この作家についてはI love Tibetでも紹介されているので詳しくはここくりっく

 この小説を和訳しているグループの一人であるO氏によると、彼の評価は相半ばしており、中国よりとして非難する人と、チベット語で小説書いているんだから(多くのチベット人作家は漢語で小説を書く)、チベットをないがしろにしてないよー、という人などいろいろ。
 何にせよ、彼の小説を読むと、本土に踏みとどまって、なおかつ僧侶になるでもない、俗世の知識人のチベット人はアイデンティティが定まらず悩みが多いなあという印象を受けた。O氏によると、欧米人は漢語よりもチベット語が堪能な人が多いため、チベット人作家でもチベット語で書く人はグローバルな評価を受け、漢語で書く人は漢語を解する中国において評価を受けるらしい。

 さらに、東チベットにずいずい入っている川田進先生の現地調査も毎号のっており、これもまたこの雑誌の見所。中国書籍の出版で有名な京都の朋友書店から出ているのですが、アマゾンでかえません。このレアな文学雑誌を買いたい方は直接朋友書店に連絡してください。

◎ 最新刊は『ラダック・ザンスカールの仏教壁画』(渡辺出版)
本1

 インドの東北にあたるラダック・ザンスカールはチベット文化圏。中国共産党が支配したチベット本土は社会主義思想に基づいて寺や仏像や仏塔は破壊されたが、インドの支配下にはいったこの地域は、古いチベットの姿がなお残っている。この地域には、かつて、高野山大学、種智院大学、成田山新勝寺など多くの大学が探検隊を送って報告書をつらねている。この写真集は森一司という今年80才を越えるお医者さんが1986年から2005年まで32回にわたり、平均で一年に二回この地に入り、とり続けた壁画の写真を、私財をなげうって出版されたものである。

 ご本人による「あとがき」などをみると、「何のために書かれたのか分からない」仏たち、「複数の僧侶グループによって書かれたのかサインもない」などの表現があり、仏画をとり続けた情熱が、純粋に美術的なものであることが分かる(心の声; マンダラなんだから、修行や信仰を目的として書かれたにきまっとるがな 笑)。

 まあ、つっこむのはそのくらいでやめておきます。写真の角度修正はチベットの建築の研究者である大岩先生、仏画の仏さまの説明についてはチベットの仏教美術の専門家である田中先生が監修しているため、そのあたりの品質は確かです。ラダック・ザンスカール好きの方、どうぞ。
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