白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/08/06(土)   CATEGORY: 未分類
前期最後の学生との語らい
 八月四日は前期の授業最終日であった。めでたいことにあまり暑い日が続かなかったため一応最期の日まで教室に冷房は入った。

 解放感にあふれつつエレベーターにのると、去年現代史研究の授業を前の方で聞いていてくれた男の子がいた。

私「君、現代史研究の授業で割と前の方で聞いていたよね。今年に入っていろいろあったけどどう?」と聞くと

Aくん「先生のあの授業で興味をもって、春休み、ポーランドとか東ドイツとかベルリンとかに個人旅行しました。」

私「ライプチヒへ行った?」
*注 ライプチヒのニコライ教会ではじまった水曜デモが首都ベルリンに飛び火してベルリンの壁がくずれた。

Aくん「行きました。授業でいろいろ話を聞いていたので、ただ観光旅行するよりも感慨深かったです。ニコライ教会から水曜デモのルートを辿って歩いたんですよ」

私「ライプチヒを囲むリング(環状道路)を?」

Aくん「ええそうです。でゲバントハウス*の所まで来たら、みながキャンドルともしてデモをやっていたんです」

*ゲバントハウスとはライプチヒの歴史アルコンサートホール。1989年にはここの指揮者が市民に非暴力を訴えて、市民がそれに答えたため、東ドイツ当局は市民に発砲できなかった。

私「ええええ、1989年の水曜デモの再来?」


Aくん「いえ日本の原発事故を受けて、反原発デモやっていたんです。その日から日に日にデモが大きくなっていきました。ちなみに、ボクはテレビもない安いユースホステルとまっていたので震災のことよく知らなくて、でも、日本人だと分かるとみなが『家族は大丈夫なのか』『家は東北か』と聞かれて180度回りの反応が変わりました。で、ちょっと高いホテルにとまってみて、テレビをつけたら怒濤のように日本の震災のニュースを流していて、やっと『ああ、日本オワタ』と思いました」

私「まあ自分もあの爆撃痕のような津波後の風景みてオワタと思ったからね。しかし、2011年のデモの理由は日本ってところがシャレにならん。で、急いで日本に帰ってきたの?」

Aくん「震災の四日後に成田空港についたのですが、放射能の影響で着陸できないとかで、名古屋空港につれていかれました」

私「15日は東京の放射能値高かったからね。だから、外国機がみなびびって東京を避けたんだよ。中国の航空会社なんて日本線運休したもんだから、日本から逃げたい中国人が成田空港にあふれかえって、何でもいいから飛行機にのせろってパニクってすごかったよ。B先生が震災の三日後、北京出張だったんだけど、もうこんな状況だから出張キャンセルしようとしたら、キャンセルの電話すらつながらなかったって。電話パンクしてたってわけ」

Aくん「というわけで、外から日本の震災を見るという貴重な体験をしました」

 1989年のあの自由が勝利した1989年を体感しに、ライプチヒとベルリンにいったら、2011年の日本を体感してしまったというお話でした。

 さて、明けて翌日、いろいろあったので世話になった学生とまったりと食事をすることとする。
 ところが、受けねらいでみなを連れて行こうと思っていたタイ料理屋が金曜日だというのに店を開けていない。そこで、このあたりに住み着いて長い院生Mに電話していい店を聞くことにする。

私「今明治通りの交差点にいるんだけど、エスニックの良い店しらない?」

M「ちょっと遠いですけど、新宿の駅前にマレーシア料理屋があります。KくんとHくんはいますか。」

私「いる。お金もっているなら一緒に食事する? 別に来てもいいよ」

M「いや今弁当食べたばかりですし、今夜十二時までにレポート提出しなきゃいけないし、お金も本当に厳しいんで行きません」

私「あそ」ということで、Mの情報も役にたたず、歩くのも面倒臭いので交差点に面した店にテキトーに入る。するとしばらくして、何ともいえない笑顔を顔にうかべながらMがやってくる。

M「ビール一杯だけつきあいます」といいつつ、食事の注文をはじめ、あまつさえでてきた食事をつつきだす。

私「あなたお金持っていないって言ってなかった?なのにどうして食事食べているわけ」

M「さっき食べてきたばっかりで、お腹は空いてないんで」

私「もう一度聞く。食べるということはお金払うということだね」
ところが、それに対して返事をしない。

 なぜここまで私がしつこく確認するかというと、お金をもたずに飲み会にとびこんできては回りに借財を重ねるという悪業を積み続けてきたため、まったく信用がないからである(彼の名誉のために言うと、返そうという意志はある)。

そして、二時間はいたと思うが、おもむろに

M「ボクレポート間に合わないので帰ります」

そこで、「やめてくださいいい」という彼の財布をとりあげて、お札の部分をみなに向かって無言で提示する。

もちろん、レシート以外何もはいっていませんでした。
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