白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/09/03(土)   CATEGORY: 未分類
2011年祈りのゼミ合宿
 ゼミ合宿いってきました。今年は東日本大震災もあったことだし、「祈り」をテーマにしてみました。ちなみに私は仏教徒で無神論者なので普遍的な意味での「祈り」です。

 初日、ドタキャンが多かったため、交通費が出ず、青春十八切符で、宿の最寄り駅、沼田までいく。
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 まずは駅前で昼食をと思い、とりあえず駅前の交番に「この駅前で荷物預かってくれて、かつ、美味しい店ありますか」と聞くと、三人いた警官の一人が「ちょっとちょっと」と私を手招きして、襟元からカメムシをとってくれた・・・。

警官「こんな色のついたカメムシめずらしいよな」

 見ると、カメムシとはいえ玉虫のようである。吉兆ということにする。

 警察に教わったウドン屋に入ると、店内には警察からもらったと思われる、警察庁謹製のカレンダーがかかりまくっており、おそらくはあの警察署の取調室のカツ丼はここから出前がなされるのだろう、と私が資料批判に基づく推論を述べる。

 そのあと、宿のご主人の運転する車で真田の城である沼田城の後にいき、次に「東洋のナイアガラ」吹き割りの滝を見学する。

 今回お泊まりするのは片品村の千明(ちぎら)旅館。そう二年前にここに滞在して神なサービスに感動にむせんだあの千明旅館である。

 じつは311震災がおきた時、ここ片品村では16日にはもう村議会を開き、千明村長の鶴の一声で福島からの避難者を千人受け入れた。千明旅館も40名の被災者を受け入れていたという。千人もの被災者を受け入れることはきれい事ではすまないことも多く、大変だったろうと思うが、首相にリーダーシップが皆無で、結果国の対応がグダグタになったことを思うと、村長が一決してすぐに動いたこの村の姿勢を、わたしは評価したい。

 片品村が避難者の受け入れを表明した時には、むろん国がまだ何の支援策を打ち出していない時なので乏しい村の予算を用いて決定したことである。決定する村長もすごいが、ちゃんと動いた村の人もすごい。

 みなで温泉につかった後はキャンドル・ナイトである。
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 フリー・チベット旗をはった紙コップに蝋燭をいれて、その紙コップにみなで祈りを書き込む。私からのリクエストは「私利私欲を一つ書いたなら、もう一つはかならず自分以外の誰かのために祈ること」。

すると、「これ以上円安がすすみませんように」「勤務地が東京になりますように」という私利私欲にならんで、「早稲田からアル中がいなくなりますように」(笑)「震災の復興」などと祈りの言葉がならんだ。

 みながローソクをもって真っ暗な公園の道を歩く様はまるで1989年のライプチヒの月曜デモのよう。

 キャンドル・ヴィジルは西洋から入った文化で、日本の灯籠流しみたいな情緒的なものではなく、暗闇(絶望)の中にがんばって一人一人が灯火(希望)をともすという意味がある。炎を消さないためには一人一人が手でローソクを囲わなければいけないので、キャンドルデモは自らの善良さを育むこと、外にむっかってのばす手がないので非暴力になることを象徴している。

 静かながら無気力には流れず、非常に強い意志と連帯が生まれるのだ。

 ポーランドのワレサがポーランド共産党と戦って自主労組連帯を作ろうとしていた時、みなが窓辺にキャンドルをともして「連帯」の意志を示したなどの歴史的故事をひく。

 灯火というのは不思議なもので、みながその回りに自然と集まってくる。静かな手持ち花火を買っていたので、学生たちは「先に火の玉がおちた方が、願いが叶わない」みたいな線香花火対決を始める。

 宿にもどると、宿のおじさんが「星をを見に行きませんか」と誘ってくださる。

 ご主人の運転するバスにのると、夏期なので真っ暗なスキー場の駐車場につれていってくれた。空を見上げるとそこには満天の星と天の川。天の川を日本で見たのは初めてである。学生たちは直接地面にねそべって、全天球を見ながら、流れ星を探していた。これだけたくさん星があると、北斗七星もカシオペアも埋もれてしまう・・・。そして、自然と敬虔な気持ちになっていく。

 見ると、学生はみなスマホとりだしてツイートしてた(笑)。

8/31

 次の日は日光を聖地として開いた勝道上人が788年にみつけた温泉の湯本にたつ寺にいく。温泉はもろもろの病を癒すがゆえに、同じく病より人を救う薬師仏が祭られている。そのあと、男体山の麓にある中宮祠にいく。

 昨今パワースポット・ブームとかで、境内は縁結びの煩悩絵馬だらけ。本当は三時間半かけて山道をのぼって奥の宮で参拝したいが、Tちゃんが北京の王府井でビールのみすぎてよっぱらって剥離骨折していて、登山はムリなので、一合目までで断念する。

 一合目の遙拝所は下界よりははるかに空気がいい。神道の参拝の作法とともに、「神前ではお願いごとをしないこと、ただ感謝をすること」「何か自分にかかわるお願いことをする場合でも、たとえば子供のためにもう少し生きていたいから、この病気を治してください」という風に、私欲ではなく「自分以外の何か」について祈るという作法を伝える。

 「祈る」にはいろいろな文化コードがあり、その文化に入ったらその文化コードにのっとって祈ると、その祈りの伝統に連なることができる。祈ることは自分の中にある聖性・力を呼び覚ます効果があり、それは我流にやるよりは、伝統的なコードに従った方が生まれやすい。

 それから、いろは坂をおりて、日光へ。台風の影響で神橋のあたりで雨がふりだしたが、まけずに強行軍。宝物館では天海大僧正展をやっており、三仏堂は修復中でプレハブに覆われていて、そこには実物大の絵が書かれていた。
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 天海は京都の鬼門を護る延暦寺と、江戸の鬼門を護る寛永寺と、江戸の真北をまもる日光の輪王寺と三つの比叡山を建てた。それぞれ観音菩薩の聖地であり、琵琶湖と不忍池と中禅寺湖は構造的には同じであることを講義。

 で、それから家康様を神として祭る東照宮に参拝。今回は「関八州の護りとならん」と遺言された家康様に、江戸に最大余震がこないことをお願いするのが目的。寛永寺は明治元年に彰義隊がたてこもったので、丸焼けになってしまい、江戸の鬼門は今は誰もまもっていない。

 震災の時、福島原発が江戸の東北(鬼門)にあることに気づいた時は、かなり不気味な気持ちになった。

 一方、真北にあって江戸を鎮護する日光は一応、明治の世になっても破壊されることがなく体裁をたもっている(日光が無傷なのは板垣退助の功績らしい)。ここで祈るしかないし。


 そして門の一番目立つ位置にある彫刻、中国の古代の聖王舜が政治をとる姿を前に、権力の継承について述べる。

 武力によって権力の座を奪い、自らの保身のために子供に政権をつがすような、ぶっちゃけカダフィのような統治者は、儒教思想ではクズ扱いされる。
舜

 では、どういう統治者が素晴らしいと言われるかというと、その人徳によって回りを感化し、自らが権力の座から退く場合には、自分の子供が無能な場合は子供ではなく、徳のある人を探し出してその人に譲ることである。

 そのような聖なる統治者の代表例といえば、中国の聖天子堯である。この太陽王は愛の政治を行い、晩年にあたって、自らの子供が「頭が固くて、訴訟好き」と菅直人みたいなタイプであることから帝位にふさわしくないと判断し、徳のある舜を探し出して、血縁関係のない舜に帝位を譲った。禅譲である。ぱちぱちぱち。

 で、徳川家康は豊臣秀吉の残した秀頼がいまいちだったので、血縁関係ないけど、自分が王位についたんだよ、ということを示すために、家康を舜になぞらえる彫刻がここ東照宮に彫られたのだ。

 そして家康さまラブの孫家光を祭る大猶院にいく。今年の大河ドラマが「GO!」なので、家光の母であるGO!の位牌と父二代将軍秀忠の位牌が特別公開されていた。

 そのあと、滝の尾神社まで歴史散歩しようとしたら、学生が疲れたというので、断念。宿に戻る。

 夜は2010年台湾ナンバーワンヒット映画「モンガに散る」をみる。内省人の内省人による内省人のための映画である、と同時に、テーマはホモソーシャルである。学生は最初は台湾映画のテンポの遅さに退屈そうに寝転がってみていたけど、最後は起き上がって座ってみだしたのには笑った。

9/1
 次の日は戦場ヶ原を通って昨日の続きの歴史散歩しようと思ったら、台風の影響で雨がふるわ、Tくんが体調崩すわ、みな徹夜トークで疲れているわで士気が上がらず、結局東部日光前でお土産物色した後、特急で帰ることにする。

 今回の日光、本当に観光客がいなくて、閑古鳥がなきまくっていた。もちろん理由は震災である。日光観光協会のオフィシャルページには「日光安全宣言」が中国・韓国・英語の三カ国語で記されていて、放射能値まで示していて、何とか外国人旅行客の再よびこみをはかろうとしているようである。

 千明旅館は群馬県だけど、震災以後、とくにシーズンオフの営業が苦しいみたい。あの旅館はいろいろな意味で自助努力をしているので、去年の山梨の自業自得旅館とは大違い。

 この旅館のターゲットは20~40名の学生団体。なので、まとまった人数が集められる人は、本当にここはオススメです。施設もきれいで、食事もおいしく。温泉も、サービスも最高です。この震災の影響で廃業とかされるともったいないので、学生さん、みな使って。ホームページはここ。 
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