白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2011/11/18(金)   CATEGORY: 未分類
実録:白雪姫の金曜日
 卒論の提出期限が近づく11月、ゼミのある金曜日はカオスとなる。学生は「今時の学生はゆとり」というと怒るけど、以下の私の数時間をみて反論できる人がいたらしてほしい。ちなみに大学は天下の東京人民大学である(ヒント: 京都の人民大学は立命館)。

 四年ゼミは後期になると、卒論の中間報告をしてもらうことにしている。しかし、報告者二人の内、一人は姿すらみせない。授業が終わって何時間もした後に「風邪薬飲んだら寝てしまいました。すみません」というメールが入る。

 そして、もう一人は明らかに手抜きな何もできていないレジメをだして五分で話を終える。
 この二人のできそうな内容を「最低でもこれやってきてね」というラインを示して、かなり具体的な指示をだしているにも関わらず、それすらやってこないのである。

 ちなみに、後者の学生Sに「あんたこのレジュメには十分もかけていないと思うけど、この一週間のモンハンにかけた時間は何時間?」と聞くと、

 Sくん「25時間です」しかも、そのオンライン・ゲームの対戦相手Nくんもゼミ生だが、この子はまったくゼミにでてこない。Sによると、「バトルの仕方は教えてくれるのだけど、ゼミにこいよ、という話になるとシカトする」のだそうな。ひきこもりかよ。

 そしてゼミが終わると、Tちゃんが「先生、反則点がつきすぎて図書館の貸し出し停止されました。先生が一筆かくと解除になるそうなので、書いてくださいませんか」とメモ用紙みたいな白紙のきれっぱしをわたしてくる。
 いくらなんでも便せんとかに書いた方がいいと研究室にこいという。
また、来週発表予定のTくんが「先生、テーマについてお話が」という。そこで、来週のもう一人の発表者もつれて研究室にいく。

 まずTちゃんの貸し出し停止処分、解除お願い書類を書き、そのあとTくんの話をきく。この子は文化大革命を卒論のテーマに選ぶというのだが、中国語も英語も使いたくないというので、日本語でできることとして、1964-1974年までのあいだの朝日新聞の過去記事を検索して、そこにてでくる社説や文化人の文化大革命に対する評価を調べてきて、そのうち何人かはその後の言論の変化のあるなしもチェックするようにいっておいた。

 朝日新聞の記事はウチの大学生であれば、オンラインで無料で検索できるようになっている。にもかかわらず

 Tくん「昔の新聞記事はつぶれて読みにくくて、一時間以上は見られません。なので、テーマをかえようと思います」

 私「簡単に簡単にテーマ変えるなんていうな。大体記事がどこにあるかを検索したら縮刷版をみるという手もあるじゃない。じゃあ仕方ないので岩波書店がだしている『文学』『思想』『理想』とかの記事において文革がどのように評価されているかのまず記事リストつくってきなさい。これなら雑誌室にいけば現物があるし、等倍だから目も疲れないでしょう。はい次Nちゃん、あなたは来週どうゆう発表をやるの。」

 Nちゃん「私カフェが好きでカフェでバイトとかしているので、香港のお茶文化やりたいです。お茶っていったら、イギリスがアヘン戦争をおこしたりしているので東洋史ですよね」

 私「じゃあ来週までにかくかくしかじかの本をよんでイギリスの茶貿易について調べてきなさい。」

 そしてSちゃん「某大学院を受けたいのですが、その内部情報などを知っている人を紹介していただけませんか」

 私「ほいわかった。オタクでよければたぶん知っている人がいる」

 そうしている内に6年生のOが入ってくる。この子はクラブ通いばかりしていて授業にこず、去年も卒論を書くといって書き上げることができなかった。そこで一ヶ月か前に、とにかく「何でもいいから興味を持てることは何ないか」と聞くと「ソ連はチェルノブイリ事故の後、村ごと人々を避難させたのに、日本政府は情報を隠して、人々に放射能を浴びせつづけている」「昨日、カダフィが死んだのに、ツイッターとかではすぐに情報がでまわったのに、NHKはすごくたってからしか報道せず、日本の報道はおかしいですよ」とのたまう。そこで

 私「じゃあ聞くけど、あなたリビアの位置を正確に黒板にかける? それからカダフィがどういう人で、今まで何をしていたか説明して」というと

 O「わかりません」

 私「ほとんどの日本人もそうだからNHKの報道も遅いんじゃないの。あと、放射能云々の話だけど、あなたこの事故がおきるまえに放射能に興味あった?そしてあなたがそのような考え方を持つようになったのは、何をみて? 」と聞くと、Oは言葉を濁す。

 私「わかった、O。最近はツイッターやフェイスブックで革命が起きるくらいだから、インターネットを介した政治行動というテーマで卒論書きなさい。であなたのクラブ友達に政治行動のアンケート調査かけてみなさい」と指示した。

 そして、先週。彼がアンケートの質問条項の素案をもってきたので、項目をもっと整理するようにいい、それをもってくるのが今日であった。しかし、O「すみません。やってません」

 私「先週私が話したことをつけくわえるなんて、五分もあれば清書できたでしょう。その五分がなぜつくれないわけ」

 O「それはひとえに私の至らなさ・・・」

 私「そらぞらし」

 そうしている内に院生のM子ちゃんまでやってくる。そして、

 M子ちゃん「センセー、今院生の研究発表会でこんなツッコミをされたんですが、すごいへこみました」

 私「ピントがずれた指摘なので気にする必要なし。質問者が前提にしている時代とあなたのやっている時代ではまったく事情が違う」。

 とかいっているうちに真打ち院生M登場。院生Mは今修論の執筆中であり、何か面白いことを見つけると深夜でも電話がかかってきて、考えをまとめるため私を話相手にする。

 ちなみに昨日、私が研究室のある階にいくと、自分の研究室前の暗い廊下の地べたにすわこんで、パソコン(Mac)をうつ院生Mがいた。廊下は暗いのでパソコンの液晶画面の明かりが彼の顔を下からてらしだしており、笑いがとまらなかった。地べたでパソコンうっている人なんて、日本じゃそうそうお目にかかれない。

 ちなみに、彼は長年にわたるゲストハウス生活を脱し、今年の三月とある古い建物に定住した。ただし来年の三月にとりこわされるので、定住といってもまだ遊牧きみである。院生Mには家具を買うという概念がないため、パソコンは地べたでやるのだ。そして、寝具も毛布しかないので、昨今急に冷え込んだため夜が寒くて眠れないという。。

 私「布団買いなさいよ」

 院生M「思い出しました。毎年この時期になると、外出する時の格好で夜寝ていたんですよ。引っ越ししたんでリセットされて、この時期の過ごし方を忘れていました」

 ちなみにこのM、パソコンにあらゆる資料・メモ・情報をつめているのにバックアップを一切していない。修論の内容云々以前に、書いても、パソコンおとしてデータ回収不能、修論提出不可能状態になる可能性大あり。
 
このM、私が何か彼の役にたつ情報を仕入れて電話をしても「今カフェで友達といるんで、後で」とか電話をブチ切る。この男の脳内は徹頭徹尾自分中心にできており、もはやこの子に礼儀を説くことも、「人の立場にたってものを考えなさい」「まず人になれ」とかの説教も、最近は疲れすぎて言う気もおきない。

 人としてのあり方から、布団の心配からバックアップの心配までせねばならないとは、何かがおかしい。
 
 まあ院生Mはそれでも研究をやろうとしているので、まだ、何もやる気のない連中、あるいは、現実から逃避している連中よりはましかも。ゆとり教育の一番の弊害は、学力低下よりも、オンリーワン感覚に基づく自己絶対肯定による努力の不在かも。

ちなみに、もちろんマジメで頭の良いマトモな学生もいます。今回登場したのはごく一部です。
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