白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2012/01/01(日)   CATEGORY: 未分類
新春東博のみどころ(笑)
 明けましておめでとうございます。
お正月なので文化の香りのするお話をいたしましょう(何か怪しい前ふり 笑)。

 正月二日より東京国立博物館で北京故宮200選が開催されます。

 世の人は、国立の博物館で何らかの企画展が行われる場合、そのジャンルの専門家はアドバイザーとして招かれ、企画・立案・カタログの作成すべてにかかわっていると思っているかもしれないが、それは大きな誤解。

 たとえば中国から文物を借りる場合には、中国人ブローカーが核となって、新聞社なり航空会社なりの協賛企業をつないで、当該博物館の人たちと話合ってその内容を決める。専門家といえるのは当該博物館のキュレーターだけ。企画の内容によってはそのジャンルの直接の専門家ゼロで行われる場合だってある。

 推測するに、今年は日中国交樹立40周年?であるため、何かしようという人たちが今回の故宮展を企画し、中国とぶっといパイプのある朝日新聞とNHKが主催者となったのであろう。

 なので、当然のことながら、学者であるわたしはこの展覧会については、何がくるのやら、誰がやるのやら、いや存在自体まったく知らなかった(毎日新聞だし 笑)。そういう状態で展覧会の初日まで一月をきった十二月の初め頃、とある人から、今回の展覧会には、拙著で扱った乾隆帝仏装像(乾隆帝がチベット仏教のラマとして描かれた図)がくると聞いた。
けんりゅう
 
 乾隆帝がチベット僧の姿をしたチベット絵画は三種類ある。今回来日が予定されているのは、私が去年の夏、北京に見に行ったあの絵で、私の本でタイプAといっているものである。私はデジタル画像しか見ていないので、すべてのイコンの金文字を読み取れていない。しかし、日本に現物がくるなら、いろいろな角度からみることができる(金文字は角度によって見えたり見えなかったりする)。

 さらに、私の頭の中には、仏装像を見た見学者が「なんで乾隆帝がダライラマみたいな格好しているの?」と疑問をもち、売店にそのナゾを説く私の本があったら手に取るのではないか。との直列思考がつながった。

 というわけで、「拙著『清朝とチベット仏教』はまさにこの絵を扱っています。東博の売店に置いてください」と関係者に頼み、関係各位の協力もあり、拙著は売店に20冊ほど置かれることとなった。

 しかし、喜んだのもつかの間、12月23日に新聞のったこの展覧会の告知記事には、騎馬姿の乾隆帝像、文人姿の乾隆帝像などがあるのみで、肝腎のチベット僧姿の乾隆帝像がない。さらに、展覧会の内容は、清明上河圖(宋代の庶民文化を描いた絵画)が緊急来日することに置かれていた。私が聞いた話と明らかに違う。

 そこで、関係者にきくと、バツの悪そうな感じで、「それがですね、いろいろあって契約がこの時期までずれ込んだため、乾隆帝仏装像が期間中に到着するかどうか分からないんですよ。だから、仏装像の紹介もはずして、「清明上河圖」のかり出しが記事のメインになったんです。」

 ぬわにぃぃぃ(怒)。

 念のために言っておくが、乾隆帝仏装像は、学界の注目を集めている。欧米で開催される故宮の展覧会では必ず展示されるし (Splendors of China's Forbidden City)、おおくの研究書においても表紙になったり(羅文華『龍袍与袈裟』etc.)、挿絵になったり (『境界を超えて』etc.)、研究対象になったり(Patricia Berger, Empire of Emptiness etc.)、清朝皇帝の王権像を語る時には必ず引用される画像である。

 故宮(かつての宮殿という意味)がまだ紫禁城という名前で清朝皇帝が君臨していた頃、、皇帝はチベット仏教に帰依していたため、紫禁城内には数々の仏殿が作られていた。とくに最盛期の皇帝・乾隆帝は自らを仏教王として演出していたため、非常によくチベット仏教を理解し実践していた。それを文字通り視覚化したこの絵画は重要なのである。

 それが来なくて、故宮と全然関係ない宋代の清明上河圖の扱いが上になるとわ。

 これは、トプカビ宮殿展やるのに、オスマントルコ皇帝像がキャンセルされ、突厥碑文がくるようなもの。

 エルミタージュ展やるのに、ロシア皇帝の肖像画がキャンセルされて、キプチャク汗国の細密画がくるようなもの。

 ウインザー展やるのにアーサー王の円卓が目玉になるようなもの(て、現存するのかこのテーブル 笑)。

 大徳川展やるのに、大御所様の絵がキャンセルされて、平安時代の源氏物語絵巻がくるようなもの。

 カフェオレにミルクが入っていないようなもんなのである。

 何いってるのか自分でもわからなくなってきた(笑)。

 仏装像が結局来ないなんてことになったら、学術的に言っても、一貫性の問題からいっても本当に格好悪いと思う。

 従って、関係各位は、仏装像の期日内の来日のために力を尽くしていただきたいと思います。

 お正月なので美術の話をしてみました(笑)。
 今年もよろしくお願いいたします。

 といってたら、来場した若手研究者の話では、乾隆帝仏装像、来ていたそうです。
清明上河図は、一月7日時点で3時間まちだそうです。第一部の清明上河図はスルーして、第二部の清朝の宮廷コーナーからみはじめましょう
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