白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2012/02/12(日)   CATEGORY: 未分類
2月8日焼身自殺者の法要(実録)
チベット難民社会の首相センゲ氏が、焼身自殺でなくなったチベット人のために、「白い水曜日」(チベットでは水曜は祈りの日)に世界中で法要を行うことを呼びかけた(首相の声明文はここクリック)。それに答えて日本では急遽護国寺様(桂昌殿)で法要が行われることとなった。以下はその『実録』である。

 桂昌殿入り口には、広末涼子さんのダンナ様キャンドルJun氏によるキャンドルが並ぶ。建物にはいるとカメラマン野田雅也氏のチベット潜入写真が並べられている。受付・会場係はボランティアのみなさま。

 挨拶して殿内に入ると、中央の祭壇にはダライラマ法王が護国寺様に奉献した釈迦牟尼像(2008年のGWにダライラマ法王から護国寺さまに寄贈されたもの。前年護国寺様が龍樹の仏画をさしあげた返礼。)と、華道家の方がいけた豪華な花が供えられ、焼身自殺した僧侶・尼僧たちの写真が並んでいる。椅子の上にはチベット語にカタカナルビるふられた経典、センゲ首相の声明文などがおかれている。

 International Campaign for Tibetのサイトから、焼身抗議者の名前、年齢、焼身の日をリストアップすると以下のようになる(2012年2月11日時点)。
houyou1.jpg

2009年
1. 2月27日 Tapey 20代 ガバのキルティ僧(入院中)

2011年
2. 3月16日 Phuntsog 20才 ガバのキルティ僧
3. 8月15日 Tsewang Norbu 29才 ガンツェのタウの僧
4. 9月26日 Lobsang Kunchok 18-19才 ガバのキルティ僧
5.      Lobsang Kelsang 18-19才 ガバのキルティ僧
6. 10月3日 Kelsang Wangchuk 17才 ガバのキルティ僧
7. 10月7日 Choepel 19才 元ガバのキルティ僧
8.      Kayang 18才 元ガバのキルティ僧
9. 10月15日 Norbu Damdrul19才 元ガバのキルティ僧
10. 10月17日 Tenzin Wangmo 20才 ガパの尼僧
11. 10月25日 Dawa Tsering 38才 ガンツェ
12. 11月3日 Palden Choetso 35才 ガンツェの尼僧
13. 12月1日 Tenzin Phuntsog 40代 チャムドのカルマ寺

2012年

14. 1月6日 Tsultrim 20代 ガバのキルティ
15.      Tennyi 20代 ガバのキルティ
16. 1月8日 Sonam Wangyal 40代 ゴロク
17. 1月14日 Losang Jamyang 20代 ガバ
18. 2月3日 Tsabtsel Tsering 60代 ガンツェのセルタの僧
19.  キャリ 30才前後
20.  名前不明
21. 2月8日 Rinzin Dorje119 ガバで焼身。僧。
22. 2月8日 Sonam Rabyang  30代半 ギグド(玉樹)の僧
23. 2月13日 Tenzin Choedron 18才ガバの尼僧


気がつかれたかと思うが、20番目のソナムラプチャンは、この法要の行われたまさにその日、その時間に炎上していた。


 式次第は以下の通り。導師は広島からかけつけたゲンギャウ師である。

〔式次第〕三帰依・発心・開経偈・『般若心経典』・21尊ターラー経・七句偈・除災偈・パドマサンバヴァ真言・観音菩薩偈・六字真言・ダライラマ14世長寿祈願・回向とすべてチベット語。2008年から護国寺様ではチベットにお祈りを捧げているので、チベット語の法要が定型化している。そのあと、漢文の般若心経読誦。

 そして、ラクパ・ツォコ代表の挨拶。大体忠実にうつしたつもりだが、ラクパさんの日本語がときに曖昧な場合は、推測で文を補った。

 一日のお仕事のあとで、それから寒い中で、大勢集まっていただいたことを心から感謝いたしております。本当に日本人の中に温かい理解者がいるということは、私達チベット人にとっても大変励みになります。私達日本に住んでいるチベット人だけでなく、チベットの中に住んでいるチベット人たちも「日本でこういうことが行われた」というニュースを〔聞く〕だけでも大変ありがたいです。ですので、私が日本におけるチベット人、チベット亡命政府、ダライラマの代表として心から感謝を申し上げます。

 みなさんご存じのように、わたしたちが法要をやっている理由は、目の前に焼身自殺を行って亡くなった方そして、行方不明になった方で確認のとれた方たちの写真と名前がかかっております。しかし、チベットの中で焼身自殺をはかり、そして殺された人の数はこれよりもはるかに多いです。状況は本当に深刻です。

 世界中にいる(難民社会の)チベット人は15万人です。チベットの全体の人口が400万人くらいです。〔しかし、ここ数年弾圧や天災で多くのチベット人が死んでいます。〕2008年の〔北京オリンピックの年のチベット蜂起で〕中国政府はチベット人の死者は20名と発表しましたが、我々の情報によると万単位のチベット人が殺されています。四川大地震の時、中国政府はチベット人が2000人死んだと発表しましたが、実際のところ万単位のチベット人が死んでいます。

 そして今チベット人は本当にひどいめにあっています。チベット人はいつ自分の部屋に警察が踏み込んでくるのかと不安な状態で暮らしています。こういう状況を世界中が知っています。しかし、国と国の経済の関係で〔批判できず〕日光の三猿のように〔中国がチベットに行っている弾圧に対して〕見ざる・聞かざる・言わざるの状態が続いています。

 このような状況下でわれわれに残されたただ一つの手段は、これを国際社会の一人一人の理解をえて世論を高めることです。したがって、みなさんが今夜時間を割いてくださったことは、チベット人にとって大変ありがたいサポートになります。みなさんは「〔ここにいる〕200人の人たちで何ができようか」と思うかもしれませんが、一人一人の力はものすごく大きい力なんです。みなさんが周囲の人にチベットの状況を伝えてくれると、さらに大きい力になります。

 わたしたちはもう日本で40年以上辛抱して地道な活動をして、我慢して我慢して参りました。20年以上前にくらべると状況はものすごく変わって〔日本人はチベット状勢をよく理解するようになって〕います。ですからわたしたちの今頼りとすることは、日本国民一人一人の理解を得ることなのです。それを得るため私達から努力して、こういう形で努力してこのような形でみなさんが反応してくれたことは、日本人がチベットの状況を忘れていないということを示しております。

 チベットには今何の力もありません。日本人にとってプラスになることは何もありません。国民一人一人に強くアピールして、個人的に理解をえても組織の中ではなかなか理解か得られにくい大変な状況です。しかし、みなさんを通じて日本国民に訴えたいことがあります。日本はアジアの中でものすごい存在感のある国なんです。日本の幸せだけを永遠に保証するためには日本の〔今の〕やり方はぴったし(ママ)かもしれません。でも、日本も変化しています。50年前とは明らかに変わっています。つらい時にはまわりに手をさしのべること、自分がよい時には苦しんでいる人を理解するそういう義務があると思います。

 わたしは日本と中国の仲を悪くするつもりはありません。〔日本は中国に〕言うべきことを言ってほしいのです。欧米は中国と経済的な関係がありますが、言いたいことは言っています。日本は今難しい状況(震災とか?)が続いていますが、それでも他の国々と比較すると日本はまだありがたいところがあります。四川省のチベット人居住域、ガバ、タンゴ、セルタは完全に戦争のような状況です。軍がはいっています。2008年の〔チベット蜂起の時〕ラサに軍隊が入り〔それも〕撤退していません。チベットの僧と尼の数より、軍人の数の方が遥かにおおいです。チベット人の数より軍隊の数がはるかに多いのです。チベット全土にあるチベットの戸口窓の数と、中国政府のチベット人を監視するカメラの数を比較すると、監視カメラの数が圧倒的に多いです。こういう状況が続いています。

 わたしたちは、中国政府が自分たちの憲法の中に記している少数民族の自治権の内容を実行して下さいと頼んでいるだけです。チベットは中国から独立したいとか、分裂したいとか一言もいってません。すべてを文書で明確化して国際社会にも開示しています。ダライラマの特使と中国の代表が何度も会見した折に、向こうからすべての疑問点を出してもらって、それに対してチベット側からすべて答えているにも関わらず、最後に中国政府は「チベット問題は存在しない。ダライラマ個人の問題である」と言ってきた。

 これはダライラマ法王個人の問題ではなくチベット人全体の問題なのです。われわれは中道のアプローチ(独立と植民地化の真ん中。実質的な自治をめざすこと)をとって、中国政府にとってもよい方法をとるよう努力してきました。にもかかわらず何も成果が得られませんでした。失敗だということになり、〔2008年に民意をとう投票をしましたが、その結果〕それでもまだ中道のアプローチをとっています。去年ダライラマ法王が政治権力を民主的な選挙で選ばれた新しい首相に譲りましたが、この首相も中道のアプローチの政策を続けています。

 ここまで我々が譲歩しているにもかかわらず、中国政府はますます締め付けを厳しくし、お寺を壊し、遊牧民を定住化させ、つまりはチベットの文化を完全に抹殺するというずるい政策(ママ)に力をいれています。チベット問題を解決する鍵はすべて中国政府の手の中にあります。中国政府がチベット人を人間らしく扱えばこのような問題はおきません。受け入れられないことを中国政府が行うため、チベット人たちは追い詰められて国際社会の注目を向けるめためにそれぞれの決断の上で焼身自殺という最終手段をとっているのです。焼身自殺はチベット仏教の中ではもちろん良いこととはされていません。しかしそれ以上に彼らの決断(ラクパさん判断といってたけど)は固かったのです。

 今日は世界中のチベット人が、その支援者とともに法要を行っています。ダラムサラではインド時間の三時に大きな法要を行います。〔アジア地域では〕日本でも隣の韓国でもオーストラリアでもやっています。この法要の目的は苦しい状況の中で命まで犠牲にした方々に、「あなたたちは一人ではないよ」と表明すること、それから国際社会にアピールすることを目標にしています。

 今日はお集まり頂きまして本当にありがとうございました。

 で、そのあとキャンドルJun氏のキャンドルを囲んで、「言論の自由がない」という字の書かれた黒いマスクをつけて、みなでキャンドル記念撮影。これは全世界標準装備(笑)。
candlejun.jpg

 わたしはキャンドルの間、ジャーナリストの福島香織さんとお話していたので、残念ながらJun氏の謎なスピーチは聞けなかったのだが、なかなかいい絵がとれたよう。報道の人はそこそこ来てくれていたようで、翌9日の午前四時のNHKニュースには映像入りで長く紹介された。NHKありがとう。

 会場をかしてくださった護国寺さま、会場設営ならびに準備を整えてくださったボランティアの方々、平日の七時に集まってくれた方々すべてに頭が下がる。法要の席にお見えにならない人でも、チベット人の子供を里子にして就学を応援していたり、チベット文化の源泉である僧院を援助したりといった形で、チベット文化と共同体を守ろうとしてくれる方は数多い。

 意見が異なる者が、利権のある所ではがっちりスクラム組むことはよく見られることである。しかし、ラクパ代表も言うように、チベットに味方しても何のメリットもないこの状況下において、これほどの人がチベットのことを思い動いてくれているのは、異例である。やはりチベット問題は、人類の良心が問われている問題であり、それを理解した上で人々が集まっているため、みな何とか続けてこられたのだと思う。

 焼身自殺をした人々は誰も道連れにすることなく、ただ「チベットに自由を!」「ダライラマ法王のチベットへの帰還を!」「ダライラマ法王のご長寿を!」といって死んでいる。弾圧者である中国人にも、それをみすごす国際社会に対して、怒りをもってではなく、哀れみをもって対しているのである。利権にむらがる人々は利権がなくなれば解散するが、良心をまもろうと集まった人々は、「良心」がこの世からなくなったら、人の社会でなくなることを知っているため、そう簡単には諦めない。

 中国はチベット人に銃を向け、「再教育」を行うことを「治安の安定のため」という。しかし、銃によって安定がもたらされないことは、人類史が証明してきたことである。中国が今のままチベットの文化を土足で踏みにじり、同化政策・植民政策を続ける限り、チベットに限らずあらゆる少数派は中国に対して愛をもたず、また、中国政府の国際評価は下がり続けるであろう。

 とここまで書いたところで、長田さんが焼身抗議者のリストをチベット式に発表。午前中をかけてつくった表が一瞬にしてムダになりました(笑)。この記事には焼身抗議が行われた場所の地名の中国の行政区上の位置とカタカナ表記ものっています。報道の方、地名のカタカナ書きの際に参考にして戴けると、記事検索をする際にいろいろなヴァリエーションが生まれないので助かります。
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| | 2012/02/12(日) 15:55 [EDIT]
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| | 2012/02/12(日) 16:25 [EDIT]
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嶺のシラユキ | URL | 2012/02/12(日) 17:13 [EDIT]
>Mさん
退院おめでうございます。自宅療養者は病院にいる方よりも鎮痛剤の量がすくないと言われています。お体はしはらくはつらいかと存じますが、なるべく前向きな気持ちで、楽しく過ごして下さい。きっといい方へ向かいますよ。

>Jさん
なおしておきました~
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| | 2012/02/14(火) 08:28 [EDIT]
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嶺のシラユキ | URL | 2012/02/14(火) 09:52 [EDIT]
>piyopiyochiさん
メールの方に文章残っているので、おおせの通り見えなくしました。おっしゃる通りでこれ以上人口減らしてどうするんだ、という感じです。二回の大地震に、弾圧、もともと僧侶社会で人口が増える要素も少ない。もちろん関係者一同焼身自殺を英雄視することは避けています。これ以上続けられてはかないませんから。それでも続くんですよ・・・
● 記録に残して下さり
freude3 | URL | 2012/02/16(木) 21:18 [EDIT]
ありがとうございました。サイトを閉じない限り、この記録は残ります。この場に集った一人ひとりの誠意と祈りが受難されたチベット人と現地に伝わりますように。

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