白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2012/06/13(水)   CATEGORY: 未分類
チベット映画特集(オロ前夜祭)
 岩佐寿弥監督のドキュメンタリー「オロ」の公開に先立って、渋谷でチベット映画特集が行われる。

 チベット人を主役に据えた映画やアニメは中国においても、また、中国以外においても作られていますが、今回の映画特集は難民社会の少年のドキュメンタリー「オロ」を知るためのものなので、当然中国以外で取られたものが多い。

 ■上映作品一覧
 
『白い馬』(1995)椎名誠監督
『風の馬』(1998)ポール・ワグナー監督
『モゥモ・チェンガ』(2002)岩佐寿弥監督
『チベット2002』(2002)岩佐寿弥監督
『チベットへのキックオフ』(2003)アーノルド・クロイガード、ラスムス・ディ、セン監督
『ブラインドサイト』(2006)ルーシー・ウォーカー監督
『ミス・チベット』(2007)シェバウ・ルズール・ヴァン・リーウェン、テンジン・タルドー監督
『雪の下の炎』(2008)楽真琴監督
『恐怖を乗り越えて』(2008)トンドゥプ・ワンチェン監督
『チベット・チベット』(2008)キム・スンヨン監督
『陽に灼けた道』(2010)ソンタルジャ監督
『夏の草原』(2010)リン・トゥルー、ネルソン・ウォーカー監督

※12作品の簡単な解説と会場詳細などはこちらのサイトをごらんください。

■上映スケジュール
6月16日(土)
13:00 モゥモ・チェンガ(104分)
上映後、岩佐寿弥監督ティーチ・イン
15:20 白い馬(106分)
17:30 スペシャル対談「ナランとオロ、そしてぼくたちの少年時代」
椎名誠(『白い馬』監督)×岩佐寿弥(『オロ』監督)
19:00 陽に灼けた道(89分)

6月17日(日)
17:30 夏の草原(85分)
19:00 雪の下の炎(75分)

6月18日(月)
13:00 チベットへのキックオフ(54分)+ミス・チベット(30分)
14:40 チベット2002(68分)+恐怖を乗り越えて(25分)
16:50 ブラインドサイト(104分)
19:00 チベット チベット(95分)

6月19日(火)
13:00 陽に灼けた道(89分)
15:00 雪の下の炎(75分)
16:50 風の馬(97分)
19:00 白い馬(106分)

6月20日(水)
13:00 チベット2002(68分)+恐怖を乗り越えて(25分)
15:00 モゥモ・チェンガ(104分)
上映後、岩佐寿弥監督ティーチ・イン
17:30 チベットへのキックオフ(54分)+ミス・チベット(30分)
19:20 夏の草原(85分)

6月21日(木)
13:00 ブラインドサイト(104分)
15:10 チベット チベット(95分)
17:10 雪の下の炎(75分)
19:00 風の馬(97分)

6月22日(金)
13:00 白い馬(106分)
15:10 夏の草原(85分)
17:00 陽に灼けた道(89分)
18:50 モゥモ・チェンガ(104分)
上映後、岩佐寿弥監督ティーチ・イン

 まず岩佐監督の二作品から。一つは難民社会のおばあさんモゥモ・チェンガの生涯とその信仰生活を描いた『モゥモ・チェンガ』、もう一つはダライラマのインタビューなどによって構成されるダラムサラ紹介『チベット2002』。モゥモ・チェンガは非常によくできたドキュメンタリー。もしご覧になっていない方は是非この機会にご覧あれ。

 『オロ』の登場人物としては、同じく『モゥモ・チェンガ』と『恐怖を乗り越えて』が必見。モゥモ・チェンガは1959年にインドに亡命する前は遊牧民であった。少年オロも亡命前は東チベットで親の手助けをして放牧をしていた。『オロ』のラスト近く、オロとモゥモ・チェンガが思い出の中のチベットを楽しく語り合う場面は、彼らの思い出の中のチベットがいかに美しいものかを思わせて、胸がつまる。

 『恐怖を乗り越えて』とは、本土チベットのチベット人の本音を様々な人々のインタビューから示したものである。中国は恐怖(=本当のことを云うと殺されるという恐怖)によってチベット人を沈黙させているが、このインタビューに応じた人々はあえて顔だしをして、すなわち「恐怖を乗り越えて」中国共産党のチベット支配の非道を訴える。この後、2008年北京オリンピックの年のチベット人蜂起があったため、このインタビューをとったトンドゥプ・ワンチェンは逮捕されて現在も中国の刑務所に収監されている。

 『オロ』では、このトンドゥプ・ワンチェンの妻がオロの友達の母として登場する。彼女は未明からおきだし、暗い中パンをかついでバス停留所に向かい、雨の日も風の日も一日そこでパンを売り続ける。帰らぬ夫を待ち続けているのである。暗い。

 それから、『雪の下の炎』は、中国政府に35年間も刑務所に入れられていたお坊さんパルデン・ギャツォのお話。彼はアムネスティ・インターナショナルの助けで出獄した後、亡命して、世界中で中国の非道を訴え続けている。このドキュメントの監督さんはアメリカ在住の日本人、楽(ささ)真琴さん。題名は、中国共産党の支配下(雪の下)にあっても、屈しないチベット人の意志を示している。

 オリンピックをはじめとし、あらゆる国際的な会合は国単位の参加である。このような状況下においては、チベット人のような国のない難民たちは、自らの存在をアピールする場がない。しかし、ミス・ユニバースとサッカーは地域参加が認められているため、チベット人でも参加は可能である。『ミス・チベット』『チベットへのキックオフ』は前者はミス・ユニバースに代表をおくるため、後者は国際大会にサッカーチームを派遣するためのチベット難民社会の奮闘をドキュメントしたものである。

 ミス・ユニバースは本来美しさで勝負をする場であるが、チベット人の目的はチベット問題のアピールなので、代表となる女性も伝統を体現した女性がのぞましいし、加えて、人前でものおじせずに英語でスピーチできる賢さと度胸がなくてはならん。でもチベットの伝統ではおなごが人前で肌をさらすことはNGなんだよね。てわけで、チベットでミスを選ぶのは大変。参加者がいないんだよ(笑)。

 『チベット・チベット』はみなさんご存じですね。キム・スンヨン監督が自らの在日としてのアイデンティティ・クライシスをチベット難民社会ととの出会いの中で昇華していく物語です。

 『ブラインド・サイト』は、盲目の西ドイツ女性が、ラサに盲学校を開設し、子供たちに自信をつけるため、ヒマラヤに上ろうとする物語。盲目のチベット人の子供に生きる場を作ったことはすばらしいが、普通のチベット人だって進んではやらないヒマラヤ登山をなぜあえてチベットの盲目の子たちにやらせるのか、誰もが疑問に思うだろう。チベット人にとって山は拝むもので、頂上に上るもんではない。

 オロは幼くしてヒマラヤを苦労して越えているので、『ブラインド・サイト』を入れるくらいだったら、子供たちがヒマラヤをこえてダラムサラにたどりつくまでのドキュメント『ヒマラヤを越える子供たち』がふさわしいと思う。『ヒマラヤを越えるこどもたち』をみると、勉強しない日本の子供たちが本当にワガママにみえます。アマゾンで買えるので余裕のある方どうぞ。

 12作中、10作がドキュメンタリーな中、『風の馬』と『陽に灼けた道』はいずれも創作もの。しかしいずれも現代のチベットをよく反映した作りとなっている。風の馬は漢化の進む妹と漢化に抵抗する兄が、いとこの尼僧が獄中での暴行で死んだことを契機に、それを告発したことにより、亡命するにいたるまでを描く。

 『陽に灼けた道』は見ていないので分からないが、国際的な賞をたくさんとっているので、チベット人性がよく描けているのだと思う。

 『恐怖を乗り越えて』、『雪の下の炎』、『ミス・チベット』などについてはダラムサラ在住歴ン10年のN氏のブログ「チベットNOWルンタ」で過去記事をサイト内検索をするとリアル・タイムでのかれらの情報が得られます。

 さて、オロは今ダラムサラのチベット子供村で、勉強している。子供村では「仏教に基づく人格教育」が行われているということで、母親は泣く泣くオロをインドへと手放したのだ。この教育内容について知りたい方、子供村の教科書を『チベットの歴史と宗教』(明石書店)で和訳しました。読んでない方、ぜひどうぞ。

 以上、コバンザメ宣伝でした!


 と書いたら、コバンザメのコバンザメコメントがつきました!
 
 コバンザメ宣伝、お許しください。
このブログにて先生お薦めの『ヒマラヤを越える子供たち』 の上映会があります。

 6/25(月) 19時半~ 「ヒマラヤを越える子供たち」書籍出版記念 上映会 & トーク (にっしぃ劇場)
トーク:チベットサポートグループKIKU 代表 久保 隆
 参加費:1000円 + オーダー
 【要予約】http://www.cafe-ohana.com/news.html
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COMMENT

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● 『ヒマラヤを越える子供たち』 の上映
K | URL | 2012/06/16(土) 01:37 [EDIT]
コバンザメ宣伝、お許しください。
このブログにて先生お薦めの『ヒマラヤを越える子供たち』 の上映会があります。

6/25(月) 19時半~ 「ヒマラヤを越える子供たち」書籍出版記念 上映会 & トーク (にっしぃ劇場)

トーク:チベットサポートグループKIKU 代表 久保 隆
参加費:1000円 + オーダー 
【要予約】http://www.cafe-ohana.com/news.html

コバンザメしつつ、私、この上映会にはあまり関わりはないんですが(笑)
里子ちゃん達のことを、少しでも多くの人に知っていただければ幸いです。
よろしくお願いします。

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