白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2013/02/15(金)   CATEGORY: 未分類
バレンタインとチベット・イベント
 バレンタインの日、新宿のチベット・イベント(Independence 100)で講演した。バレンタインは、日本では女性から男性にチョコを贈って愛を告白する日となっているが、本来は友情を確かめ合う日。そういった意味ではバレンタインの日にチベット・イベントを行ったのは正解である。全国から集まってきた人たちが友情を確認していた。

 私の場合、まず、朝、TCPのIさんからチベット暦新年のおめでとうカードを頂戴した。孤児院の子供たちの手書きの絵と、Iさんの私を気遣ってくれるきれいな手書きの文章に非常に感動する(自分Iさんに比べたら何もやってませんて)。また、今回のイベントに学生がボランティアにきてくれたことも嬉しかった。このイベントのために博多からかけつけて下さった司会のOさんからも「博多通りもん」を頂く。若手研究者たちとOさんの德を讃えながら頂きます。

 またはじめての方ともお会いし(何と淡路島石濱一族のお一人も出現)、なじみの方からも様々なプレゼントを頂戴した。はまオカメさんからは「黒い媚薬」(笑)というチョコとインコ柄紙袋、MIさんからはロクシタンのハンドクリームとDebailleulのチョコレート、そして、インド(おそらくはダラムサラ)に行かれたKさんからは、ソーラー・マニ車(キター)、インド紅茶(ニルギリ)、木製のインコの置物とインコ鉛筆でした。少し前までは、花束とか女性的な贈り物を下さる方もいたような気がするが、最近内容が男性化してきているような気がするのはきっと気のせい。

130214プレゼント

 会場は新宿から一駅の初台が最寄り駅なので、新宿から各停の京王線にのった。しかしなぜか一駅目が笹塚なので慌てておりると、じつは京王線ではなく京王新線にのらねばならなかったことが判明。その後もふらふら迷いながら会場につくと、「センセー何してたんですか」と呆れられ、ケータイを見ると着信の嵐。

 ケータイの画面をみせて笑ってごまかす。

 例によってイベントのレポートをあげます。

 冒頭はSFT代表のツェリンドルジェの挨拶。たどたどしい日本語で「みなさんのお時間を使ってくださりありがとうございます。昨日、抗議の焼身自殺が100名に達しました。ネパールでも一人焼身者があらたに出ました」と暗い挨拶。次がダライラマ法王事務所ラクパ代表の挨拶。次は、三人のチベットの女子学生による「高位の方の即位を祝う舞」。三人の女性の装束はチベットを構成するカム(東チベット)ウ・ツァン(中央チベット)・アムド(東北チベット)のそれぞれの装いであり、つまり、全チベットが祝福するという意味の舞。

 そのあと、アルピニストの野口健氏スピーチ。手書きメモ帳からの復元なので細かい表現の相異はあるかもしれないが、大意ははずしてないと思う。

 僕は2001年にはじめてチベットに入りました。山の中で二ヶ月間お風呂にも入れない生活を続けた後、ラサにつくと、そこは想像した以上の近代都市で、暖かいお風呂にも入れて快適だった。そこで家に帰って父(お父上は外交官)に「ラサは楽しかった」、というと、父は「お前中国に騙されたな。中国はチベット人に便利な生活を与えて、元に戻れないようにして、チベット人の中から独立なんて声があがらないようにしているんだ。かつて〔敗戦国の〕日本にアメリカがしたことと同じことをしているんだ」と言われたんです。

 こうして僕は、ものごとにA面があればB面があるように、チベットのB面にも目を向けるようになりました。それからチベットに入るたびに、町が激変していくのに気づきました。伝統的なチベット建築がつらなる路地裏はどんどん壊されて、近代的な建物に変わっていきます。

 ヤクを使う人たちと仲良くなり、心を許してくれると、彼らはいろいろなことを話してくれました。
 ヤク使いたちは「中国人の監視も怖いが、何が怖いかといって自分たちの子供が怖い」と言います。彼らの子供は学校に入り、中国人の教師に洗脳されると、親が家の中に飾ってあるダライラマ法王の写真などを当局に密告するとのこと。親達は「〔家族が信じられないのなら〕もう何を信じていいのか分からない」と。

 僕が最後にチベットに入ったのは北京オリンピックの前年の2007年でした。チョモランマ(エベレストのチベット名)のベースキャンプに入って目を疑いました。道は舗装され、ホテルや民宿などの宿がたちならび、女の人と遊ぶ店までが建ち並んでいました。それを中国人たちは
「来年は中国でオリンピックをやり、その時聖火リレーがこのチョモランマの頂上にもいく。世界中からマスコミがくるだろうから、発展した中国の姿をみせるのだ。すばらしいだろう」
と誇らしげにいうんです。僕はヒマラヤの清掃活動に携わってきましたが、〔彼らにはヒマラヤの自然を保護するとかの概念まったくなく〕ゴミ問題以前のそのズレた感覚に驚きました。

 チョモランマのベース・キャンプには立派な公安の詰め所がたち、外国からくる登山隊に厳しい監視を行っていました。2004年、ナンパ峠を越えて亡命するチベット人を中国の国境警備隊が次々と射殺する光景を、ジョーオユーに上ろうとしていたルーマニア人の登山家が、偶然フィルムに収めました。その映像がユーチューブにアップされた時、ボクは「ああこれでやっと中国がチベットに対して行っている非道を、ごく一部だけど世界が目にすることになる。これで少しは中国もチベット人に対して露骨な迫害はやめるだろう」と思いました。

 ところが状況はもっと悪くなりました。ベースキャンプでの公安の監視はいっそう厳しくなり、政治的な話はダメ、また荷物を検査してそこにフリー・チベット旗とかでてきたりすると、その人はどこかへ連れて行かれます。とあるアメリカ人が〔政治的な話をしてはだめというので〕フリーチベットと紙に書いて無言で公安にみせたら、その人はどこかへ連れて行かれました。僕は「あれはやりすぎだろう」というと、シェルパたちは
「ケン、黙れ。そんなこといったら、お前も捕まるぞ」と言われたんで、僕はすぐに黙りました(笑)。

 そして2008年のオリンピックの年にチベット人が暴動を起こしました。それを見て、「ああ、ついに彼らは立ち上がったのか。オリンピックで中国に注目が集まっている機会をとらえて、命をすてて立ち上がったんだ」と思いました。チベット人が政府を批判するのは命がけです。知覧から飛び立つ特攻隊員みたいな覚悟を決めていたのでしょう。日本みたいにデモをやろうが、政府をギャーギャー批判しようが、何の危険もない国じゃないんです。

 〔チベット人が命をかけて立ち上がったにも関わらず、〕驚いたことに世界は変わりませんでした。ニュースの解説員もチベット問題について何もふれず、日本の野球の監督(星野監督)は「聖火リレーを走れて光栄です」とまで言いました。そして何事もなかったかのようにオリンピックは開催され、どの国もボイコットすることなく開会式が開かれました。僕はあの時世界がチベット問題をスルーして中国にオリンピックを開催させたことは大きな問題だったと思います。

 日本の著名人は、ただ単に知らないのか、あるいは無関心なのか、公の場で政治的な問題について自分の意見をのべないものですが、これはとてもよくないことだと思います。中国は気に入らない人間に登山許可をだしません。登山家として山に登れなくなるのは痛いです。僕にはチョモランマをチベット側からのぼりネパール側におりるという夢がありますが、〔中国を怒らせたら、チベット側からの登山許可がおりなくなるため〕それが叶わなくなるかもしれません。だけど、もしチベットのことに沈黙してこの冒険が成功したとしても、僕は100%ハッピーにはなれないと思うんです。知ってて沈黙することは中国政府のやっていることに対して加担することと同じで、十字架を背負うことになる

僕にもスポンサーがついています。そして日本の企業は自分がスポンサーをしている人に政治的な色がつくのを嫌います。事務所のスタッフはスポンサー探しの営業をしていますから、当然僕には政的な発言して欲しくない。そこで僕は夜中にブログを書くんです(笑)。そうしたら朝になってスタッフが発言を削除しても、それまでに誰かがコピーしてリツイートしてくれる。だから僕は夜ブログを書くんです(笑)。

〔チベット問題について発言したら〕すごい反響がきました。大半は「よく言ってくれた」ですが、中には罵詈雑言もありました。でも抗議する人の日本語がどっかおかしいんですよね(笑)。スポンサーのところにもジャンジャン抗議の電話がかかりました。でも一社ずつ説明していったら、みな腰が据わっていて、降りたのは十社中一社だけでした(その一社の名前が聞きたいところ 笑)。スタッフも僕のことを理解してくれていますから、最終的には好きにさせてくれました。

 それ以後、チベット問題をどう続けていくのか難しかったのですが、ツェリンドルジェ(SFT代表)と出会って一緒に活動をやることにしました。ツェリンドルジェがみせてくれたドキュメンタリー「恐怖を乗り越えて」は、ぜひ見てください。オリンピック前夜、チベット人が中国に対する思いを本音でしゃべっています。このドキュメンタリーをとったトンドゥプワンチェンは逮捕されて懲役六年の刑に服しています。中国では体制に対して批判的なことをいっただけで逮捕されるのです。このドキュメンタリーでトンドゥプワンチェンにインタビューされてるチベット人は、みな本人了解の上で顔にぼかしをいれていません。みな命をかけて証言しているんです。

 しかし、日本人はこのようなチベットの状況に無関心です。今回のイベントについてもマスコミに声をかけましたが、来てくれるのは産経の記者さんくらいです。でも日本にとってチベットは明日は我が身です。

 2010年、尖閣で海上保安庁の船が中国の漁船に衝突された事件が起きた時、僕はアフリカにいました。アフリカは今中国一色です。中国政府はアフリカに多額の援助を行っており、どこにいっても中国人が道を作ったり、建物を作ったりしています。また国を挙げて観光キャンペーンをやっているため、たとえばケニアには大量の中国人観光客がおしよせています。かつて、ケニアの国立公園は白人観光客の世界でしたが、今は一つのロッジの半分は中国人観光客に占められています。

 中国人がアフリカにお金を落とすと、アフリカの人も中国人と商売をしようとし、中国語に興味をもちます。ケニアのナイロビ大学で十年前には中国語を学ぶ人は7人でしたが、今は700人になったそうです。そうして中国に興味をもった学生は中国の国費で北京大学に入学します。
 
 さらにアフリカのニュースはすべて中国国営テレビ(CCTV)の翻訳です。僕がアフリカの記者に「どうして中国のの発信するニュースなんか翻訳するのか」と聞いたら、CCTVはアフリカ各地に百数十人の記者がいて、自分の会社は二名しかない。情報力が格段に違うからCCTVのニュースを使わざるを得ないのだとのこと。

 そしてアフリカの人は僕の顔をみると、「ニイハオ」といいます。
 JICAは35年も前からアフリカで農業指導をしており、地味ながらも成果をあげ稲作技術は格段にあがりましたが、現地のアフリカ人にその事業を誰がやっているのかと聞くと「中国人」と応えます。なぜ彼らが日本人の存在を知らないのかというとJICAの事業のどこにも日の丸がたっていないのです。僕が「税金を投じての事業なのになぜ日の丸を立てないのか? 」と関係者に聞くと「援助に国を前面にだすのはスマートでない」との答え。〔アフリカにおける中国の存在感はかくも圧倒的なのに、そんなこと言ってる場合か〕アフリカとチベットで起こっていることを目にすれば、日本も人ごとでないことにすぐ気づくはずです。 

 ほっとけば尖閣にどんどん中国は入ってきますよ。僕は三年前(2010年)「尖閣もぐらを守る会」というのを作りました。世界のもぐらが42本の歯を持つのに対して、尖閣もぐらは38本と大変めずらしい種ですが、現在絶滅危惧種となっています。その保護活動のために尖閣に上陸することを提案しています。

中国は外国からチベット問題を指摘されるたびに「内政に干渉するな」と言いますが、〔チベットはもともと中国の一部ではありません。〕百歩譲ってチベットが中国の一部だとしても、中国が行っていることは国際人権規約にうたわれた民族自決権、ジェノサイド条約に抵触していて完全にアウト。人権問題を内政干渉で言い逃れることは世界に通用しません。

 チベットやアフリカで起きていることは明日の日本に起きることです。中国には彼らの正義があります。それは13億人を食べさせていくため世界中の資源を奪い尽くすことです。日本人がぽかーんと指をくわえているうちに、中国にやられてしまえば、それは中国が悪いというよりも日本政府が悪いのだと思います。政権が変わって安倍首相はチベット問題について発言しているので少しは変化があるかもしれません。


 みなさま、夜分遅くの会合に起こし頂いた上、数数のお気遣い、本当にありがとうございました。
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COMMENT

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| URL | 2013/02/16(土) 01:12 [EDIT]
いつもお世話になりありがとうございます。そして話を聞けなかった人のために、いつもブログを書いていただきありがとうございます。

私も少ししかお話を聞けなかったので、野口健さんがアフリカの話をしてたのを、今朝になって知りました。

jicaの中国を長年担当してた人にアフリカ支援の話を聞いたことがあるのですが、中国はビルを建てたりインフラ整備などをするので支援が目に見えやすく、また、現地の人を雇わず、作業員はすべて中国からやってきて中国人が増えるから…とこのとでした。

健さんのお話を聞いて、日本人の日の丸アレルギーみたいなもののせいもあるのかなぁと思いました。
国を追われている状況でさえも自国の国旗に誇りを持てるチベット人が、そういった点でもうらやましいです。

先生も野口健さんも大ファンなので、昨日は至福の時間でした。
個人的には先生と野口さんの対談を見たかったのですが、話が尽きないで時間切れになる気がします(笑)
それは次回のお楽しみ、でしょうか。
またよろしくお願いします!

シラユキ | URL | 2013/02/16(土) 11:43 [EDIT]
kさんいつもながらありがとうございます。わたしも会場でjicaの方と名刺交換したので、今度詳しいことを伺ってみたいと思います。
日の丸アレルギーって確かにアジアの人にはあるけど、アフリカの人にはないのだから、そこまで神経質になることはないと思うんですが。
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| | 2013/02/16(土) 21:20 [EDIT]
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