白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2013/07/16(火)   CATEGORY: 未分類
13年13回13パネルの発表者になりました1
梅雨が明けたかと思ったら突然猛暑になって、体調が激しく悪くなり、その上、7月21日から国際チベット学会(IATS 13)があるため、その準備で英語の原稿書きに追われてそのせいかどうか、毎日夕方からの偏頭痛が恒例行事に。アスピリン喘息が出るんで、頭痛薬がのめないのでもうどうにもならん。インドが独立する時「この頭痛(イスラム教徒)がなくなるなら、首をきった方がいい」といって分離独立した気持ちが分かるわあ、て、違うわ。首切ったら死ぬ。

 で、国際チベット学会の話。今年は蒙蔵条約を記念してか、モンゴルのウランバートルでモンゴル科学アカデミーと国立モンゴル大学の共催で行われる。

 ウランバートル、それはモンゴル語で「赤い英雄=モンゴル革命の父スフ・バートル」を意味するので、この名前は社会主義時代の名残。昔は大僧院を意味する「クーロン」 (フレー / ウルガ)という名前で知られていた地。

 そう、元来遊牧民はテントをもって定住家屋を持たない。なぜこの地に街ができたかというと、フレーという名前が参考になる。

 17世紀、チベットにはダライラマ五世というとっても強力なダライラマがおわしました。自らをチベットの守護尊観音菩薩であると示すため、観音菩薩の聖地マルポリの上に宮殿をたて、観音の化身を前世者に並べ、世俗勢力を凌ぐ権威を手にした。そして、西はトルグートから東は満洲まで、とにかく布教の僧をおくりまくり、相手先からは留学生をひきうけまくった。その中に、ハルハのトシェート・ハン家の王子ジニャーナバジラ(モンゴルでは訛りたおしてザナバザル)もいたのである。

 ジニャーナ・バジラはチベットに留学してパンチェンラマ一世とダライラマ五世から教えをうけ、「もっと勉強したいです」といったら、「モンゴルで僧院を作るのがあなたの仕事」と云われて、チベット政府から技術者と人材を派遣されて、ヘンティ山脈のふもとにつくったのが、リボゲゲーリン僧院(通称ガンデン)。ご存じの通りチベットの僧院は、僧侶の数もおおく僧坊や集会殿がならぶ非常に大規模なものであるため、やがて市場がまわりにでき、今のウランバートルの前身となる市街地が形成されたのである。

 で、数日前プログラムの詳細が発表になったが、これが大所帯。回を重ねるごとに参加者がふくれあがって今回は45のパネル、3つの記念講演、17のセッションに分かれて、一週間ぎっちぎちの予定で人がつまっている

 参考までにパネルとセッションの驚くほど適当な訳をあげておく。医学と天文学の似たようなパネルがいくつもあるのでまとめたらいと思うし、肝腎の蒙蔵条約とかモンゴルとチベットの関係史に焦点あてそうなパネルが少ない。

 また、チベット文化の根幹をしめる仏教哲学が異常に少ないことがきになる。キレイに解釈すれば、チベット仏教はチベット人自身の手によって僧院で一生かけて研究と修行がなされているので、今更学者が出てくる幕がないともいえる。しかし、ひねくれた解釈をすれば、チベット人が一生かけてうけついでいく伝統的な仏教哲学を途中からはじめた外人が完全に理解するのは長大な時間と能力が必要とされるのでむり。したがって、最初からこの困難な道をさけ、よりアプローチのラクなジェンダー、教育、現代事情などポップなジャンルに学者が流れているともいえる。

さて、私の発表は例によって笑えます。
今回のチベット学会は2013年に行われる第十三回大会で私のパネルであるチベットの王権は、13パネル。もう笑うしかない13続き。この数字は西洋では「キリストが処刑された13階段」の故事により縁起が悪いとされるのだが、パネルの主宰者であるDonald Dodsonは「古代チベットでは吉祥な数字だ」と不吉な雰囲気を払拭しようとしている(笑)。

 さらに言えば、私の誕生日もアンチクリスト・オーメンの誕生日六月六日なんですが(笑)。131313がきれいに三つならんだステキなパネルでの発表は今から楽しみ。何がおきても数字のせいにできるわ。
 
パネル 1: アムドとモンゴル (Amdo and the Mongols)
パネル 2: 建築と保存(Architecture and Conservation)
パネル 3: ブータンとシッキム(Bhutan Sikkim)
パネル 4: ブータン仏教と文化 (Bhutanese Buddhism and its Culture)
パネル 5: チベット高原の気候変動 (Changing Climate on the Tibetan Plateau)
パネル 6: モンゴル仏教の歴史 (The History of Buddhism in Mongolia)
パネル 7: 初期ゾクチェン (Early Dzokchen)
パネル 8: チベットにおける表現法としての民俗誌と地図製作 (Ethnography and Cartography as Modes of Representation in Tibet)
パネル 9: 未知の探求: チベットの民族文学と大衆詩の言葉についての新研究 (Exploring the Uncharted: New Research in Tibetan Folk Literature and Popular Poetic Language)
パネル 10: チベットのケサル叙事詩の新研究(New Research on the Gesar Epic in Tibet)
パネル 11: 大チベット (Greater Tibet)
パネル 12: チベットにおけるヘルメス : タントラの解釈学的規則(Hermes in Tibet: Tantra’s Exegetical Imperative)
パネル 13: チベットの王権と宗教 (Kingship and Religion in Tibet)
パネル 14: チベット高原の暮らし(Livelihoods on the Tibetan Plateau)
パネル 15: アムドでの生活 (Living in Amdo)
パネル 16: 17世紀後半から20世紀にかけてのチベット・モンゴル・中国の天文学・薬学(Medicine and Astrology between Tibet, Mongolia and China, late 17th early 20th centuries)
パネル 17: 密教行者たちとアムドの僧院との関係 (Tantrist Communities and Their Relations with Monastic Institutions in Amdo)
パネル 18: モンゴル仏教美術 (Mongolian Buddhist Art)
パネル 19: 規範・改革・規則: チベットの社会史における新視点 (Rules, Reform and Regulations: New Perspectives on Tibetan Social History)
パネル 20: 遊牧民の宗教生活 (Nomads’ Religious Lives)
パネル 21: 新奇・系譜・伝統 :モンゴルとチベットの仏教の過去から現代に至るまでの関係(Novelty, Lineage and Tradition: Contemporary and Historical Relations Between Mongolian and Tibetan Buddhism)
パネル 22: ニンマ研究 (Nyingma Studies)
パネル 23: 古チベット語研究IV (Old Tibetan Studies IV)
パネル 24: 革命後の話術: チベット人と中国の共産主義者との出会いを以下に語ったか(Post-Revolutionary Narratives: or, how to Retell Early Tibetan Encounters with the Chinese Communists)
パネル 25: チベット医学の保存と発展(Preservation and Development of Tibetan Medicine)
パネル 26:高等教育における外国語としてのチベット語教授(Teaching and Learning Tibetan as a Second/Foreign Language in Higher Education )
パネル 27: ボン教の紛争 (The Bon Differences)
パネル 28: モンゴルとチベットにおける都市化とそれが家族と社会へ与えた衝撃 (The New Urbanization in Mongolia and Tibet and its Impact on Family and Society)
パネル 29: チベットとモンゴルの俗人(The Secular in Tibet and Mongolia)
パネル 30: カムにおける領土・共同体・交流 (Territories, Communities and Exchanges in Kham)
パネル 31: 変動する世界の中のチベット; 清帝国の崩壊と民国の建国への対応 (Tibet in a Changing World: Responses to the Collapse of the Qing Empire and the Rise of the Nation-State)
パネル 32: チベットとモンゴルの宗教舞踊 (Tibetan and Mongolian Ritual Dance)
パネル 33: チベット語のIT (Tibetan Information Technology)  See Commemorative セッション 2
パネル 34: 変容するチベットとモンゴ仏教: 民族間のネットワークと地域社会 (Tibetan and Mongolian Buddhisms Transformed: Transnational Networks and Local Communities)
パネル 35: 後伝仏教期初期におけるチベッ仏教哲学の発展 (Tibetan Developments in Buddhist Philosophy in the Early Centuries of the Later Diffusion)
パネル  チベットの写本研究 (36W: Workshop: Tibetan Manuscript Studies)
パネル 37: ゲルタンのチベット学 (Tibetology in Rgyal Thang)
パネル 38: チベットのマハームドラーの歴史 (Toward a History of Tibetan Mahamudra Traditions)
パネル 39: 異世界が出会う時 : 東ヒマラヤにおける文化横断経済 (When Different Worlds Meet: Transcultural Encounters in the Eastern Himalayas)
パネル 40: モンゴルの薬学の伝統 (Medical Traditions of Mongolia)
パネル 41: モンゴルとチベットにおける仏教天文暦学 (Buddhist Astronomy and Astrology in Mongolia and Tibet)
パネル 42: 『覚りへの道』に対するモンゴルとチベットでの註釈の歴史(The Bodhicaryavatara: Mongolian and Tibetan Commentarial Traditions)
パネル 43: モンゴルからみたチベット・テクスト研究 (Tibetan Textual Studies from the Mongolian Perspective: Terminology and Translation)
パネル 44: チベットとモンゴルにおける仏教認識論の相承 (The Transmission of Buddhist Epistemology to Tibet and Mongolia)
パネル 45: チベットの文学交流 (Tibetan Literary Exchanges: Influences Between Genres and with Neighbouring Literatures)

記念セッション 1: アンドレ・アレクサンダー追悼 A Tribute to Andre Alexander
記念セッション 2: ジーン・スミス追悼 Among Digital Texts: Remembering Gene Smith
記念 セッション 3: ルキアノ・ペテック追悼 A Tribute to Luciano Petech

セッション 4: チベット仏教の女性信徒Tibetan Buddhist Women
セッション 5: 国をこえたチベットアイデンティティTransnational Tibetan Identities
セッション 6: 聖俗の地理学Sacred and Secular Geographies
セッション 7: 近代チベットの政治史Modern Tibetan Political History
セッション 8: チベット史Tibetan Histories
セッション 9: 言語・言語学・教育Languages, Linguistics and Education
セッション 10: 演劇やミュージカルの伝統Performing Arts and Musical Traditions
セッション 11: サキャ派研究Sakya Studies
セッション 12: チベットの修行史History of Tibetan Religious Practices
セッション 13: 偉人の伝記と著作Great Lives and Works
セッション 14: チベットの芸術と考古Tibetan Art and Archaeology
セッション 15: 仏教、科学、社会Buddhism, Science and Society
セッション 16: 民俗宗教と地域の伝統Folk Religion and Local Traditions
セッション 17: 教義と哲学Doctrines and Philosophies
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