白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2014/04/21(月)   CATEGORY: 未分類
如月の望月の頃(法王高野山灌頂)
 4月14日 高野山大学において、ダライラマ法王による胎蔵界灌頂が行われた。法王灌頂が行われると高野山の宿坊は満室となるのだが、平岡先生の口利きで普賢院に宿をとることができた。朝ごはんは平岡先生ご一行とともに同じお座敷でいただく。

 平岡先生の奥様が法王お下がりのフルーツとかもってきてくださり、とてもありがたい。平岡先生は先生で、三日前の種智院大学で、ダライラマ法王が弘法大師について一聴衆の質問に答えたことを興奮気味に話してくださる。

 「高野山奥の院では弘法大師空海がいまなお即身成仏して生きている」という信仰があるが、それはありうることか、という質問に対して、ダライラマ法王は「ヨーガタントラ(『金剛頂経』の属するジャンル)の修行で、長い寿命を得てそのような状態になることはありうる。しかし、その姿は境地に至っていない人には見えないだろう。」とお答えになったんですわ。
 私はそれ聞いてね『今昔物語』の中で観賢僧都が御大師様の廟を開いた時の話を思い出しました。観賢には御大師様の髪もひげものびて、衣もぼろぼろになっていたのが見えたので、綺麗にして差し上げるんですが、御大師様のその姿は弟子たちには見えなかったんですよ。


 高野山にふさわしい内容ではあるけど、朝からトークが濃い。

 朝ご飯がおわると灌頂が始まるまで少し時間があるので、私は壇上伽藍へとお参りにいく。入り口のところで、お坊さんが対の勝利旙を掲揚するのに丁度いきあった。聞けばお花祭り(釈尊の誕生日4/8)から一ヶ月は、金剛峯寺や壇上伽藍入り口に、八時に勝利旙をかかげ、五時にしまうということを繰り返しているという。
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 言われてみればお花祭りからまだ十日くらいしかたっていない。平地より寒い高野山の上ではつい一週間前も雪が降ったとかで、北向きのひさし下には雪が残っていたが、その日は暖かく、金剛峯寺の桜は丁度三分咲きくらいで美しかった。

 去年の9月以来半年ぶりの高野山である。前は学生たちと賑やかに歩いたので、一人の今はちょっと寂しい。一山をマンダラに喩えた場合、その中心となる根本大塔にお参りにいく。すると前回来たときには気がつかなかった「西行桜」という桜の木があった。

 西行は歌人として名高いが、とくに桜の花を詠んだ歌に名歌が多いとされている。よくあるなんちゃって文学碑かと思えば、そこにたつ解説を見ると、西行は本当に高野山に30年住んでいたのだという。西行桜は他の桜に比べて遅咲きなのか、まだ蕾みであった(この桜の木は江戸時代くらいからのものらしい)。
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 根本大塔にお参りしてから、灌頂の舞台となる高野山大学の講堂に向かう。この講堂は本日は灌頂の道場となるため、清められ、ホールに入る際には口漱がねばならない。法王は早くから道場に入って本尊ヨーガの瞑想を行われている。
 壇上は鉢植えの花で飾られており、左手に胎蔵界マンダラの砂マンダラがあり、仏画とマンダラと法王座の位置関係はこんな感じであった。

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法王は本尊、おつきの僧たちは本尊から流出する仏の役を行いながら、本尊ヨーガを行っている。聴衆はモンゴル、韓国、シンガポールの仏教徒など多国籍で、同時通訳ブースも英語、韓国語、モンゴル語、中国語がある。有名人としては高須クリニックの院長先生がお見えで、なぜかモンゴルからきたIさん(去年の夏モンゴルでバーベキューパーティに招いてくださった方)と灌頂終了後精進料理を食べていた。二人はメル友とか。
 Iさんによると院長先生は「天使のような方」なのだそう。にしても世界狭い(笑)。

 エントリーの最後に今回の法話の全容が分かるURLをはるので、灌頂の内容は前行法話も含めてすべてYoutubeでご覧頂きたい。ちなみに、密教は秘密の教えなのに中継していいのかと平岡先生に伺ったところ、平岡先生はロサンテレ先生に質問してくださり「胎蔵界の儀軌には秘密の誓いがないのでいいんじゃないんですか。でも道場にいないでネット中継みただけでは、灌頂受けたことにはなりません」とのこと。

 胎蔵界マンダラはチベットの密教経典の分類法からいうと、下から二番目の行タントラにあたる。この行タントラは身体で行う所作に大きな意味を付与するので、動画の見所は法王が手で結ぶ印契と、傘をさしかけたりするお手伝いのお坊さんの所作である。

 舞台の上は花とマンダラと所作であふれて何というかカラフルで華やかな春にふさわしい儀式であった。灌頂は早々に終わり、混むのを裂けるため速やかにお山を下りる。大阪の環状線につく頃にはあたりが暗くなりはじめ、車窓に月が浮かぶ。

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満月に近い。
そうか。法王はちゃんと灌頂の日を儀軌通り満月の日に設定していたのだ。

 後で平岡先生に伺った所、法王は15日の灌頂執行を主張しておられ、「土曜日から三日かけてやってもいい」とおっしゃっていたという。15日は月食、つまり満月の日だからだろう。しかし、高野山大学は15日を講演の日とアナウンスしていたので、結局14日に行うことになったのだという。法王はあくまでも満月の日に灌頂を終えたかったのだと思う。

 そこで、もう一つの事実に気がついて神秘的な気持ちになった。それは西行が高野山にいる時「お釈迦様と同じように桜の花の下で春に死にたい」って詠んで、本当に後にその時期に死んだので、預言の歌として有名なこの歌。

 願はくば花の下にて春死なむその望月の如月の頃

 この望月は言うまでもなく満月のこと。日本仏教ではお釈迦様がなくなられた日を旧暦の如月(二月)十五日(満月)とする。西行の頃の如月は新暦では、三月から四月初旬にあたるらしい(ネットがそういっている笑)。この句を詠んだ当時、西行は高野山にいた。新古今和歌集は脳内で詠んだイメージの歌が多いが、この歌に含まれる、桜、満月、春、お釈迦様、高野山などのイメージは、今回の高野山での体験にまさにシンクロしている。

 そういうわけで華やいだ気分になって東京に帰ったのであった。

以下は、今回の法王来日灌頂の記録サイトです。良い時代になりました。

●4月7日(月)13:30~15:30(開場12:30)
「東日本大震災神道祈りの会主催 ダライ・ラマ法王14世の講演と法話
東京エレクトロンホール宮城

●4月10日(木)9:30~12:00
演題「密教と即身成仏
京都種智院大学 

●4月13(日)•14日(月) ダライ•ラマ法王を導師とした「胎蔵曼荼羅の灌頂」
4月13 (日)
胎蔵界灌頂前行法話『ラムリムドゥトン
4月14日(月)
午前 前行法話続き「心を訓練する八つの教え」(ゲシェ・ランリ・タンパ)

午後胎蔵曼荼羅灌頂

●4月15日 ダライ•ラマ特別記念講演
高野山大学特別記念講演

●4月17日(木)来日法話「空と慈悲の教え」
午前の部「般若心経について」
午後の部「三十七の菩提の実践」
場所 ホテルオークラ東京
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COMMENT

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miyacoma | URL | 2014/04/21(月) 12:55 [EDIT]
いつもいつもの体験レポート、ありがとうございます!(というか、今回はやっと参加できたにも関わらず、ブログにレポートをあげて頂くのをこっそり期待していたり…また、帰途ご同道させて頂いた際、立ったままお話させてしまいすみませんでした。)会場では大画面もありましたが法皇様が結んでいらっしゃる印が分からず、残念に思っていましたので、Youtubeとっても助かります。

『今昔物語』の
>御大師様のその姿は弟子たちには見えなかった
に、ぅわー、そうか!と納得。ちゃんと辻褄が合っててスゴイです。
西行って、一生が草枕の漂泊の遊行僧という(後世に作られていった)イメージがありますけど、実際はしっかり高野山に拠点を置いてたんですよね。

今この時代の高野山が、西行や空海、さらに遡ってチベット仏教、そしてお釈迦様から連綿と続いているのを感じて感動です。

シラユキ | URL | 2014/04/22(火) 01:02 [EDIT]
高野山でお会いできて私も楽しかったです。
高野山が開かれた時はチベットはティソンデツェン王の時くらいでやはり仏教が国家でとても力をもっていた時代。西行の時代はアティシャと同じくらいかな。おっしゃる通り、アジアは仏教という一つの思想で自空をこえてつながっていますよね。
● 灌頂のこと
Koichi | URL | 2014/04/29(火) 09:32 [EDIT]
昨日、ラクパさんにお会いして何故灌頂を流したか伺いました。私も個人的に疑問を感じていたからです。
ラクパさんは生涯、法王様の灌頂に憧れ、待ち焦がれていても、受ける機会を得ることの出来ないチベットに住む人々のために、越法の覚悟で、流したとおっしゃっていました。
● 護国寺のチベットフェスティバルについて
二丁目のすずき | URL | 2014/04/30(水) 19:34 [EDIT]
先生こんにちわ。
今回は仕事の休みが取れなくて、参加を断念いたしました。
吉野のさくらも観たかったのですが残念です。
ひとつお聞きしたい事がありコメントいたします。
毎年ゴールデンウイークに護国寺で行われているチベットフェスティバルは今年はないのでしょうか。ご存知でしたらお教えください。
● 二丁目のすずきさんへ
シラユキ | URL | 2014/04/30(水) 21:17 [EDIT]
今年は残念ながら開催されません。チベフェスはたしか恒例ではなく、不定期だったような。少ないボランティアさんたちの熱意でまわっているので、去年のとくに初日は氷雨ふる中、ボランティアさんがまっっつぁぉになっていて、そうそう毎年できるものではないなと思いました。でも楽しみにしてくださって嬉しいです。
● チベットフェスティバル
二丁目のすずき | URL | 2014/05/03(土) 11:14 [EDIT]
そうでしたか。
今年は残念ですね。
灌頂の映像ありがたく見せて頂いています。
超法のご覚悟・・・すごい事です。
● 管理人のみ閲覧できます
| | 2014/05/06(火) 22:27 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

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