白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2014/07/12(土)   CATEGORY: 未分類
スパーリンク氏中国に入国を拒否さる
※ この投稿は編集しました。最初の投稿では東京大学の院生だった時に逮捕されたトフティ・テュニアスとイリハム・トフティさんを同一人物としていましたが別人です。


 アメリカの著名なチベット学者、インディアナ大学のエリオット・スパーリンク氏が北京空港で入国を拒否された。以下の写真の右側が彼である。彼は歴史学者なので自分が二十代の頃から彼を知っているが、その頃からこんなかんじのカッパ風x貌であった。
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 その頃も今も彼は精力的にフリー・チベット運動をやっている。2008年の北京オリンピックを控えた三月、チベット人が蜂起した。中国がオリンピック開催と引き替えに行うはずだったダライラマとの対話は骨抜きになり、弾圧は改善するどころか悪化したことにチベット人がきれたのである。中国政府はチベット人を武力で押さえ込んだため、世界中から中国に非難が集中した(日本のマスコミはオリンピックを前にしていたため北京に気を遣ってマスコミその他の中国に対する批判は抑制的だった 怒)。この時、チベット学者をまとめて、中国政府に対して抗議を行うアクションの先頭にたっていたのがスパーリンク氏であった。

 チベットを愛していてチベット問題に個人的に憤りを感じていても人類学や言語学や登山家などフィールド系の方は、チベット問題についてはっきり意見を言わない。なぜなら、もし彼のように中国政府のイヤガラセにあってチベット人居住域に入れなくなると、とたんに研究やライフワークや商売が頓挫してしまうから。

 その点歴史学者は現地調査が必要不可欠というわけではない。研究対象が遙か昔で、古いものはあらかた共産党が壊してしまったから。われわれは歴史資料さえあれば、それでOK。スパーリンク氏も以下の記事中で述べるように、研究が頓挫まですることはない。それに今の中国は入ってもね、いろいろ制約があって不愉快なんだよね。中国が民主化して、チベット各地にある史料館に外国人が自由にアクセスできるようになったならば、もちろん何度でも喜んで訪れたいけど。

 スパーリンク氏の入国拒否の原因となったのは、この記事によるとイリハム・トフティ氏(写真左)と彼の交友関係によるものだという。
 以下にスパーリンク氏の入国拒否を伝えるニューズ・ウイークの記事を和訳しました(ソースはここ)。例によっていい加減なので、許してね。
 
News Week 2014年7月7日 By EDWARD WONG

ウイグル学者のために発言したアメリカの学者を中国は入国拒否した

北京。先週末、アメリカ人教授エリオット・スパーリンクはニューヨークから12時間のフライトの後、北京に着陸した。しかし、空港内にある小部屋に辺防官吏によって連行され尋問された。教授は一年間有効期限のある観光ビザを持っていたにも拘わらず、たった今乗ってきた同じユナイテッド航空便に乗せられて、アメリカに戻された。

 スパーリンク氏は「ウイグル人の経済学者イリハム・トフティ氏は中国政府に分離主義者の罪をきせられ、その逮捕は全世界の怒りを招いた。彼を口頭で支持したことに対する、イヤガラセだと思う」と述べた。

イリハム・トフティは中国国内で追い詰められていくウイグル人たちの擁護者であり学者である。彼は水曜日(6月25日)に逮捕された。

 スパーリンク氏の強制送還とビザの無効化は、中国が穏健な学者トフティ氏を擁護しようという国際的な動きをつぶそうと必死なことを明白に示している。トフティ氏の逮捕をアメリカ国務省も人権擁護団体その他も非難している。五月に言論の自由をうたうPENアメリカ・センターはトフティ氏に賞を授けたが、氏が不在なため、娘のJewher Ilham氏が代わりに受け取った。

 イリハム・トフティ(左)とスパーリンク (2012年8月)。 チベットの歴史を教えるスパーリンク氏は〔入国拒否の理由を〕「中国は自分をトフティ氏を支援したからだ」と思っている。

 中国の官僚が政治的に不快と感じるような執筆や発言を行う学者やジャーナリストらを、中国は最近とみに入国拒否し続けている。このような中国政府の戦術によって、知識人が中国から入国を拒否されないように発言や執筆を自主規制するのでなはいかという懸念が増している。一部のアメリカ人たちはアメリカ合衆国に対して中国に圧力をかけるように要求している。スパーリンク氏の入国拒否は、じつはアメリカの高級官僚が北京において米中戦略・経済・対話の一部分として様々な問題を中国と協議するべく北京についた時に起きた。

 スパーリンク氏はこういう。「私にとっての問題は、入国拒否されたことではない。私は中国に行かずとも研究も学究生活も続けることができる。問題はイリハムを支援する人々に圧力をかけて黙らせたり、孤立させようとしていることである

 スパーリンク氏(63才)はインディアナ大学でチベット史を教えており、かつてトフティ氏に同大学の中央ユーラシア研究所の客員研究員として一年間すごせるように計らった。2012年に出会っ以来二人は友達であった。しかし、アメリカにむけて飛び立つべくトフティ氏が北京首都国際空港についた2013年2月に、トフティ氏は警察官に拘留された。同伴していたトフティ氏の娘はそのフライトにのって、今はインディアナ大学で学んでいる。

 トフティ氏はもともと二月に分離主義の罪状をきせられていた。支配者である漢人とウイグル人との間で民族的・政治的緊張が近年先鋭化し、ウイグル人の故郷である新疆西部においては今も尚暴力的な衝突が再燃している。「トフティ氏はウイグル人と漢人の間における対話を促進しており、ウイグル独立を提唱したことは一度もない」とスパーリンク氏はいう。

 土曜日にスパーリンク氏がトラブルに巻き込まれた飛行場は2013年にトフティ氏が拘留されたのと同じ飛行場である。スパーリンク氏は最近シカゴの中国領事館から一年の観光ビザを取得していたが、空港の辺防官吏は入国を許さず、小さな部屋で一時間にもわたって彼を尋問した。ある時点で、官吏は高さ測定のチャートの前でスパーリンク氏の写真をとった。そう、警察が容疑者を拘留する際にとるあの顔写真である。

 スパーリンク氏の観光ビザは2015年の6月15日まで有効であったが、「キャンセル」の言葉が青いインクでスタンプされ、ビザの上には黒いインクでバッテンがつけられた。
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スパーリンク氏は「私はこのビザを中国共産党人権賞と呼んでいます

「明らかに中国のデータベースに私に関する命令が入っています」続けて「議論の余地はありません。なぜ私が入国を拒否されたのかといえば、それは明らかにイリハムの件であることは極めて明白です。」

 スパーリンク氏のケースについて月曜に問い合わせがきた時、公安のビザ担当部署の電話にでたチャンという姓の警察官は、「聞いてない」といった。外務省のプレス・センターにつとめる職員もまた「何の情報もない」と言った。北京のアメリカ大使館はコメントを拒否した

 スパーリンク氏は彼のチベットに関する研究や中国政府にとって「敏感な問題」が今回の入国拒否の主因ではないという。これまでスパーリンク氏はしばしば観光ビザで中国を旅してきた。2010年には漢人学者が主宰するチベットに関する私的な学会の招待に応えて中国に渡っている。2011年にもスパーリンク氏はワーキングビザで訪問研究員として北京大学に四ヶ月滞在した。この間、氏は北京周辺の人民大学や中国社会科学院などでチベットに関する専門的な講義を行った。

 スパーリンク氏は中国に入国を拒否された西側の学者のリストに新しく連なることとなった。1989年の天安門事件を内部見た「天安門ペーパーズ」を編集した合衆国の二人の教授Perry Link と Andrew J. Nathanはビザを得ることができず、やはりこの本のために働いたOrville Schellは短期のビザしか取得できていない。

このリストの中で最も有名なのは、2004年新疆選集に寄稿した13人の学者であろう。彼らは中国のビザのブラックリストに載せられている。このうち四人から五人は近年中国のビザをやっと取得できるようになってきた。

作家としてはGardner Bovingdonがいる。彼はインディアナ大学の中央ユーラシア学科のスパーリンク氏の同僚である。友人達が彼のために中国当局に働きかけた結果、2013年5月彼はビザを取得した。彼は一月後北京に着陸したが、スパーリンク氏が土曜日に受けたようなしうちとともに、空港から辺防官吏によって送還された。Bovingdon氏はカザフスタンからの電話インタビューでこういった (彼は中国から入国を拒否されたためその間カザフスタンで研究をしているのだ)。

Bovingdon氏は「私の入国の拒否はインディアナ大学とトフティ氏の結びつきとは直接には関係しておらず、新疆選集に端を発するブラックリストが関係したのだと思う」

 中国は最近、「敏感な問題」の報道を押さえるために、ジャーナリストやニュース組織のメンバーをビザ非発給のブラックリストにアグレッシブにのせている。辺防官僚は最近ロイターのPaul Mooney とアルジャジーラのMelissa Chanの長期滞在ビザを拒否し、彼らを北京から去らせた。中国はニューヨーク・タイムズとブルームバーグ・ニュースにもまた二年間のビザ発給を拒否した。ブルームバーグは温家宝の家族の隠し財産について2012年に報道している。

 スパーリンク氏は昨年観光ビザで中国を訪れた。しかし、彼はいつ中国に戻れるかは分からないといっている。

「ブラックリストからはずれる手段があるのかはわからないが、私は自分の行動を変える理由をみいだせない。」「私は声高に異議を唱えたことは認めるが、それ以外、何も悪いことはしていない。そして、ビザを得るために北京の権威主義に従う意志もない

 。いつになったら中国政府はウイグルやチベットの人々に対する態度をまっとうなものにかえるのだろうか。歴史学者がチベットやウイグルの史料を自由に見られるようになる日はいつくるのだろうか。
 私は予言者じゃないから未来のことは分からない。希望としては早くその日がきてほしい。
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| | 2014/07/12(土) 20:14 [EDIT]
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| URL | 2014/07/13(日) 13:32 [EDIT]
> イリハム氏は東京大学大学院に在学中に、一時帰国して史料館で史料を見ようとしたところ逮捕されて、11年もの間刑務所にいれられ、その釈放運動には当時東京大学の教員であった故佐藤次高先生、岸本美緒先生、小松久男教授らが「教え子を救え」と奔走された(詳しくはこのぺーじをみてね。2008年に東京に来日した胡錦涛主席(当時)と総理経験者が懇談する場において、安倍元総理(現総理ああややこしい)が彼の釈放について働きかけたりもし、その翌日イリハム氏の釈放が決まった。
↑トフティ・テュニアスさんです。イリハム・トフティさんとは別人です。
● ありがとうございます
シラユキ | URL | 2014/07/13(日) 13:53 [EDIT]
ご指摘ありがとうございました。おっしゃる通りでした。東大の院生の方は歴史学者ですものね。なおしときました。

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