白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2015/04/07(火)   CATEGORY: 未分類
法王の環境シンポジウム(2015)
 4/2からダライラマが来日されている。このブログで予告しなかったじゃないかとお怒りの向きがあるかと思いますが、一月忙しくて、予告をアップしようと思った頃には一般チケット売り出しが始まっていてそれが瞬時に売り切れたので、予告できなかったのである。しかし、その後、12日と13日の法話(観音菩薩灌頂)は全国の映画館でライブビューイングで公開されることが決まったので、ご紹介。→こちら。現場の四分の一のお値段で法話が聞けます。

 私は5日にチベット學の研究者と法王のシンポジウム、6日に法王が三人の学者パネリストたちと行う環境問題シンポジウムに参加してきた。とりあえず、環境シンポジウムのレポートを以下にあげる。言うまでもないが、録音は禁止されているため、すべてメモに基づいている。内容的にまとめた方がいい箇所は一部編集しました。ボランティアなどをしていてお話が聞けなかった方、参考にしてください。
 この環境シンポジウムは今回で三回目で、法王が臨席されるのは初めてとのこと。三人のパネリストの先生は山本良一(東京大学名誉教授)、宮脇昭(横浜国立大学名誉教授)のはずだったが、一月に長島監督と同じ病になったので、かわりに宮脇先生の仕事に30年連れ添った新川眞(国際生態学センター)先生、おなじみ村上和雄(筑波大学名誉教授)先生。

 ざっとの流れ: 法王の基調講演、三人のパネラーの先生方がそれぞれのご専門のおはなし。法王による最後スピーチ、ラストに「次世代のための環境シンポジウム2015環境宣言」を発表。


「次世代のための環境シンポジウム 2015」


●基調講演: ダライラマ法王
 私はインドに亡命した時、環境問題についての知識はありませんでした。しかし、その後その道の専門家の話を聞くに及び、環境が非常に重要な事を知りました。地球人口は今60億といっていますが、あと何年かで100億を突破する勢いです。貧富の格差も深刻で、天然資源も有限なのに人口が増えるとそれをどんどん消費していきます。そして地球温暖化に伴う気候変動により、天災が各地で起きています。自然を世話することは緊急に必要とされています。それは人類が生きるためです。地球は一つしかありません。技術が発展しようが、科学が発達しようが、人がかつて月におりたち今は火星にいくかといっておりますが、それでも他の惑星に亡命するようなことはありません。我々には地球しかないのです。

 専門家の言うことに耳を傾けねばなりません。気候変動は人間が起こしているものです。 戦争がおきて血が流れていると、これをどうやったらとめられるかみな考えます。しかし、環境破壊は目に見えないところで進み、不可逆的なところまでいってしまいます。
 自然は我々の人生の一部です。まず環境破壊が起きていることを「知る」ことが大切です。知ることで貢献できます。たとえば電気は節約していても一日二回シャワーをあびる生活スタイルをしている人は、自分たちが何をしているのかを自覚しなければなりません。

 70年代から80年代に、イギリスで、貧富の格差を是正すると、天然資源も枯渇するのではないかという議論を行いました(つまり、金持ちがシンプルな生活を行わないと全員が金持ちと同じ生活を行うと天然資源が枯渇するということ)。あれからずいぶん日が経ちましたが、豊かな国のライフスタイルは相変わらずやりすぎな感じです。肥満の人は僧侶のように夜の食事をぬくべきです。私はオランダ人の友人にそういって、彼女もうなずいて聞いてくださるのですが、彼女はものすごい肥満なのです。おかしいと思いませんか?
 
  国家は国を護らねばと武器にお金を使います。誰も戦争を好きな人はいません。戦争は人を殺すことです。そのようなものにお金を使ってどうするのですか。戦争では火のようです。負けそうになるとさらに兵士と武器を死地に送り込みます。人間の命を燃料とする火です。私の国、彼らの国といった、「うち」と「そと」の考えが争いをうみます。しか、今の環境も経済もグローバル化している時代に、国境や民族の境界には意味がありません。意味があるのは人間性だけです。好むと好まざるとにかかわらず、異なったものとも共存していかねばならないのです。これが新しい現実なのです。70億人が一つになれば「うち」と「そと」の対立はなくなり戦争の根拠もなくなります。

 科学者は〔破壊のための兵器造りとがなくて〕建設的な実験を行って欲しい。日本は核兵器をおとされた唯一の国である。その悲惨さを知っているが故に、核兵器廃絶の先頭にたって行かねばならない。昨年、最初南アでやろうとして〔中国の妨害で〕ローマで行われたノーベル平和賞受賞者会議において、核兵器廃絶のためのタイムテーブルを今すぐ作らねばならないと声明をだしました。
 一時的にスカっとしたいためだけに、私が、私がというエゴをとおしたいかために、兵器を用いて何かいいことあるでしょうか。核兵器廃絶のために世界をひっぱっていきなさい。

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山本良一先生
 三人の先生方トップバッターは山本良一先生。山本先生ははじめにダライラマ14世が環境問題にどれだけ関わってきたかの歴史を述べた。そのうち2008年にITCGでその中で気温上昇を1度未満に抑えること、大気中の二酸化炭素量350ppmにとどめることを目標とした、「気候変動」に関する仏教徒宣言「Time to act now」に最初の署名者となったことを主に紹介。詳細はこちら

 スタンフォードのアンソニー・バルモスキー(Anthony Barnosky)が生態系の臨界点(これ以上すすむと加速的に絶滅がはじまる点)が迫っている。今子供が大人になる頃には大量絶滅時代がはじまる、と警告している。国連には気候変動パネル、国際資源パネル、生物多様性パネルの三つのパネルがあるが、「国際倫理パネル」を加えることを提案したい。
 昨年も80名の宗教者、神学者、哲学者が化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を決議した。ダライラマ法王もBeyond Religionという著作でエコ文明実現のための普遍的な倫理を説いている。

 次に、ここ数年、世界中でおきている、水害、寒波、旱魃の写真をその被災地とともに紹介する。
 まずはハリケーンハイエンの襲ったフィリピンでは、COP19のナドレブ・サニョが涙ながらに演説をした。
 年々干ばつのひどくなるカリフォルニアでは、2013年5月21日、州知事がアメリカと中国の二大二酸化炭素排出国にの気候変動に関するアンソニー・バルモスキー(Anthony Barnosky)の報告書を送った。これにより、アメリカと中国は環境問題解決のため政府間が協力をはじめたという。

 山本先生は16年にわたりエコプロダクツ展の実行委員長をつとめており、最近『低炭素革命』という本を出し、国連に倫理パネルの創設を行う運動をしている。とくに日本の仏教者たちに働きかけていて、2012年6月2日真言・天台・神社本庁のトップの三人があつまって環境問題について宣言するようにもっていったそうな。

 さらに、胎蔵界マンダラを翻案したエコマンダラを提示した。大日如来は、宇宙・地球であり、あとの四仏は(1) 惑星スチュワードシス、(2)環境マネジメント、(3)共生、(4) 社会的責任となった図である。
 そして、結論として環境危機は倫理的な問題あることを強調。
(1) 商品がどこで生産され、どこで流通しているかわからない。
(2) 科学の発展により、倫理的な判定の難しいサービスが増えている。
(3) 市民が環境政策に関われない現状
などを問題点としてあげた。

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●宮脇昭先生代理新川先生

二番目のパネラーは宮脇昭先生の代理で登板した新川眞先生。
 今年87才になる宮脇先生は「いのちの森」をつくっている。
 宮脇先生はお若い頃から日本全土をくまなくめぐり植生を調査した。そうして完成した『日本植生誌』は2006年の日本ブループラネット章を受賞された。先生はこれまでに4000万本の植樹を国内外で行ってきた(先生のご著作『明日を植える』にはそれまでの先生の業績が都道府県別に記録されている。)。
 ここから宮脇先生がつくった森の話になるのだが、感動的かつおもしろかった。宮脇先生は大企業と交渉してその企業のもつ土地、たとえば工場や建物のまわりに森を作ってきた。
 プロジェクターはまず小さな苗木だっだものが、どんどん大きくなる姿をうつしだす。8年でこうなって、10年でこのような森になって、それで今はこんな森になりまりした、という写真がつづく。不可能といわれていた熱帯雨林の再生にも30年前とりくんで、今は森になっている。

 そして次に、「命をまもる森」の話にうつる。日本は災害国家であるが、森は人々の命をまもってきた。関東大震災の際に板塀に囲まれた被服廠に逃げた人は95%が焼死したが、緑に囲まれた深川岩崎邸に避難した人は100%生き延びた。 国のつくる海浜の松林は壊滅したが、宮脇先生がイオンのお金でつくった植え込みは、津波の際にもたえて、引き波で車が沖合に流されるのをくいとめた。今は東日本大震災後の被災地にも大槌町にはじまり防潮林をつくる活動を続けている。

 聴衆は森の成長過程を次々とみせられると、ほぉ~っと感嘆の声をだし、現在の堂々たる森の姿がでてくると万雷の拍手に変わる、を繰り返した。

 比較するのも失礼かと思うが、山本先生の胎蔵界マンダラよりも、成長していく森の方が、言い換えれば具体的な行動とその結果をみる方が、希望が生まれていい。 

 植林は最初の二~三年は資金も手もかかるけど、そのあとはほっておけばいいらしい。木が大きくなっていく時、上にのびる枝はのこし、横に伸びる枝はカットするのが大切でこれは「人事と同じ」とのこと。 面白かった話としては、企業のトップは植林に前向きなのだが、その企業の中間管理層、先生いうところの「不透水層」が、だいたい植林に反対するそうな。しかし、この反対によって心をかえるトップはダメで、将来をみこした判断のできる経営者いる会社では植林ができるのだ、という。

 そして、ラストに、宮脇先生の言葉で、「人類は緑の寄生虫でいるしかない。命を心を文化を護るために木を植えましょう。今すぐできることは木を植えること。命ある限り私は木を植えます。」とメッセージを送り、聴衆は拍手で応じた。

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村上和雄先生

 三番目に登壇したのは、遺伝子研究の村上和雄先生。この環境シンポジウムと法王をつないだ方である。村上先生は無表情にギャグをいうのが持ち味で、出だしは恒例の「娘が明日お父さんが死ぬと予言したら隣のオジサンが死んだ」という笑えないギャグから(笑えないので笑える)。

村上先生はご自身の研究を、(1) 心と遺伝子研究会( 糖尿病の人が食後笑うと血糖値が上がらないことなどを発見)、(2) 笑う鼠の研究(鼠を一人にすると攻撃的でストレスに弱くなるが、友達といれるとその逆になる。従って、幼少期の遊びは重要)。(3) 祈りの順番に紹介。最後の「祈り」については今論文にしている最中だとのこと。

私の研究の中で一番苦しかったのは、稲の遺伝子を解明している時だったが、それは結果として世界最高の業績をあげることとなった。しかし、私は遺伝子を読んだだけで、書いた方がエライにきまっている。遺伝子を書いたのは人ではない。自然だ。遺伝子は2000億文の1gの重さの中に万巻の情報が入っている。

 「昼の科学」と「夜の科学」があるが、「夜の科学」とは直感の科学である。それ以外に「真夜中の科学」があるけどこれは私の評判にかかわるのでこれ以上はいいません(笑)。私はこう思うんです。「本当に必要なものは目に見えない。愛とか。何かすごいものは見えないものなのだ。大腸菌も人間も同じ遺伝子暗号をつくって書かれている。あらゆる生物は遺伝子レベルでは同じコードをつかっている。しかし、人は大腸菌をコピーできても作れた人はない。命のしくみはわかっていない。人間は60兆もの遺伝子が協力しあってできあがっている。遺伝子は利己的だというが、利他の遺伝子があると思う。生きているのはすごいことなのだ。シンプルで慎み深い生活をせねばならない。

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●法王が感想を求められて

 私はいつもこう思う。日本人は技術力があり、責任感か強いんだから、もっと海外にでて貢献できるはず。サハラ砂漠には森はない。しかし太陽がある。この太陽で電気をつくり、その電気で海水を淡水にかえて、サハラを緑化したらそこに人が入植できる。アジアも日本もアフリカにできることはある。小さな苗木があんな森になるのだ。日本にはもう森林があるから、アフリカを緑化することもできる。
 BBCのニュースでとあるアフリカの村で私の考えていることが実現していることを知った。世界は一つ(oneness)という感覚が大切なのだ。
  北インド、ホボナというところにいる私の友は、私に「ヒマラヤに行くときは土地の人に木を切るな、木を植えろ」と言って下さい、と頼まれて、以来、私はずっとそれを実行している。木を植えることは政治的な問題にはふれないから、木を植えよう。ふるさとを護ることに反対する人はいない。

 コペンハーゲンの地球サミット会議で私が期待したように各国が二酸化炭素削減のために合意にいたらなかったのは、各国が国益を主張したからである。順序が違っている。優先するのはまず世界で次が国益だろう。世界の指導者は近視眼だ。
 私は亡命してダラムサラにすんですでに50年になる。昨今はダラムサラでも今までにない気候が続き、農民は大変困っている。気候変動はグローバルなものだ。兵器ではなく、建設的なことにお金を使うのだ。動ける人は東西南北動いて技術や知恵をだしあえ。
 イラクの危機はみんなで対処したろう?。何か起きたら金持ちは逃げ、貧しい人が苦しむ。貧しいとはそこらへんで歩いている人だ。熱波がきたら金持ちはエアコンつければいいが、道端で寝ている人は熱波で死ぬ。冬は凍死する。無関心を装うことはできない。

 人間の性質は利他的なものだ。ニュースで殺人、レイプ、いじめなどをみていると人間の本質はネガティブかと思うが、それは違う。彼らは自信がないだけ。人間は本来ポジティブなものだ。テロリストだって親から愛されていた子供時代にあのように攻撃的ではなかったはずだ。環境や思想がネガティブな人間をつくりあげていく。
 全ての宗教他者を助け、喜びを与えるこれが重要だと兄弟愛をとくが、宗教心をもたない人もリスペクトすることが大切だ。〔村上先生の方をみて〕ねずみでも愛をわかっているんだ。鼠が笑うのは宗教とは関係ない。世俗的な倫理を振興することによっても人間性は推進できる。日本人も外向き敬虔でもじつはもう仏教を信じていないでしょう。〔だから宗教のない人たちには倫理を説かねばならないのだ〕
 倫理は自他を健康にするメリットがある。外見の美しさではなく、内面のあり方が重要なのだ。


 というわけで、このあと国連に倫理パネルを、環境問題にいますぐ取り組みましょう、科学の発達には倫理的な視点が大切といった宣言が行われた。

 私の感想。とにかく木を植えよう。たくさんの鳥がやってくる木を植えたい。
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