白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2015/05/04(月)   CATEGORY: 未分類
あれから七年(チベフェス余聞)
ごてごてで恐縮ですが、チベット・フェスティバルが開催されます。タシルンポ大僧院のお坊さんたちがきて、法要、砂マンダラ、声明、法話、瞑想、チャム(チベットの仮面舞踊)を披露します。
チャムも砂マンダラも華麗でカラフルで非常に人気があります。砂マンダラは期間中に順次作成され最後の日に破壇します。場所によってメニューの順番がことなりますので、詳しくは以下、NPO法人チベットハウス・ジャパンのホームページで。
tibetfestival2015a.jpg

パンフレットはここです。

長野の会場となる西方寺は、善光寺の門前にある。善光寺様はことし七年に1回の前立本尊のご開帳の年なので、関東近辺の方は長野でご覧になるのも良いかと思う。

 ここで前回のご開帳の年の思い出を語りたい。
2008年は北京のオリンピックの年であった。
2001年に北京でのオリンピック開催が決まった時、国際社会は中国政府に、報道の自由度をますこと、人権状況の改善、チベットについては亡命政府との対話などを申し入れた。しかし、それらがまったく改善をみないまま、時間だけが過ぎていった。そこで、2007年に、ドイツ、カナダ、オーストラリアの首相がダライラマと公式に会見し、とくにアメリカはダライラマにゴールドメダルを贈呈するなどして、中国政府に亡命チベット政府と実質的な話し合いをするように圧力をかけた。

しかし、これらを中国政府はスルーし、さらに少数民族、カトリック教徒、ジャーナリストたちをより厳しく取り締まった。そして、聖火リレーを世界中の主要都市で行い、さらにはヒマラヤの頂上にまで聖火をあげる計画をぶちあげたのである。ようは、中国にとってこのオリンピックは、国威発揚の場でしかなく、人権改善とかの普遍的な価値を実現する契機にはならなかったのである。

 このような状況の中で、3月のチベット蜂起記念日がきた。この日行われた僧侶たちの平和的な抗議デモが、中国政府によって暴力的に弾圧され、それに怒ったラサの市民が暴徒化し(3/17)、それが東チベットの各都市に飛び火し、いわゆる2008年チベット蜂起が起きた。

 中国政府はチベットの成人男性を予備拘束し、検問をはりめぐらすなどして、情け容赦なく取り締まったため、世界中から非難の声があがった。結果、ロンドン、パリ、サンフランシスコで行われた聖火リレーは中国政府へ抗議を行う人々で騒然となった。このリレーは中国国内に中継されていたので、中国政府の面子は丸つぶれになった。日本においては当初善光寺様が聖火リレーの出発場所になっていたが、辞退したため、リレーの出発地点はただの空き地となった。リレーのスポンサーも次々と降りてナシとなった。

 危機感を感じた中国人たちは、聖火リレーの当日バスをしたてて長野に集結し、リレー当日、普段は静かな市内は大量の中国人と五星紅旗で真っ赤に染まったのであった。この際、留学生組織が長野へ集結するようによびかけを行い、華僑のお金持ちがかなりの寄付をしてバス代を支援し、さらに、中国大使館は旗などを寄付した。

『朝日新聞』2008年05月12日
「中国人留学生大量動員は華僑の寄付 本誌記者が見た実録・長野聖火リレー」

(前略) 動員目標は2千人だったが、当日は5千人近くが集まったという。国内に登録された中国人留学生は7万人強。単純計算で14人に1人の割合だが、入国後、所在不明になる留学生もいるから、実際の動員の割合はもっと高くなるだろう。
 なぜ、ここまで大量動員できたのか。関東地区の留学生なら参加費が2千円で済んだのが大きい。東京-長野間の夜行バスは通常、片道でも3千円前後。李会長によると、差額分は華僑系企業による寄付金で賄われたといい、中には今回の聖火応援ツアーのために100万円を寄付した企業もあった。中国当局が資金援助したという報道もあったが、大使館側はこれを強く否定。代わりに「応援の意味を込めて」(中国大使館)と、中国国旗や五輪旗を提供したという。(後略)


中国大使館は資金援助については強く否定したというが、大使館は留学生組織を掌握しているため、ここから勧誘がきた時点で、政府の支持ありとみて留学生は動いているわけだから、政府の関与がまったくないわけではない。また、留学生以外でも手弁当でかけつけた愛国者もいたであろう。愛国は自分と自分の国家しか見えなくなる麻薬なのだ。

 ついでに言えば、組織もなにもなく自然意志で自腹でやってきた数少ないチベット支援者たちは、季節外れの寒さにふるえつつ小さな公園に集められてそこから出るなと日本の警察にいわれたのであった(笑)。

あれから七年。時のたつのは早い。

チベットの状況は微塵も改善しないどころか、悪化の一途である。国境の取り締まりがきつくなって亡命者は激減しており、行き場をなくしたチベット人の抗議の意は焼身抗議という形になって現在まで続いている。

 話をチベット・フェスティバルに戻そう。

今回チベフェスの長野会場となる西方寺は、チベット研究者の金子英一先生がご住職をしていらっしゃる。そのため寺内にはチベット式の金銅仏が祀られ、その背後にはチベット様式の極楽が描かれている。善光寺様もこの西方寺さまももちろんダライラマ法王が巡錫している。
西方寺廻向柱15

 また、西方寺様の境内には、今回のフェスティバルにあわせて、チベット廻向柱がたてられているのもみどころ。オリジナル記念品としてミニチュアの「幸せの仏塔」、「経輪ストラップ」などが販売されているのでマニアの方どうぞ。
http://saihouji.blogspot.jp/
 七年に一度の善光寺様のご開帳は5月31日まで。善光寺の裏山の麓にはチベットがこの世から消えた直後の1960年代に日本にやってきた三人の有名なチベット人たちの記念の仏塔もたっております。あわせてご覧ください。
DSC04043.jpg

■ 4/28- 5/2 札幌 新栄寺
■ 5/4-5/7 東京 駒込の吉祥寺 (最寄り駅: 南北線 本駒込)
■ 5/8-5/11 仙台 藤崎デパート
■ 5/13-5/16長野県 西方寺

[ TB*0 | CO*5 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する
● なし
なし | URL | 2015/05/05(火) 10:27 [EDIT]
石浜先生
こんにちは。5月4日の投稿を拝見しました。不明な点が一つあります。「危機感を感じた中国政府は、聖火リレーの当日バスをしたてて中国人留学生を長野に送り込み、リレー当日、普段は静かな市内は大量の中国人と五星紅旗で真っ赤に染まったのであった。」ここなんですが、実は私も当時日本に留学していました。学校の中国留学生学友会からのメールがあって、長野に行って中国の聖火リレーを応援しにいきませんかっと、でも自腹ですよって。私は当時生活費と授業料で精一杯で、行けませんでした。中国人としてとても残念だと思います。先生が仰った「危機感を感じた中国政府は、聖火リレーの当日バスをしたてて中国人留学生を長野に送り込み」は事実ではないです。毛沢東の「調査しないと、発言権がない」という名言を先生に贈りたいと思います。これは毛沢東の≪反对本本主义≫の中の言葉です。私が勝手に翻訳するもんですから、不適切なところがあるかもしれません。ということで、どんなことでも、自分で詳しく調査して確認しないと、軽く発言しないほうが賢明です。特に先生は研究者ですから、謹慎しないとと思っています。あてにならない噂をそのまま使うのは禁物です。勝手にボロボロの日本語でコメントして、本当にすみませんでした。
● 朝日の記事
白雪姫 | URL | 2015/05/05(火) 11:54 [EDIT]
『朝日新聞』2008年05月12日
「中国人留学生大量動員は華僑の寄付 本誌記者が見た実録・長野聖火リレー」

(前略) 動員目標は2千人だったが、当日は5千人近くが集まったという。国内に登録された中国人留学生は7万人強。単純計算で14人に1人の割合だが、入国後、所在不明になる留学生もいるから、実際の動員の割合はもっと高くなるだろう。
 なぜ、ここまで大量動員できたのか。関東地区の留学生なら参加費が2千円で済んだのが大きい。東京-長野間の夜行バスは通常、片道でも3千円前後。李会長によると、差額分は華僑系企業による寄付金で賄われたといい、中には今回の聖火応援ツアーのために100万円を寄付した企業もあった。中国当局が資金援助したという報道もあったが、大使館側はこれを強く否定。代わりに「応援の意味を込めて」(中国大使館)と、中国国旗や五輪旗を提供したという。(後略)
*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜
アーカイブで全文が読めます。自腹といってもかなり援助があって組織的であったことは確かです。
● 読売の記事
白雪姫 | URL | 2015/05/05(火) 12:02 [EDIT]
たくさんあったので、あとは過去記事検索をしてみてください
*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜

●「読売新聞」2008.05.04 [ワールド・ビュー]「愛国者」と「売国奴」

(前略)チベット問題や北京五輪聖火リレーを巡っても、理性的対応を訴えた多くの中国人が、「漢奸」呼ばわりされた。報道によると、パリで抗議者から聖火を守り抜き、国民の愛国心に火をつけた車いすのヒロイン・金晶さんでさえ、カルフール不買運動に賛成しなかったため、一部で「漢奸」と呼ばれた。
 「愛国」の旗を高く掲げる我々こそ正義――という自己中心的な群集心理が見てとれる。
 世界各地の聖火リレーコースを赤い中国国旗で埋めた中国人留学生たちにも、恐らく、同様の心理があったに違いない。彼らは、聖火を守る「正義」の行動に陶酔しただろう。だが、世界の目には、群衆が“異端”を打倒しようとする行動が「異様」なものと映った。
 多くの中国人にとって、聖火が「祖国」を象徴するのは自明のことだが、長野市の関係者は「誰のためにリレーをやったのだろう」と漏らしたという。(後略)


●「読売新聞」2008.04.20 聖火リレー 中国人留学生応援へ 2000人以上、「法律従い平和的に」=長野
26日に長野市で行われる北京五輪聖火リレーに合わせ、中国人留学生で作る全日本中国留学生学友会(李光哲会長)が2000人以上で現地入りし応援しようと呼びかけている。沿道では「法律と警察に従い、平和的に声援を送る」(李会長)が、参加者には、善光寺の辞退に対し、反発の声も増えているという。
 計画では、25日深夜から26日未明にかけ東京の主要ターミナルから12~13台のバスなどに分乗して出発。このほかの地域からも各自、長野へ入る。応援する場所は未定。
 日本と中国の応援用小旗など2000本をすでに用意。多くは中国からの寄贈だという。日本の小旗は入手しにくく、東京の中国大使館から200~300本を譲り受けた。資金は当初、1人2000円の負担と寄付金でまかなう予定だったが足りず、負担の増額を検討している。
 「応援後は、日本文化の代表である善光寺を見学したい」という要望も多かったが、同寺が出発地を辞退したことで、「もう行きたくない」という声が多く寄せられ始めたという。
*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜*:。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜
● なし
なし | URL | 2015/05/06(水) 15:25 [EDIT]
ご返事ありがとうございます。
記事を読んだのが初めてです。
先生のチベット支援者としての立場を理解することができます。でも、先生は中国人の気持ちを理解してみることがありますか。なぜ中国人の本音を聞こえないですか。なぜ中国人が自分の国を愛してはいけないですか。なぜ中国人の愛国行為はすべて中国政府の仕業だと言いつけないといけないですか。この世では悪いことをしない政府がないです。中国政府が多少悪いことをしたとしても、中国人はすべて悪い人とは言えないでしょう。なぜ聖火リレーを強引に政治と繋げたんですか。例え世界中の人は日本が戦争を起こしてたくさんの人を殺したことで、日本は聖火リレーをするときに、このように反対したら、先生は日本人としてどう思いますか。心傷つけるんですね。自分の国は自分の母みたいな存在なんじゃないですか。母はどんなに悪くでも、どんなに醜くても、子供として、自分の母を見捨ててはいけないです。だから、中国政府からの支援がなくても、たくさんの留学生が絶対に自発的に長野に行って国を応援すると断言できます。中国の国情はとても複雑です。チベット問題はそんなに簡単に解決できないと思います。先生は歴史について研究されてるんですね。でし

たら、偏見が禁物です。いろんな事情があって、チベットは今のようになったと思います。すべては中国政府にせいにするのが不公平です。人間っていうのが、常に弱者を同情する立場をとるんです。弱者ですから、悪いことしても許されるのがとてもおかしいと思います。
● 偏見について
白雪姫 | URL | 2015/05/06(水) 19:20 [EDIT]
私もいつも自戒していることですが、偏見のあるなしはまず、他人に批判として向ける前に、自分の中にあるかないかからはじめるのがスマートかと思います。他者に自分に対する共感を求めるののなら、まず自分が他者の気持ちを理解し、異なる立場の人を尊重しているかも問わねばなりません。チベット問題が簡単に解決しないのはおっしゃる通りですが、解決のカギをにぎるのは中国の方々であることは紛れもない事実です。あと、コメントは他の人に見えない設定でも送れますよ。

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 白雪姫と七人の小坊主達. all rights reserved. ページの先頭へ