白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2016/04/10(日)   CATEGORY: 未分類
ダライ・ラマ法王春の来日
 喘息で昨日まで死んでいました。突然ですが、来月5月10日から13日までダライ・ラマ法王が来日し大阪で法話します。法話は四日間を通して行われ、最初の三日にシャーンティ・デーヴアの『入菩提行論』(bodhicaryavatara) の法話、最終日に文殊菩薩の灌頂というプログラムである。

 チベットではまず哲学・理論を学習してから、その理論を実践修行によって身につけるという、理論→実践という順序を重視する。理論のあとに実践があるのは、仏教の思想をきちんと理解した上でその内容を身につける行をするという意味があり、灌頂は実践行にはいる際の許可儀礼であるため、たとえ三日とは言えまず顕教を授業を受けた後、最終日に行に入る許可を受けるとは、極めて伝統的な法話構成といえる。

 今回のテクストとなる『入菩提行論』は、理想的な人間の生き方について説くもので、法王の法話では非常によく題材にされてきたものである。
 かの有名な

 「困難に直面した時、対処法があるなら全力でその対処法を行え。ないなら悩んでも仕方無いのでグジグジ悩むな」というあの金言も、シャーンティ・デーヴァの「忍辱波羅蜜の章」からの引用である。
※この忍辱波羅蜜の章は三浦順子さん訳で『怒りを癒やす』という書名で出版されている。

『入菩提行論』は感情のコントロールの仕方、人生における様々な不条理の乗り越え方、人がどうすれば幸せに生きられるのかなどについてのヒントを様々に我々に伝えてくれる。時間のある方は是非法話に参加されたい。

 しかし、四日間という法話を腰を落ちつけて聞ける人は日本人においては限られてくるだろう。
 三年くらい前、やはり大阪でダライ・ラマ法王の講演があった際、法王の興がのって終了予定時刻をすぎても話が続いたことがあった。すると、まだ法王が話しをしているうちに多くの人が席をたって帰りはじめ、私も気まずかったが、法王もドンビキされて「日本人は忙しいんだな」とジョークめかしていったのだが、帰って行った人々にもたぶん悪気はない。飛行機や電車の時間があったのであろう。その時は午後半日の法話であったにも関わらずその有様だったので、今回のこの四日間続けてという伝統的なチベット法話スタイルには「思い切ったことをしたな」とまず思った。
 
 この日程だと参加できるのは、学生、リタイア組、自由業、有給休暇がすきにとれる職場の人、あとは・・・。ツァー組んでやってくる外国の人達になるだろう。で、おそらくはこの一番最後の人々が今回の最大のターゲットの気がする。

 実は最近会場に台湾人、華僑、モンゴル人、韓国人の聴衆が増えていて、年々その勢いは増している。法王庁のサイトを見ても、今回の法話会は英語・中国語(簡体字・繁体字)・モンゴル語・ハングルと四カ国語で告知されており、通訳もこれらの言語に加えて、ロシア語も入るという。ロシア語しゃべりのチベット仏教徒ということはブリヤート、カルムキア人もくるのだろうか? かつてのチベット仏教世界の構成メンバーが日本で再結集しているようである。

 なぜ日本が集合場所になっているのかというと、アジアで法王にビザをだせる国力があるのは日本だけだからである(他の国は中国の圧力にびびってだせない)。チベット仏教世界の構成メンバーが近場でダライ・ラマに会おうとするとやはり日本が最短距離となる。日本人の内需が細った後に、外国人がおしかけてくるのは何か既視感があるんですけど。

 このメンバー中に中国人(中国籍チベット人・華僑も含む)が含まれていることに違和感を感じる人もいるかもしれないが、今中国は空前の仏教ブーム。昔バブル期に日本全国が拝金一色となった際に、その反動に神秘主義とかを嗜好する人々が増え、バブルの崩壊とともに消えたように、今の中国も拝金主義的な風潮に疑問をいだく知識人層が仏教の思想に共鳴している。

 社会主義革命はロシアでも中国でも宗教と名のつくものをみな破壊したが、経済は資本主義になっちゃった今、そんな時代の空気は遠ざかり、体制とタメをはれる勢力(ローマ教会とかダライラマ法王庁とか)との関係がない限りは、基本的には個人の宗教は放任されている。

 チベット僧(とくにゲルク派)がチベット本土でチベット人に仏法を説くのにはあれこれ理由をつけて邪魔するくせに、チベット僧が上海や北京の大都市で漢人に仏教をとくのはインチキ僧も含めて容認するという放任ぶりである。彼らにとってはインチキ宗教者は宗教の価値をさげてくれるので容認できるのである。また、まともな坊さんでも上海や北京の知識人を仏教の教えによって沈静化し現世の不条理をスルーするようにさせるのであれば、それはそれでオッケーなのである。
 何はともあれ中国政府は宗教の現世否定的・厭世的な側面は容認して政治利用することが現在の方針であるように思われる。

 では、法王来日の詳細を以下に記します。詳しくはこちらのフライヤーから)。


日時: 2016年5月10日(火)~13日(金)午前9時30分~15時迄
午前の部:9時30分~11時30分(4日間)
午後の部:13時~15時(4日間)

会場: 大阪府立国際会議場
入場料(四日間): A・B 席 30000円 ~ F席 20000円
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COMMENT

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● 仏教の挽回?
マサムネ | URL | 2016/04/10(日) 20:16 [EDIT]
日本仏教が支那の現況に勢いを得て…と上手くいかない情け無さ。
共産主義、左翼思想に阿り、家督相続という家業型ゆえに体制に阿って、現在に至っている事実に向き合わない限り、他国人はおろか自国民にも相手にされない時代が来ているかと。
amazon坊さんと向き合っている場合ではない深刻さを記事から感得嘆息するばかりです。
● ブータン展
マサムネ | URL | 2016/04/15(金) 19:19 [EDIT]
法王猊下御来日にあわせるかの如く慶事が続くようです。

展覧会『日本・ブータン外交関係樹立30周年記念事業「ブータン~しあわせに生きるためのヒント~」』のご案内
http://bhutan-consulate.org/news/201601/index.html
● 報道奉迎法王猊下
マサムネ | URL | 2016/05/14(土) 15:55 [EDIT]
ダライ・ラマ14世の法話行われる 大阪 NHK5月13日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160513/k10010519621000.html
日本を訪れているチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の法話が大阪市内で行われ、日本のほかアジア各地から参加した人たちが、チベット仏教の教えに触れました。
チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は今月8日から1週間、日本を訪れていて、13日まで大阪市北区の大阪府立国際会議場で法話を行いました。
今回の法話では、「入菩薩行論」と呼ばれるチベット仏教を代表する経典を解説し、ダライ・ラマ14世は他人を思いやる精神を育むことで、自分だけでなく、周りの人たちも幸せになれるということを強調しました。
会場には、日本のほか、台湾や中国、それに韓国などアジア各地から合わせて2700人が訪れ、手を合わせたりメモを取ったりしながら、熱心に耳を傾けていました。
東京から訪れた40代の女性は「ダライ・ラマ法王のエネルギーに圧倒されました。思いやりの心を大事にしながら、生きていきたいと思います」と話していました。
主催者によりますと、ダライ・ラマ14世の法話は、毎年日本で行われていますが、ここ数年、中国からの参加者が大幅に増えていて、急速な経済発展の一方で、物質的な豊かさでは得られない心のよりどころを求める動きが、中国国内で広がっているのではないかということです。
熊本地震「必ず復興できる」、ダライ・ラマ14世 読売5月10日
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160510-OYO1T50006.html
来日しているチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が9日、大阪(伊丹)空港で読売新聞の取材に応じ、熊本地震について「悲しいことだが、落胆すべきではない。決意を持って臨むべきだ。そうすれば必ず復興できる」と語った。
 ダライ・ラマは10日から4日間、大阪府立国際会議場(大阪市北区)で仏教の教義などについて講演するため、8日に来日した。10日の講演冒頭には、熊本地震の犠牲者への追悼と祈りを込めた法要を行うという。

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