白雪姫と七人の小坊主達
なまあたたかいフリチベ日記
DATE: 2017/05/07(日)   CATEGORY: 未分類
ヒッピー文化の頂点で生み出されたドクター・ストレンジ
6日は六本木ヒルズ内で行われているマーベル展とインドの現代美術家N.S. ハルシャ展をみにいく。
 どちらも非常に評判のよい展示で、前者マーベル展についてはコンビニでチケットをうけとる債にレジのお兄さんが「素晴らしかったです」とイチオシしてくれ、後者ハルシャ展については、かつてのゼミ生がFBで絶賛していたことが実証している。検索してみると数々の個人ブログにもハルシャ展の感動がつづられている。
マーベル展

 しかも、22時までやっているので、夕方からでかけて閉館時間までねばれば大して混まない中で展示を見ることができる。
アイアンマン

 というわけで麻布十番でおりて、うどんの黒沢(黒澤明監督の家族経営らしい)でうどんを食べ、六本木ヒルズに向かう。実は。これまで興味なかったんで六本木ヒルズにいくのははじめて。

 マーベル展は52階の展望室で行われているので、ヒルズにすむ億万長者と同じ景色をみながら、ヒーローを演じた俳優たちが映画の中できていた衣装や小物を見ることができる。

 入り口には巨大なアイアンマンがたち、このアイアンマンととる無料記念撮影コーナーは長蛇の列。中国語がかなり聞こえるので海外からのお客も多そう。

 最初の部屋は宇宙のヒーロー(マイティソー、ドクター・ストレンジ、ガーデアン・オブ・ギャラクシー、)、次が地球のヒーロー(アイアンマン、キャプテンアメリカetc.)で、最後が、わたしの町のヒーロー(スパイダーマンetc.)というマクロからミクロの視点で展開する。

 このブログはチベット・仏教ブログなのでここではドクター・ストレンジに視点をあてる。彼はもちろん「宇宙のヒーロー」に区分されている。設定としてはアベンジャーズが物質世界の守護者だとすると、ドクター・ストレンジは精神世界の平和を守る「至高の魔術師」である(Sorcerer Supreme )。
アベンジャーズより高位なのよ。
ストレンジjpg

 彼の魔術の力はもちろんチベットで得たものだ(良い子は常識だよね?)。

ドクター・ストレンジがマーベルコミックに登場したのは1963年のこと。ヒッピーブームが最盛期の頃で、ベトナム戦争に疲弊するアメリカの若者たちは、こきたないヒッピーとなって世界を放浪し、ドラッグや×ックスに溺れながら「導師」を求めていた。折しも1959年、ダライラマ14世のインド亡命に伴いチベットは完全に中国の支配下に入り、多くのチベット人が難民となってインドになだれこんでいたため、彼らは容易にチベット世界に接することができた。

 チベット人はこのようなヒッピーの群れをみて内心ドンビキしつつも、忍耐強く彼らに仏教のとく心の平和を教えようとした。そのため60年代のアメリカのコミックスには主人公がチベット・ヒマラヤにおいてチベット僧について問題解決する的な作品がたくさん生まれた。有名なところでは『タンタン、チベットをゆく』も1965年に描かれ、浮遊するチベット僧やシンクロニシティが描かれている。ドクター・ストレンジもそのような時代背景の中で生まれたアメコミである。

 ストレンジは天才外科医であり、その技術を名声や金を手に入れるため、すなわち、自分のエゴを満足させるためだけにつかっていた。しかし。ある時自損事故で手に重傷をおい、外科医としての命脈をたたれる。よりどころを失ったストレンジは、奇跡をもとめてヒマラヤにいき、チベット人のエイシャント・ワン(古代の唯一神)に出会い、死にかけるような修業の末に、ついには時空をこえる力を体得する。

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 2016年には、BBc版 Sherlockでおなじみのベネディクト・カンバーバッチが主演で実写映画化された。日本公開は2017年一月でわたしはむろん見に行ったけど、忙しかったので直後に感想がかけなかった。すまん。

 内容を雑にまとめると、60年代のLSDでトリップしているヒッピーの脳内。エインシャント・ワンは性別不明の女ボスをやらせたら右にでるもののないティルダ・スウィントンが演じておられました。『ザ・ビーチ』でレオナルド・ディカプリオを、『コンスタンチン』でキアヌ・リーブスを縮み上がらせた彼女の怪演は今回は若干さわやかになりつつも健在(爆笑)。

 チベット人が配役されていなかったのはちょっと残念だったけど、ハリウッドに流れ込む中国マネーに気を遣って、原作のチベット臭を消したとかないですよね(笑)。

 今回ストレンジをつとめたカンバーバッチはじつはSherlockのシーズン2と3の間にも原作に忠実にチベットで修業?している。その時にも話題になったが、カンバーバッチは若い頃リアルでもチベット世界を旅している。
 以下彼のインタビューから。

――19歳でチベット仏教僧院で過ごした経験があるそうですが、今回その経験はどんなふうに役立ちましたか?

西洋の文化で育った若者が、初めて東洋の国に行って全く異なる文化に触れる、その体験自体が僕にとっては貴重なものでした。そういう意味でも、ストレンジという西洋人がチベットを訪れ、新しい世界に出会うというところがリンクしていますね。
僕は当時物理学にとても興味があって、ものすごく難解な本を読む努力をしていました。そんな本を読みながら東洋哲学や物理学にふけりつつ、バックパッカーのようにリュックを背負い、インドのデリーからいろんな所を旅して回っていたんです。それまで目に触れることのない文化的な儀式や日常生活などを肌で感じ取っていったことを覚えています。

――そこでの出会いも大きかったのでしょうか?

そうですね。そこで出会った人々は、山に囲まれ、人里離れた所にいながらも非常にユーモアのセンスがありました。インターネットも使うし、ポップカルチャーなど、意外と近代文化にも精通していたので驚いたこともありました。異文化交流ということでも、お互いに素晴らしい関係性を築けたし、とても面白い体験ができたんです。
僕が読んだ難解な本によると「1つの次元からもう1つの次元に移っていく」という感じで人間がステップを踏んで成長するためには「今の自分を知らなければいけない」とありました。物理学なのでたくさんの数式が出てくるのですが、残念ながら私は数学があまり得意ではなかったので「自分に物理学者は無理かな」と思って諦めてしまいました。ただ、数学や物理学などに興味があったので、とても面白かったんです。

(「『ドクター・ストレンジ』主演カンバーバッチが語る、チベット仏教僧院で過ごした過去」マイナビニュース 2017/2/2)

 60年代のヒッピーたちも、その後の世代であるカンバーバッチも、異なる文化(精神文化優位)を理解することによって自分の文化(物質文化優位)を相対化しその問題点を克服しその結果新しい局面に踏み込んでいった。彼らはチベット文化での放浪を境に子供から大人になった。カンバーバッチがストレンジを演じるのはまさに適役だと思う。
 個人的にはカンバーバッチのあの抑制のきいた繊細な声がいい。

 ハルシャ展は疲れたのでまた今度。
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